Dai Kadomae, CFA, CPA

Big4会計ファーム→英Cambridge大学院(Finance専攻)→米系投資銀行→…

Dai Kadomae, CFA, CPA

Big4会計ファーム→英Cambridge大学院(Finance専攻)→米系投資銀行→国内上場会社CFO→Fintech CFO→米上場準備会社CFO。財務報告、企業財務、FP&A、バランスシート管理、IR、企業統治、クロスボーダーM&A、資本調達(IPO含む)等の財務全般を指揮

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    ISAの国内外情勢の最新ニュースのほか、考察、事例研究、投資・スタートアップ動向などの情報発信を目的とした日本初の “ISA研究会” マガジンです。

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CFOの視点:タイ上場企業Stark Corpの無担保社債デフォルト問題

今回は最近のタイ経済新聞のヘッドラインを飾っているタイ上場企業Stark Corpの話題について触れたいと思います。 Stark Corporationの概要Stark Corporation(以下、「Stark」)はタイ証券取引所に上場しているワイヤー・電気ケーブルの大手メーカーです。Starkは元々、1990年代に漫画の出版事業を営んでいたメディア企業だったのですが、タイの大富豪Vonnarat Tangkaravakoo氏が2019年に同社を買収後、積極的なM&Aをし

    • 大谷翔平選手の年俸7億ドルの後払い契約に漕ぎ付けたドジャースの財務戦略

      先月、日本が全世界に誇るエースで4番の大谷選手は米大リーグのドジャースと7億ドル、契約期間10年という破格の年俸条件で合意しました。この年俸契約で特徴的なのは、大谷選手が総額の680百万ドル(約97%)を後払い方式で合意しているというものです。すなわち、毎年2百万ドルの年俸を10年間受取り、残りは後払いで良いということです。 この後払い方式は、ファイナンス的には大谷選手からするといわゆる機会損失に相当する額が発生します。お金にあまり執着がなく、常に球団やチーム全体のことを考

      • タイ経済の展望

        観光需要のリバウンドと景気拡大タイは11月から乾季のハイ・シーズンに入りますが、11月8日にはロイクラトン祭り(陰暦で満月の日に水の精霊に感謝を捧げるタイで最大のお祭りの一つ)が行われ、コロナ禍の落ち着きとともに海外からの観光客数がコロナ禍以前の水準にまで回復する勢いを示しています。タイは2022年7月から水際対策を大幅に緩和しており、2022年は海外観光客の流入によって約4兆円(約7兆円の全体収入の半分以上)のGDP押上げ効果があったものと思われます。タイ観光庁によると、2

        • 海外投資促進を目指すタイ政府(前編)

          デジタルエコノミーの推進ASEANにおいては人口約2.8億人のインドネシアと人口約0.7億人のタイ、人口約1億人のベトナムがそれぞれ同地域内で最大級の経済規模とIT市場を形成しています。 インドネシアとタイ、ベトナムではLAZADA等のeコマースマーケットプレイスを中心とするGMV(総流通額)が2022年にそれぞれ770億ドル(約11.2兆円)、350億USドル(約5.1兆円)、230億ドル(約3.3兆円)の合計1,350億ドル(約20兆円)に拡大し、今後3年間にわたり3つの

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          英国Pension fundの運用戦略‐Liability Driven Investmentの落とし穴

          英国(UK)は金融業やライフサイエンス、イノベーションや発明が大変得意な国です。かつて大英帝国時代に植民地化した国々と経済的にも文化的にも緩い連帯でつながっており、世界共通語の英語があるおかげで現在でも世界経済において大きな存在感を放っています。 UKは肥沃な土地が少なく、古くから自国に足りない物品を他国から輸入する必要があり、ここから比較優位の経済原則や自由貿易主義、分業による生産性の向上が促進され、プロテスタンティズムに基づく個人主義の勃興とともに産業革命、そして現在の世

          英国Pension fundの運用戦略‐Liability Driven Investmentの落とし穴

          アーリーステージのスタートアップによるアセットファイナンスの活用と意義

          サマリー 前回、当社が教育事業者として取り組む教育ローン(貸与型奨学金)に代わる学費の「出世払い方式(Income Share Agreement、以下ISA)」をご紹介しましたが、これは「Buy Now Pay Later、以下BNPL」といった主にZ世代やクレジットカード等を保有しない若者向けのE-commerce領域で普及する後払い決済の派生形とも言えます。しかし、ISAは将来の収入に応じて支払い額が変動する観点からBNPLとは似て非なるものであり、金銭消費貸借契約に基

          アーリーステージのスタートアップによるアセットファイナンスの活用と意義

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          ISA(所得分配契約)を活用した教育投資の新潮流本ブログでは、世界で近年急速に普及しつつある所得分配契約(Income Share Agreement、略してISA)に基づく教育投資の基本的な考え方、日本ひいては東南アジア諸国、インドといった新興市場におけるISA活用の可能性、そして昨今のFintech注目領域であるBuy Now Pay Later(BNPL)の文脈で捉えたISAという金融イノベーションの社会的意義などを考察していきたいと思います。 さらに、Fintechを

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