#5. 人とのつながり。(『しあわせのパン』)
急にお腹が減った。最近朝ご飯はもっぱらご飯ばかりを主食としていたのだが、そろそろパンを食べようと思う今日この頃。そんな中、友人から教えてもらって見た映画。田舎暮らしの素晴らしさを再認識させられる作品でもある。
あらすじ
北海道・洞爺湖のほとりの小さな町・月浦を舞台に、宿泊設備を備えたオーベルジュ式のパンカフェを営む夫婦と、店を訪れる人々の人生を四季の移ろいとともに描いたハートウォーミングドラマ。りえと尚の水縞夫妻は東京から北海道・月浦に移住し、パンカフェ「マーニ」を開く。尚がパンを焼き、りえがそれに合ったコーヒーと料理を出すマーニには、北海道から出ることができない青年や口のきけない少女とその父親、思い出の地を再訪した老夫婦などさまざまな人々がやってくる。
ちなみに、劇中の舞台となる月浦は架空の街と思いきや、実在する場所らしい。
夫婦の習慣
劇中では、パンを営む夫婦のこんな習慣が目につく。
どんどん周りには月じゃないものが増えていった
良いことがあると、持っている小銭を瓶の中に入れていく
すごく素敵な習慣。そしてその表現の仕方もほのぼのしていて良いなあと思った。若干ロマンティック過ぎるきらいがあるけれど。積み重なるたびに、幸福な日々を振り返ることができる気がする。
しあわせの価値観は、きっと人それぞれだ。お金がたくさんもらえるからと言って、それは必ずしもしあわせと直結しない。
四季折々のお話。
この映画を見ていると、季節が移りゆく日本という国に住むことってなんて素敵なのかということに気づかせてもらえる。そして特段劇的な展開がなくても、平穏であるというだけでしあわせなんだということに気づかせてもらえる。こんな夫婦は理想型だと思いながら微笑ましく見ていた。それぞれのタイトル勝手につけるとこんな感じ。
第1話 夏:青年と東京
第2話 秋:お母さんのポタージュ
第3話 冬:老夫婦の思い出
第4話 春:家族になること
特に好きなのが第3話。雪が吹雪く中降り立った老夫婦。彼らはひょんなことからパンカフェ「マーニ」にしばらく滞在することになる。その間、もともとパンが嫌いだった奥さんが、「あたし、明日もこのパン食べたいなぁ」と言うのだ。その瞬間、おじいさんが自分の犯した間違いに気づく。
誰かと寄り添って生きる、ということはこんなにも尊いのか。
人とのつながり
映画を見終わったら、なんだか丁寧にパンを作りたくなった。というわけで早速近くのスーパーに立ち寄ったのだが、なんと昨今のコロナショックの影響によりドライイーストも強力粉も売り切れてしまっていた。悲しい。
あと、映画の中での好きな言葉。「カンパニオ」。
水嶋くんが好きな言葉で、元々はパンを分け合う人々のことを指すらしい。そこから仲間という意味につながっていったらしい。偶然なのか、日本で発する「乾杯」と発音が似ている。
乾杯の数だけしあわせになれるんです。
1日の終わりを誰かと乾杯して締めくくれたのならそれはしあわせだと。
確かに、誰かとグラスを突き合わせて一緒に食卓を囲むほどしあわせなことはないだろう。
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