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タイ南部リゾートの水不足問題と水インフラ投資の機会

ここ最近、他の東南アジア諸国やインドと同様、タイも連日猛暑となっています。これにはEl Ninoの影響だけでなく、地球規模での気候変動も影響していると思われますが、降水量が少ない乾季、そして一年で一番熱い暑季に猛暑がもたらす水需要と電力需要の高まりから水不足問題が深刻化する状況はタイでもニューノーマルになりつつあると言えます。
今回はコロナ禍で窮地に陥ったものの、観光需要のリバウンドで景気が復活しつつあるタイのリゾートが直面する水問題に焦点をあてたいと思います。

水インフラへの投資が急務となったタイ南部のクラビ島とサムイ島

タイ国内の水道はバンコクの水道公社(Metropolitan Waterworks Authority)と地方の県の水道公社(PWA、Provisional Waterworks Authority)がそれぞれ管轄しています。タイは2018年に政府が向こう20年の水資源管理に関する要綱を発表し、水インフラ投資の拡充を政策の目玉の一つに据えていますが、現状は課題が山積みの状態です。例えばバンコクでは、Bang Khen浄水場(360万m3/day)を始めとする4つの大きな浄水場がチャオプラヤ川の原水を綺麗にして水利用していますが、最近は温暖化の影響で海水が川に逆流してくるなど塩水化の問題が出てきています。地方の県に至ってはバンコクほど政府予算がつかず、雨季に洪水の被害が頻出するなど水インフラ整備が政府の思惑通りに進んでいない状況が垣間見えます。豊富な観光資源を抱える地方の水インフラ整備は、タイの経済成長を支える喫緊の課題でしょう。

タイで外国人に最も人気のある観光スポットの一つ、南部のリゾート島のKoh KrabiとKoh Samuiは乾季になってから急増する観光客による水需要の増加と雨不足による干ばつで深刻な水不足に陥ってしまい、主な貯水池(reservoir)が枯渇した状況にあるようです。タイはこれから雨季が到来し、観光客数もピーク時に比べて減少すると考えられるため、水問題がある程度は緩和されそうな感じにも見えますが、事はそう単純ではなく、長期的にはこの水問題が経済に悪影響をもたらすリスクは否めません。

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