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ボロ船が大海に出れるのなら、君たちは何ができるのだろうか。

僕は自己紹介が世界で一番苦手だ。

いろんな人と話をする採用の領域で仕事をして以来、
1年間毎日誰かに自己紹介をしてきた。

小学校でいじめられ、1人の世界がどうしようもなく好きなことも
高校生で親父が起業→倒産し、借金取りに追われた生活も
大学生の時に、バーテンダーをして月200万稼いだことも

他の誰かが経験していることが少ない稀な経験が多いからこそ、
人は僕を「すごい」という言葉で称え、賞賛する。

しかし考えてみると、
別に意識高く生きていたわけでもないし、
目に見える何かがあるわけではないし、
新卒入社、また次の会社も速攻で退職をし、
どんな人が見ても理想的なキャリア、いや人生は生きていない。

そう、僕の人生は決して「すごい」ものではなく、「落ちぶれた人間が藁にもすがる思いで生きていた」というだけの話であるのだ。

だからこそ、
どこの誰の参考にもならないし、
誰のためにならない空虚な産物でしかないと思っている。

「俺は人生かけてこういうことを成し遂げたくて、そのためにこういう行動をしているんだ。」
なーんて、最もらしい話もできやしない。

なのに人は「すごい」と評価し、敬い、なぜか慕ってくる。

自己紹介が苦手なのは、誰のためにもならない空虚な自分の人生が、
あたかも誰かのためになっているかのごとく評価されている状況が、
「正確に自分のことを伝えれていないのでは?」
という恐怖の渦を引き起こすからだ。

そして僕がこの文章を書いているのは、
僕自身のことを紹介することが誰かのためになるのなら、
それは「正しい情報」を記載すること以外他にないと感じているからである。

間違って、変な期待を抱かれることもなく、
間違って、変に尊敬されることもないことが、
僕にとって自己紹介のあるべき姿なのだろう。


一章 僕はやっぱり人間が嫌いだ

僕は人間が嫌いだ。

「人間」と関わることが嫌いになったのは、
小学校でいじめられたことがルーツに当たる。

登校する毎に、机がおかしなことになっていたり
移動教室の後に、ランドセルにゴキブリを入れられていたり
金属バットの根っこの方で、お尻をケツバットされたり。

僕にとっては、
人と関わること=ネガティブなことをされる
でしかなかった。

だからこそ、
いじめっ子1人をボコボコにした時、通常なら上がるはずのスクールカーストの世界で、「空気」として扱われたあの日の「幸せ」な感覚が今でも自分は忘れられない。


関わること=ネガティブなことをされるという認識を覆されることなく、
人と関わることを断絶されたことで、
僕は人間と関わることのネガティブさを今でも払拭できない。

こうした結果、僕という人間は社会にそぐわない不適合な人間として人格形成され、
世の中に放り出されたのである。


二章 「生きる」ことは辛いということだ

人が嫌いな人間の親は、心底いいやつで。
「人たらしの頑張り屋」とでも命名してやりたいほどの人気者だ。

そんな人間が、自らの人脈を武器に、
「高卒、土木」
という圧倒的にキャパシティの足りない状況から
「経営者」
になろうとした。

その結果、人に裏切られて倒産した。

意気揚々と出て行った経営者のたまごは、
2年後、ボロ雑巾のような姿で帰ってきた。

握りしめた資本金が抱えきれない借金に変貌し、
若々しく生えていた髪の毛は白髪に覆われ。

僕たちの家族は極貧生活を送ることになった。

高卒で働いて、借金を返すという選択をした僕に
大学進学を勧め、なんとか入学金だけ用意してくれた母。

出してくれたから無駄にはできないと、
必死で勉強することを誓ったあの日に届いた、保証人通知の書類。

何が起きたのか、整理できないほどの荒れ模様で。
荒れに荒れた後に残った痕跡は、
僕個人に対する莫大な借金だった。

無駄に出来ない出資と返さないといけない借金。
この2つがもたらした生活は、地獄のようで。

気がつけば4年間で、
よく寝る大学生1ヶ月分くらいの睡眠時間しかとれていなかった。

「生きる」ことは、僕にとって輝かしいことではなく、
ただ「辛い」ことであるという認識が、これらの事象の中で形成された。


三章 出た社会も、また荒れ狂う世界で。

なんとかして、大学を卒業することができ、
よく寝る大学生1ヶ月分くらいの睡眠時間しかとれていなかった僕は、
自分の持つ負債を綺麗にし、
夢と希望に包まれた社会に出ることになった。

しかし、ここまで進むことに必死だった船にはなんの機能もないボロ船で。
荒れ狂う社会という大海を前に沈没を余儀なくされる。

1社目でうまくいかず
2社目では入院するにまで至り。

何一つ継続して成し遂げず、僕はここまで生きてきたのである。


終章 一つだけ、たった一つだけ伝えたいこと

僕の人生は上記の通りだ。
まだ、ボロ船は旅の途中で、
2回沈没したのにも関わらず、懲りずに大海を進もうとしている。

これを読んだ人たちにたった一つ、伝えたいことがあるとするなれば、
「もっと自信を持って欲しい」ということだけだ。

自信を持つということは、
「もっと欲望をむき出しにしていい」ということなのだ。

僕のような、オンボロの船でも
好きなこと書き、
好きなように喋り、
好きなように仕事をしている。
生きたいように生きていく権利はまだ剥奪されていない。

それに比べて君たちはどうだろう。
全然、ボロくないじゃないか。
みんな素敵で立派な船じゃないか。

なのになぜ、そんなに惑う。
もっと自信を持てよ。そんなに自分の進みたい道に戸惑うな。

限られたわがまましか言えない僕は、
わがままを言ってもいい君たちがそれを抑えている姿が歯がゆくて仕方がないんだ。

僕の伝えたいメッセージはこれだけだ。
あとは自分の情報が、間違って認識されないように、ここに記載して残しておければいい。
読みたいと思う人がこれを読めれば、それでいい。


「森さんってすごいんですね!」
もしこの文章を読んだ君たちが直接、僕と会う機会があるのなら、
決してこの言葉だけは使わないで欲しい。
そして、もっと素直に、もっと欲望を全力で出してきて欲しい。

そんな僕自身の素直な欲望を締めにしてこの文章の終止符を打とうと思う。

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