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米Nasdaq上場プロセス奮闘記

米NasdaqのIPO準備プロセスは、発行企業のIPO担当チーム、主幹事投資銀行、法律事務所、監査法人、IPOコンサルタント、証券代行会社、PR/IRエージェンシー、証券取引委員会、金融庁、Nasdaq、保険会社、そして国内外の多くの投資家等を巻き込んだ壮大なプロジェクトです。この記事は、私がある会社のCFOとして主導した米NASDAQ上場プロセスの一部始終を忘れずに記録したものです。IPOは準備期間を含めると場合によっては2年近くに亘りますが、これから記述する一連の記事では主にプロジェクトマネジメントの視点から感じたことを中心に振り返りたいと思います。

創業者、ストックオプションを保有する役職員等の個人からすれば、株式公開(IPO)の意義は経済的リターンを実現するためのexitの手段として位置付けられますが、発行企業にとってはその株式を証券取引所に流通させることで知名度やブランド、信用力の向上で資金調達のツールが増え、バランスシートを活用した非連続な成長戦略が追求できるようになる点にあります。
これとは裏腹に、IPOした企業は公開企業として社会的な公器となり、株価という客観的な指標が多くの利害関係者の保有財産の価値に影響を及ぼすことから、経営チームや取締役会にはこうしたステークホルダーに対する責任(fiduciary duty)としてアカウンタビリティやインテグリティが求められるのは言うまでもありません。これはすなわち、リスクを果敢に取りながらリターンを追求し、企業価値を長期的に高めていくということと同義といっても良いでしょう。

はじめに

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