大吉堂

「10代の心(実年齢問わず)を刺激する本」を並べた古本屋・大吉堂の店主が遭遇した本のこ…

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「10代の心(実年齢問わず)を刺激する本」を並べた古本屋・大吉堂の店主が遭遇した本のこと。 https://daikichidou.web.fc2.com/

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本との遭遇覚書・大吉堂について

・大吉堂大吉堂は大阪市阿倍野区にある「10代の心(実年齢問わず)を刺激する本」を並べた古本屋です。 古本屋なので、今現在の10代だけでなく10年前や30年前の10代の心を刺激する本もあります。 少しでも気になれば、ぜひお越しください。 https://daikichidou.web.fc2.com/ ・古本YA YAとはヤングアダルトの略。「10代を読者対象とした本」のことです。 児童書として出されているものや、一般文芸としていわゆる「青春もの」も分野で出されているもの

    • 「居場所」について思うこと覚書

      地域の子どもたちの「居場所」についての集まりに参加しました。 不登校支援や子ども食堂など様々な活動があります。 そこに参加したことで、ふと思ったことがあります。 「居場所」の形は様々なので、たくさんの人に来て欲しい所もあるし、たくさんの人が来ないと成り立たない所もあるし、たくさんの人が来ると困る所もある。 うちはあくまで古本屋の片隅を開放しているだけなので、たくさんの人が来たらパンクします。 でもそんな小さい活動も必要だろう。小さい活動が気軽にできるのも大切だろう。そんな小

      • 大吉堂読書録・2024年3月

        『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢沙呼) ミステリ作家と霊媒の組み合わせによる連作ミステリ。 近頃は特殊設定ミステリも当たり前になっているからこそ、成り立つ構成。当たり前の意味が二重になり読者に迫る驚愕と快感。ラストの描写に更にやられる。 まさに全てが伏線のミステリ。面白い。 『ウは宇宙ヤバイのウ!〔新版〕』(宮澤伊織) 巨大隕石直撃人類滅亡から始まるスラップスティックSF活劇。 世界線は混淆し星間諜報員は女子高生となり異星人の艦隊が襲い来る。ドタバタの合間に挟ま

        • 本との遭遇覚書・ライトノベルを残すということ その2

          前回はこちら→「本との遭遇覚書・ライトノベルを残すということ」 Twitter上で昔のライトノベルを「懐ラノ」と称し、紹介や魅力を伝える活動をしています。 もともと僕自身が読んでいない作品が多くあり、いざ読もうとした時に何を読んだらいいのかわからず、オススメを教えてもらおうと始めたものです。 それに加えて、読みたい本が手に入らない。何となく多くの本を眺めながら読む本を見つけたい。そう思った時にどこの店の棚にも並んでいない! という現状だったので、ならば自分の店で並べようとも

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        本との遭遇覚書・大吉堂について

          本との遭遇覚書・ライトノベルを残すということ

          ライトノベルを残すということ。過去作品が気軽に手に取り読めるという意義について、つらつらと考えたことの覚書。 ライトノベルはずっと読んでいても、ある時ポンと読まなくなることがある。卒業とは言いたくないが、なんとなく疎遠になることがある。 でもまた何年か経って吹っ切れて読み始めることもある。そんな時に空白期間に出ていた作品を読もうと思っても難しいのですよ。 てのが僕自身の経験。だから過去作品を気軽に読める環境を作りたい。 単に「あの作品が読みたい」だけなら、電書やネット通販や

          本との遭遇覚書・ライトノベルを残すということ

          大吉堂読書録・2024年2月

          『少年少女のための文学全集があったころ』(松村由利子) 子どもの頃に読んだ児童文学の思い出。 翻訳についての言及が多いのが興味深い。それに伴い児童文学全集に於ける抄訳の意義や魅力についても語られる。 子どもの時に出会った作品は後の人生に大きく関わる。いい出会いがありますように。 『みどりのトンネルの秘密』(アラン・W・エッカート、山田順子・訳) ボートに乗り暗い緑のトンネルを抜けたら、異世界への入口があった。 ナルニア国への敬意がたっぷりと詰まった冒険ファンタジー。不意に

          大吉堂読書録・2024年2月

          大吉堂読書録・2024年1月

          『虹いろ図書館のへびおとこ』(櫻井とりお) 再読。イヌガミさんに会いたい!!と思い、ガガガと一気読み。 イヌガミさんの子どもとの距離感や仕事に対する姿勢などが好きです。憧れでもあるかも。 色々思うところがあり、その気持ちを再確認するために会いに行きました。この作品が好きなのです。 『屍竜戦記』(片理誠) 竜に抗うため竜の屍体を操る術を見出した人間。 宗教対立、国同士の政治的駆け引き、圧倒的な竜の猛威、何のために戦うのか。救いのない鬱々とした終焉かと思われた、最後の最後に訪

          大吉堂読書録・2024年1月

          大吉堂読書録・2023年12月

          『私が鳥のときは』(平戸萌) 中三の夏、蒼子の母が連れてきたのは余命僅かのバナミさんだった。 あの夏を鮮やかに切り取った物語。だからその外側のものが不意に垣間見えた時に、どきりとさせられる。 少女が少女であらんとする正にど真ん中の少女小説。 『ビブリオバトルガイドブック ルール改訂版』(ビブリオバトル普及委員会 以前ビブリオバトルに対して誤ったイメージを持っていました。公式のルールや意図するものから外れたものを見たせいです。 なので公式ガイドブックでルールや実践例を知れる

