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社会のパラダイムシフトによって変わる学び方

今回は、社会のパラダイムシフトによって『働く人のキャリア観と学習観の変化から見る、越境学習のススメ』です。 

調べてみたら面白かったので、少しまとめてみました。 

1、越境学習について


・越境:「何かの境界を越えること」 
・学習:「学ぶこと」

越境学習という単語は、中原淳氏の著書『経営学習論』の中で解説されています。

〇越境学習の定義は、「個人が所属する組織の境界を往環しつつ、自分の仕事・業務に関連する内容について学習・内省すること」である。

〇具体的には仕事内容に関連した勉強会や研究会など、組織を越えて開催されている学びの場に参加しつつ、学習することをさす。
(出典)経営学習論,中原淳,2018

また、社外の経験も重要な機会であることを論じています。

つまり、ここでいう、越境学習とは「異なるコミュニティや状況間を横断」し、「学ぶこと」である、ということになります。


2、キャリア観・仕事観・自己観の変遷

 
前回の記事でも触れたように、コロナウイルスやSociety 5.0といった予測不可能な社会変化に伴い、働く人たちはキャリアをリデザインすることを考え始めているようです。

パラダイムシフトが起こる中、働く人たちのキャリア観の変化の兆しを感じ取っている人も少なくないと思います。

リクルートによると、昭和・平成・令和にかけてのキャリア観・仕事観・自己観の変遷は、下図の通り整理されてました。

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非常に興味深いです。

これらの背景には、節目の社会動向(例えば、バブル崩壊、就職氷河期、リーマンショック)などの多様な要因が関わっていると思えますが、

例えば社会貢献の意識は、東日本大震災以降の心境の変化はよく言われているところです。

そして、令和型キャリアの方向性は、イノベーション重視であり、個人のキャリアが優先される一方で、それを生みだすには多様な自己の組み合わせが必要となり、横断的に活躍できる『越境型プロフェッショナル』人材が重要となると考えられます。


3、働く人の学習観の変遷

 
続けて、昭和・平成・令和にかけての働く人の学習観の変遷を下図のように表していました。

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企業内研修による学習(OJT)はすでに崩壊しており、学びは多様化しているということです。

ちなみに、個人で学ぶならJMOOCUdemyといったオンライン学習方法もあります。

しかし、あくまで今後の働き方は、イノベーションをいかに起こすか?

といったことであり、それには『対話を通して他者と協働し自律的に学ぶこと(越境学習の実践)』によって、イノベーティブ機能が発揮される、ということなのでしょう。

そして、それは『お互いの特異性を活かして共創する『交歓』の時代』へ突入するだろうと言われています。


4、『交歓』とは?

 
青山学院大学の香川准教授は、『交歓』の意味について「多様な人たちがお互いの特異性を活かしながら、おもしろさ、楽しさを創り合う」こと、

続けて、その特色を「コミュニティを構成する人たちが自己や他者の損得より、コミュニティ創造とその発達を主軸としている点」と述べています。

その背景には、組織の雇用保証が危ぶまれる中、働くモチベーションは個々のキャリアと社会貢献に価値を見い出す方向へと移ることから、単一の組織に縛られることなく、多様な自己の組み合わせ(ヨコのつながり)を求める。

と考えられています。

そして、結果として『個の特異性(ギャップ)』が発生源となり、『知のアップデート』が起こり、『創造(イノベーション)』が生起される。

といった事なのでしょうけど。

理屈は何となくわかりましたが、では、単一の組織に縛られず、組織の外で『つながりを生む環境』はどのようなものがあるのでしょうか?


5、越境学習を実践する事例


社会人教育といえば、大学の十八番ともいえるので、「共創の場」を謳う大学の事例を調べてみました。今回もまた、恣意的な抽出です。

 5-1、(大阪)関西大学 梅田キャンパス KANDAI Me RISE

 以下3つのエコシステム機能により、大学が社会人へイノベーションのきっかけを提供。
①異業種サロン:
コワーキングスペースとしての場の提供と人的ネットワークの拡充するサービス(イベント等)を提供。
②スタートアップ支援:
起業したい人、企業を支援したい人が集まり、イノベーションを生み出すきっかけを提供。
③社会人向け大学院教育:
大学院教育プログラムからビジネス講座など、社会人に必要な専門性ある学びを提供。
※その他:
スターバックスカフェもあり、個人の憩いの場(マイプレイス)も提供。


 5-2、(東京)早稲田大学 日本橋キャンパス WASEDA NEO

 以下3つのエコシステム機能により、大学が社会人へイノベーションのきっかけを提供。
①コミュニティラウンジ:
コワーキングスペースとして会員同士の交流の場、または働く場所としても提供。
②パイオニアセミナー:
ビジネスに関係する社会人に必要な専門性ある学びを提供。
③実践的研修プログラム:
履修証明プログラムの一環で、専門的なビジネスの知識を演習を交え学修する機会を提供。


双方に共通していることは、多様な人々が集い、学びと対話を介し、知のアップデートを図り、イノベーティブ機能につなげている、といった点といえるでしょう。まさに越境学習。

ちなみに、コワーキングスペースは近年、増加傾向にあり、知の拠点である大学が保有すれば一石二鳥とも言え、今後の大学運営で重要な要素なのかもしれません🙄

でも、越境学習と言えば聞こえはかっこいいですが、自分に足りない部分があれば、学びに行こうと思いますし、自然に皆さんやってることなんでしょうね😅💦

今回の事例は都市型のものなので、機会があれば地方型や、オンラインでの越境学習の事例についても触れたいと思います。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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