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プロデューサーの仕事を考える#2/指針を整理する

前回、プロデューサーの仕事について、提供領域からコミニュケーションゴールの設定について書かせていただきました。

▼前回の記事
https://note.mu/daidara_bochi/n/nf10f73a5ee11

《おさらい》私の考えるプロデューサーの提供領域

▼コミュニケーションゴールをつくる
▼指針を整理する←今回はココです
▼施策が作用するグランドラインを描く
▼評価指標をつくる
▼施策を仕立てる
▼施策を評価する
▼ゴールづくりに戻って仕立てなおす


指針を整理する

プロデューサーの仕事はこうあるべきというニュアンスで、偉そうに書いてしまいましたが、基本的にプロデューサー単体で成り立つ工程は少ないと思います。特にこの工程は、マーケットデータを保有してたり、マーケットの調査に長けたチームとの協働作業が必要です。
しかしながらプロデューサーの意義はコミュニケーションゴールに向かって、施策が作用するあり方をプロジェクトの発生段階から整え、出資者であるクライアントと目線を合わせるためにチームを誘導することだと考えています。
なので、必ずしもすべてのオペレーションを自身で行うわけではなく、行わないけれどもオペレーションが有効になるように(ゴールにしっかり向かうものになっているように)この指針を整理するという工程も積極的に推進していくべきでしょう。

スタンスの話から入りましたが、この工程はよく就職活動や社会人1年目とかで出てきそうな「5W1Hを整理して話すように」を、コミュニケーションプロジェクトに活用していくイメージです。

この行程は、コミュニケーションの対象は「何なのか」「誰に向けてなのか」「いつ実施するのか」「どこで実施するのか」を整理していくことだと考えています。

▽コミュニケーションの対象は「何なのか」

この工程と、次の「誰に向けて」については、わりとクライアントさんのオリエンにもありますがいずれにせよ深堀は必要です。

対象は、新商品・ 既存商品・複数商品のどれなのか。どれか明白な場合その商品の性質は、前記事でもとりあげた、低関与商材(お菓子など少額で買えるもの。購買決定の要素が少なく瞬間的な判断がくだるもの。)か、高関与商材(車などのように高額で慎重な検討を経て購買の判断がされるもの)か。低関与商材の場合、バリエーション展開が豊富なものであればどの種類が対象なのか。その商材はどんな価値を持っていて、実際どんな選ばれ方をしているのか。これからどんな選れ方をする可能性を秘めているか。というようにこれだけでもどんどん深堀が必要で、その結論によって取る施策が全く変わってきます。高関与商材も同じ思考のフレームで深堀ります。

コミュニケーションの対象は、他にも企業・ブランド・サービス・企業のサイトや会員組織など粒度はさまざまありますし、施策はやはり全く違ってきます。ここら辺の整理がないまま、いきなり施策のアイデアフラッシュを出しても、判断軸ができてないので、クライアントさんも承諾できないですよね笑 逆に言えば、ここら辺が整理できるチームが組めるか、しっかり予算の中でチームメンバーに不利益はないかを見立てるのもプロデュースの一貫だと考えています。


▽コミュニケーションの対象は「誰に向けてなのか」

コミュニケーションターゲットの選定パートです。まずは、年代・性別・居住地などの整理がベースに来るでしょう。次に年収・家族構成あたりも。どんな趣向があるのか?情報感度は高いのか?流行っているという実感があった上で動く人なのか。という攻略の糸口を見つけるところまで行きたいですね。ポイントはこれらの要素が、購買など顧客のオファーに影響があるかどうかです。対象の商材が、住んでいるところで差がなかったり、幅広い年代に支持されているケースもあると思いますので、どのターゲットが動く可能性があるのかの見極めが重要です。

また、対象を定めたはいいけど、コミュニケーションでしっかりリーチできるかどうか。これは施策を仕立てる際に注意が必要で、メディアの選定やセグメントで担保していくのか、ターゲットに引きのあるコンテンツで勝負していくのか、を設計していくのもプロデューサーの仕事だと考えています。


▽コミュニケーションは「いつ実施するのか」

コミュニケーションの実施タイミングはいつ、どんな頻度や回数で、どのくらいの期間実施するのか。当たり前のように詰めなければいけない要素ですが、「なぜ」という理由づけもセットで整理する必要があります。商戦期だから。意思決定のリードタイムを鑑みてボーナス期のちょっと前から態度変容を狙いたいから。年末の帰省タイミングを狙ってetc.. コストにも直結するパートなので、理由づけとともに効果が最大化するタイミングを設定する必要があります。


▽コミュニケーションは「どこで実施するのか」

コミュニケーションの実施場所・作用させる場所の整理です。ターゲットに接触できるコンタクトポイントもこのパートで整理してしまうのがわかりやすいと思います。例としては、全国・都市圏・東京のみ・海外というような物理的なエリアを示すもの。WEB上・SNS上・TV・通勤電車中・店頭などメディアやプラットフォームの性質のものがあります。実施する場所によって施策も大いに変わってきます。ここも「なぜそこでやるのか」とともに整理をしましょう。コミュニケーションターゲットが若年層中心であれば、WEB上・SNS上などデジタルでの影響度を第一に考えてもいいでしょうし、シニア層ではその逆のアプローチをとるのかどうか。ここも前述の商材の性質・ターゲットによって変数が大きいパートです。安いお菓子のような低関与商材であれば、日常的な情報の刷り込みと店頭が勝負になります。店頭はパッケージやPOPなどの引きは重点ポイントですし、日常的な情報の刷り込みはTV?WEB?SNS?チラシ?と最適なメディア選定とセットで捉えていく必要があります。

以上今回は、指針の整理についてでした。
改めて、ここの工程、プロデューサー1人でやるものではありません。ストラテジープランナーやリサーチャーなどと連携して精度を上げていく必要があります。コミュニケーション指針の根拠づくりのために、どんなマーケットパネルを活用していけるのか、日頃頼れるネットワークを持っておくことが必要です。ただその先、データが出てきた後に、「どう見当をつけていくか」はプロデューサーの選球眼が必要です。コミュニケーションゴール設定と同じく、発注者であるクライアントと目線が合うことが大事なので、うまく相手を乗せられるか=腑に落ちる・納得できているものか見極めていかないとなりません。その納得を生むものは、工程を1つ戻り、コミュニケーションゴール(コミュニケーション課題を解決する)に向かったものであるかどうか。という1点の評価軸に照らして整理していくといいでしょう。


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