          大吉堂読書録・2023年12月

          本との遭遇覚書・歳末阪神古書ノ市

          「歳末阪神古書ノ市」がはじまっています。 12月23日(土)〜29日(金)阪神梅田本店8階 公式サイト 20店舗以上が参加して、多くの方が来られる催しなので、参加のたびに刺激があります。 大吉堂はいつも通り、YAと懐かしのライトノベル(懐ラノ)を並べています。これは会場の中では特異なジャンルです。もちろん各店それぞれのジャンルがありそれぞれバラバラなのですが、それでも「古書ノ市」というか「古本市」としての色があります。来られる方もそれを望んで(求めて)来られるのです。 大吉

          本との遭遇覚書・歳末阪神古書ノ市

          大吉堂読書録・2023年11月

          『図書館へ行こう!!』 いやあ楽しい。日本全国の公立図書館、大学図書館、企業図書館、私設図書館、などなどを紹介するムック本。様々な特徴があり、どこもかも行ってみたくなる。 図書館とはどういう所なのかにも着目し、単に「オシャレ」なだけではない魅力や役割も伝える。さあ図書館へ行こう!! 『ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ』(奈倉有里) ロシア語研究・翻訳家の著者が翻訳について語る。 クエストを提示して、どう解決するかを考える形なのでわかりやすい。外国語を学ぶことの意味か

          大吉堂読書録・2023年11月

          本との遭遇覚書・YAと懐ラノの店として

          YAにしろ懐ラノ(懐かしのライトノベル)にしろ、そこに行けばオススメの作品を話したり聞けたりできて、実際に本を手にもできて購入もできて、そんな拠点となる場所があればいいと思いませんか?  って大吉堂をそういう場所にすればいいんですけどね。 どうです? 大吉堂をYAや懐ラノが好きな人の拠点にしませんか? 正直、売り上げは壊滅的に悪いです。どうすればいいのか考え続けています。 それでもYAと懐ラノというラインナップは変えたくないのです。だから読み手と買い手を増やすしかないよなと

          本との遭遇覚書・YAと懐ラノの店として

          大吉堂読書録・2023年10月

          『「心」のお仕事 今日も誰かのそばに立つ24人の物語』(河出書房新社・編) 心って一体何だろう。精神科医、カウンセラー、臨床心理士、脳科学者、ソーシャルワーカー、スクールカウンセラー。様々な立場から様々な現状や様々な視点を伝えてくれる。 将来心に関わる仕事がしたい人にもお勧め。 『アリソンⅡ真昼の夜の夢』(時雨沢恵一) 王家の絶えた小さな王国、訳ありな村、囚われるふたり、迷い込む英雄、首都へと連れて行けと訴える村娘、暴かれる陰謀、真昼の夜、偽物たちの物語。 巧いなー面白いな

          大吉堂読書録・2023年10月

          本との遭遇覚書・星の海のミッキー

          人は知っているものに反応する。 古本屋の棚を見て「これ知っている!」と反応する人が多い。 知っているなら、わざわざ反応しなくともいいのではないか。世の中には知らないものの方が大量にあるのだから。と思うのだが「普通の人」たちはそうではないらしい。 大吉堂に並んでいる本は、ネットで検索すればどの本もネットショップに見つけることはできるだろう。 でも。 何もなく、その本に出会うことはできただろうか。 ネットには何でもある。でもそこで出会えるのは「知っているもの」ばかりではないのか

          本との遭遇覚書・星の海のミッキー

          本との遭遇覚書・憧れの少年探偵団

          小学生の頃は探偵小説を読んでいなかったのです。 乱歩の少年探偵団もホームズも、表紙が怖くて手に取ってなかったのです。 唯一読んでいたのはマガーク少年探偵団でしょうか。あれは好きでした。なので少年探偵団との出会いは彼らかも知れません。 ひとりひとり特徴があり特技があり役割がある。集団活動が苦手な僕も、少し憧れるのですよ。そして自分ならどの役どころがいいかなと考えるのです。 僕はリーダー志望はなく、リーダーの横にいる人に憧れましたね。副官とか参謀とかあれですよあれ。意外と同じよ

          本との遭遇覚書・憧れの少年探偵団

          本との遭遇覚書・これからの図書館

          図書館で図書館について書かれた本をあれこれ借りて読んでいます。 知れば知るほど、図書館が面白くなり魅了され必要性を強く感じます。 『これからの図書館 まちとひとが豊かになるしかけ』(谷一文子)と遭遇。 図書館の今を具体例を挙げて語る。 たくさんの問題があることは承知の上で、図書館ってこんなにも面白い施設なのだと、図書館員はこんなにも素敵なのだと伝えてくれる。 もっと多くの人が図書館を知り利用することが、これからの図書館を作っていくのだろう。 各図書館にはそれぞれヤングコー

          本との遭遇覚書・これからの図書館

          本との遭遇覚書・「山奥ニート」やってます。

          社会活動にもキラキラしたものを求める風潮が世の中にあって、キラキラで救われる人もいるだろうけど、キラキラに近寄れない人もいる。 またキラキラすることが目的化してしまうこともあるだろう。それはしんどさの上からキラキラをコーティングするだけで、しんどさ自体は消えもなくなりもしないのではないか。 だからキラキラしなくてもいい場所をつくりたい。 グダグダでもいい、ただそこにいるだけでいいんだよと伝えたい。 まあ僕がコミュニケーション不全で、キラキラしたものが苦手だから思うのだろうけど

          本との遭遇覚書・「山奥ニート」やってます。