私の仕事-コミッションワーク「A clock with prime number」
彫刻家の大黒貴之です。
とある方から、時計を使用したアート作品をつくっていただきたいとの依頼がありました。
そこで私のフォールド・ドローイングと時計を組み合わせた新作を制作しました。
私は作品を制作するとき、両義の間に発生する揺らぎのようなものを意識しています。
自然と人間社会、二次元と三次元、静と動などの間にある揺らぎ。
自然、文化、人の心理などに見られる、一見すると違う事柄のような二項の間にはいつも何かが発生し、生命のごとく振動しているように感じます。
ユヴァル・ノア・ハラリ氏著作の「サピエンス全史」によると地球上の生物で、人間のみが持っている概念は言葉と数字だと言います。言葉と数字によって、人類は飛躍的に文明を発展させてきたそうです。それらの発見によって、人間は新しい概念を築くことができました。例えば、法律、貨幣、宗教、国家、IT…などは全て人間が考え出した概念上の世界であり、その中で現在の私たちは生活を営んでいます。
言葉には、言語の壁がありますが、数字は世界中の誰が見てもほぼ同じ概念を誘発できるように思います。だからこそ国際貿易や世界経済、また国際会計というものが成立しています。
1 と自分自身以外に正の約数を持たない自然数で、1 でない数を「素数/prime number」と呼びます。
その数字に強さと自立性を感じます。作品には、素数が規則正しく配列され、その中には時計がはめ込まれています。それ以上割り切ることができない不動の数字は、一人ひとりが力強く自立する人たちの様を、また時計の歩進は未来に向けて歩み続ける彼女/彼らを暗喩しています。また不動の数字、素数と刻々と時を刻む時計の間に伸縮する相反する引力の力強さをイメージしながら制作しました。
【A clock with prime number】
A clock with prime number
2019
60×60×8㎝
acrylic paint and pencil on paper, clock, wooden panel
photo :Takayuki DAIKOKU
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Instagram:【本体アカ】作品の写真をアップ中。「両義の間に発生する揺らぎ」のようなものを意識し、2次元と3次元、内と外、静と動、自然、文化、人の心理など、相反する二項の間で揺れ動いている関係性、「間–振動(かん-しんどう)」という観念を作品に転換しています。
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