大吉堂

「10代の心(実年齢問わず)を刺激する本」を並べた古本屋・大吉堂の店主が遭遇した本のこと。 https://daikichidou.web.fc2.com/

大吉堂

「10代の心(実年齢問わず)を刺激する本」を並べた古本屋・大吉堂の店主が遭遇した本のこと。 https://daikichidou.web.fc2.com/

    最近の記事

    本との遭遇覚書・本と幸せ

    僕は本の未来に希望を抱いている。本は本として残っていくだろう。 若い人や子どもたちも本を読んでいることを知っている。本を作りたい人も多くいる。大量娯楽消耗品としての価値とは別に、本にしかない価値をこれからも発揮するだろう。 だから僕は本を並べる。本が好きだから。本を信じているから。 古本屋をやっているとよく「最近の若い人は本読まないでしょう」と言われる。そのたびに「いえ読む人は読んでますよ。昔からそういうものじゃないですかねえ」と答えている。何せ何十年も前から繰り返し「最近

      • 本との遭遇覚書・自分を休ませる方法

        マイノリティ支援に対して、マジョリティが「あいつらばかり特別扱いしてずるい」と言うおぞましさ。 それは知識、経験、想像力の欠如によるものなのか。マイノリティのしんどさがどこから来るのか知らず考えず思い至らないのか。 だから伝えることが必要なのだろう。 だから僕は本を並べる。知り考え思うため。 これは社会問題を扱う本ばかりでなく、娯楽小説からも伝えることができると信じている。 本を読むことで、他者を想像する力を得ることができる。その力は他者だけでなく自分を知る力ともなり、自分

        • 本との遭遇覚書・オズの魔法使い

          子どもの頃から本が好きだった。そんな人の話を聞いたり読んだりすると、子どもの頃に名作と呼ばれる児童文学に遭遇しているのですね。 学校の図書室であったり、家の本棚の中でその本たちは待っていたのです。みたいな話がよくあるのです。 翻って我が身を考えてみると、子どもの頃に読んでいなかった名作のあまりの多さにおやおやと思わされるのです。 あれも読んでいなかった、これも読んでいなかった。 グリムやアンデルセンは読んでいました。ほか子どもの頃に読んだのは、エルマーのぼうけん、西遊記、ロ

          • 本との遭遇覚書・15歳からの社会保障

            新年早々、映画を見てきました。『チョコレートな人々』です。 愛知県にある久遠チョコレート。そこでは体や心に障がいのある人や、シングルペアレントや不登校経験者やセクシャルマイノリティなど多様な人が働いています。 そして、その人たちが働きやすく、しっかりと稼ぐことができるためにはどうすればいいかを考えて実践されています。 温めれば何度でもやり直せる。その言葉が胸に沁みます。 障がいのある人と関わるのは福祉施設だけじゃない。多様な人たちが働きやすく、しっかりと稼げる職場づくり。排除

            本との遭遇覚書・さよなら、シリアルキラー

            2022年読了した本は187冊でした。 図書館生活を始めたのでノンフィクションが増えたのと、隙間時間に本を読むことを意識したら冊数が増えました。 町の中で本を読む場所がないと感じながら、いつでもどこでも本を読むのです。 来年の目標は、「町のあちこちに本を並べて、町のあちこちで本を読む」なのです。 てな訳で、2022年の読了本10選。 なお、あくまで今年読んだ本なので発行年はバラバラです。 小説とノンフィクションを分けてどうぞ。 2022年読了本10選<小説編>  砂糖菓子

            本との遭遇覚書・司書名鑑

            図書館で図書館に関する本をあれこれと借りています。 読めば読むほど、図書館という機能の素晴らしさを感じます。もっと社会が図書館を活用すべきだよなとも思い、現状の厳しさや難しさも痛感させられます。 『司書名鑑 図書館をアップデートする人々』(岡本真・編著)と遭遇。 お世話になっている図書館長さんのインタビューも掲載されているということで手に取りました。 図書館に関わる様々な人のインタビュー集。何故図書館に関わるようになったのか、今まで行なってきたこと、これからの目標や課題など

            本との遭遇覚書・中高生のための文章読本

            大阪では滅多に雪は降りません。 だからパラリと降っただけでも、わー雪だーわーわーとなるのです。 今朝は氷の粒のような雪がババババと降り、一瞬で世界は真っ白になったのです。まあ一瞬で溶けるのですが。 そして何の因果かそのタイミングで外におりましたので、一瞬にして真っ白けの雪だるま状態に。寒い。 何故外に出ていたかというと、図書館に行ってたんですな。予約の本がどどんと届いたので、ひいこらと自転車こいで行ってきましたとも。 『中高生のための文章読本』(澤田英輔、仲島ひとみ、森大

            本との遭遇覚書・安心ひきこもりライフ

            今日もまた図書館へ。年末年始の休館があるから、計画立てて借りたり予約したりしないとねえ。なんて思いつつ、目についた本を手に取り借りているのですが。 『安心ひきこもりライフ』(勝山実)と遭遇。 図書館ではなるべく小説は借りず、ノンフィクション系を借りるようにしています。 そこで見る書架は限られていて、その中のひとつが社会問題のコーナーなのです。居場所、不登校、貧困、などが並ぶ棚から気になる本を手にする。そんな中にこの本もありました。 ひきこもりは関心の強いテーマです。なぜなら

