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真夜中の五分前

大好きなバラエティのひとつに日テレ系でやっているAnother Skyという番組がある。もう誰もが知る長老番組になりつつあるが、わたしは普段あまりテレビを見ないのだけどこの番組だけずっと見続けている。

とは言いつつも、ここ2年くらいずーっと撮り溜めしていてなんだかんだ忙しいことを理由に全然見られていなかった。ところが家に籠るようになって、これまで過去の分をひたすら見続けている。

その中で行定勲監督が出演された番組があって、彼が撮影した『真夜中の五分前』という映画が気になっていた。見たい見たいと思っていてもわたしはだいぶものぐさなので、うまいことそのタイミングが見当たらず、放っておいていたままになっていた。

ところが、つい先日主演を務めていた三浦春馬さんが亡くなったという訃報を聞く。これも何かの縁だと思い、意を決して見てみることにした。

<あらすじ>
ルオランとルーメイという双子をめぐる不思議な物語。

時計修理工の青年リョウは、知りあったばかりの美女ルオランから、彼女の双子の妹ルーメイへの婚約祝いのプレゼント選びを手伝って欲しいと頼まれる。魅力的なルオランにひかれるリョウだったが、ルオランはルーメイの婚約者ティエルンを愛しており、大切な妹への嫉妬心に悩んでいた。リョウはそんなルオランの気持ちを優しく受けとめることで少しずつ彼女との距離を縮めていくが、ルオランとルーメイが旅先で事故に遭ってしまう。

この映画の元々の原作は本多孝好さん。本多孝好さんといえば、遥か昔『Missing』という本を読んだ。が、あまりにも昔に読んだのであらすじ等全く覚えていないというのが悲しいところ。それでもその当時、どうにも食えない作品だなと感じた覚えがある。捉え方によっては深みにはまる作品だった。

今回の『真夜中の五分前』という作品も、わたしからしたら実に食えない作品だった。この作品の骨子は、双子が軸として描かれていることである。特に顔の似通った二人となると、一体どちらがどちらなのか分からなくなってしまうというところがミソである。見終わってあらすじ把握した時に大体こんな感じだろうな、という筋道を立てはしたが、どうなんだろう。ちょっとモヤモヤする感じ。それにしても、今も昔もなぜか男はミステリアスな女性に惹かれるのだよね。これもまた不思議なセオリーだ。

一方で、三浦春馬さんの演技というのは他の同年代の俳優さんと比べても、演技がどうも突出している気がする。みる作品によって、見え方が全然異なる。この人はこのまま行くときっと、大物になるんだろうなと感じていた。何よりも彼の考え方が好きだった。昔三浦春馬さんがALS患者の役を演じた『僕がいた時間』は、彼の演技の深さを感じた作品だった。何より彼はALS患者の存在を知ってから、何年もずっとこの役を演じて世間の人たちに実情を知ってほしいという思いがあったということを何かの雑誌で読んだ。本当に惜しい人を亡くしたと思う。

ちなみに、Anotherskyで行定監督は、台湾出身の候孝賢監督の映画に大きな影響を受けたそうだ。これもまた気になって、ちょっと見てみた。1987年製作の『恋恋風塵』という映画だが、これまた何だかどこか懐かしくどこかみずみずしい、わたしが好きな雰囲気の映画だった。

確かに影響を受けたということだけあって二つの作品はとてもに通っているような気がした。誰かに影響を受けて、そして自分なりにアレンジする。行定監督が評価されている理由がなんとなくわかった。

それにしても、今日は昨日までの暑さが嘘のようにただただ涼しかった。

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