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バッハの音楽を理解するための入門書

おはようございます。音楽評論家の和田大貴です。今日は、バッハの音楽を理解するための入門書としておすすめしたい本を紹介します。それは、礒山雅氏の『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』(講談社学術文庫)です。この本は、バッハの生涯と作品をわかりやすく紹介しながら、彼の音楽の本質と魅力を解き明かしてくれる優れた本です。1985年に出版された単行本を改訂した文庫版で、最新の資料に基づいています。

バッハは、1685年から1750年までドイツで生きた偉大な作曲家です。彼は、教会や宮廷で音楽家として働きましたが、時には上司と対立することもありました。彼は、自分の信念を貫くために闘う姿勢を持っていました。彼は、様々な音楽に触れて勉強し、自分の独創的な音楽を作り上げました。彼の音楽は、人間の小ささや人生の空しさを感じさせると同時に、現実を超えてより良いものを目指す人間の可能性を表現しています。その意味で、彼の音楽は切実でありながら楽天的でもあります。

この本では、バッハの経歴と作品の成立過程を時系列に沿って追っていきます。また、彼を取り巻いていた人間関係や社会的な背景にも触れます。さらに、彼の人生観や宗教観や作曲技法についても、専門的な部分にまで踏み込んだ考察があります。最後には、20世紀から現在までのバッハ演奏の歴史と将来への展望も述べられています。本文の最後には、バッハの作品大系を見ることができる楽曲索引もあります。

この本は、バッハの評伝としてだけでなく、彼の音楽を理解するための入門書としても最適です。著者は、バッハ研究者でありながら演奏家でもある礒山雅氏です。彼は、バッハの音楽に深い愛情と敬意を持っています。そのため、彼の文章は簡潔でありながら親しみやすく、読者にバッハの音楽への興味と感動を与えてくれます。バッハの音楽に触れたことがない人も、この本を読めばバッハファンになるかもしれません。

この本は、講談社学術文庫から出版されています。興味がある方はぜひ手に取ってみてください。それではまた。

「バッハの音楽を聴くとき、われわれは、人間の中にもそうした可能性があることを教えられて、幸福になるのである。」――<本書より>


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