            本との遭遇覚書・教室に並んだ背表紙

            何故新刊書店にはYAコーナーがないのだろう? YAとは中高生・10代をターゲットにした本のことです。児童書の区分として扱われるものもあり、それは新刊書店では児童書のコーナーに並んでいます。 でもね。 児童書のコーナーに中高生は行かないのですよ。 児童書コーナーに足を運べばわかるのですが、入り口には可愛い絵本や図鑑が並び、小さい子向けのキャラクター物や赤ちゃん絵本があり、小学生向けの児童文庫や学習まんががあり、古典名作が並び、その奥の奥にこっそりYAが並んでいるのです。知る人

            本との遭遇覚書・名著の話

            電車の中で本を読んでいる人に遭遇すると嬉しくなります。 それは本を読む人が少なくなった云々、スマホが云々という話ではなく、単に本を読んでいる姿を見ることで嬉しくなるのですね。 本を並べること、本を売ることは大切です。 それと同じくらい、いやもしかするとそれよりもっと本を読むことは大切なのです。そして本を読んでいる姿が町中で見られるということが大切なのです。 知人が商店街のシェアスペースで朝食屋さんをするとのことだったので、その店舗前で本を並べて本を売って本を読んでいました

            本との遭遇覚書・物語の役割

            地元の図書館が1週間ほど休館になっていました。そうなると予約本の受け取りもできなかったのです。その期間中に順番が回ってきた本が、休館開けに一度に届き通知が来たので取りに行きました。 実は休館前に借りた本の一部もまだ読めておらず、それ以外にも併読している本もあるという始末。いやはや。 なので予約本だけにしよう。他の本を借りるのはやめておこう。そう思っていたのですけどねえ。 見るだけだからと書架を眺める。見るだけだからと、そんなことができるはずもなく、何故か手元には新たな本が。

            本との遭遇覚書・この素晴らしい世界に祝福を!

            大吉堂はライトノベルを扱う古本屋だとの認識が、ありがたいことに定着しています。実際ライトノベルに力を入れて並べようとしています。 しかし、僕自身はライトノベルをほとんど読めていないのです。 いや読んでいないというと語弊がありますが、一時期、といっても割と長い期間ライトノベル的なものから遠ざかっていたのです。いやライトノベルという言葉が定着してからの作品から遠ざかっていたのです。 昔から若者向け娯楽小説は好きでよく読んでいました。 しかし20代のころにミステリにどっぷりとハマ

            本との遭遇覚書・本格力

            本はなるべく色々なジャンルのものを読みたいと思い、同じジャンルのものを続けて読まないようにしています。まあ、そうは言っても自分の興味のある範囲内の話ですが。 しかし20代の頃はミステリばかりを読んでいたのです。読んでいる本の90%以上がミステリだったのです。 新本格ムーブメントに少し遅れて乗っかったので、あれもこれもと必死に読みました。今から思えば幸せな時期ですよね。 必死に読んでいたのですが、読み逃しもかなり多く、特に古典作品にはなかなか手が出なかったのです。そして海外

            本との遭遇覚書・聖女に嘘は通じない

            現行のライトノベルを全て読んでいます。という人はいるのでしょうかねえ。まあライトノベルの定義とは? ということになりかねませんが。 いつの頃からか文庫ではないレーベルも増え、それはネットからの書籍化のイメージだったのですが、それだけでもないのですかね。 また少女小説のレーベルも形を変え、ライトノベルやライト文芸に混ざり込んでいたりして、もう何が何やら何とやら。発行元やレーベルもわんさか増えていますからねえ。 そんな中で、少女小説系単行本ライトノベル……でいいのかな、に初めて

            本との遭遇覚書・怪人二十面相

            昔からみんなが通る道を通っていないということがよくあります。 敢えて流行から離れているわけでなく、自然とそうなるのです。 まあ、みんながやっているからやるという選択肢をほぼ持たないことが原因なのでしょうが。 子どもの頃から本が好き。現在ミステリが好き。となると、多くの人の入口となる本がありますよね。 『怪人二十面相』(江戸川乱歩)との遭遇。 しかし僕は子どもの頃、少年探偵団を読んでいなかったのです。 たまたまではなく、わざと避けていました。 理由は簡単。「表紙の絵が怖かっ

            本との遭遇覚書・ウェイプスウィード

            本を面白がるためには、自分の中に「溜め」のようなものが必要だと思うのです。何と言えばいいでしょうねえ、読書経験値みたいな感じでしょうか。 その経験値はカテゴリが分かれてまして、小説を読む経験値だとか、ノンフィクションを読む経験値だとか、翻訳物を、詩歌を、エッセイを、などなど。 小説と言えども、そのジャンルによっても別々だと思うのです。 ミステリの経験値、ファンタジーの経験値、児童書の経験値、そしてSFの経験値。 『ウェイプスウィード ヨルの惑星』(瀬尾つかさ)と遭遇。 ミ