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花束みたいな恋をした、を観てきた

映画「花束みたいな恋をした」と観てきました。それだけなんですが、すごい良かったので記録的な感じで、この感情を残しておきたくて、書きます。

ストーリーに関しては、まあ、いいですよね。説明しなくて。

とんでもなく共感が溢れている作品で、観ながら終始、これは自分の感情を描かれているのではないかと感じていました。

ある男女が恋して、そして別れていく姿を描いているんですが、もうどこを切り取っても共感しかない。

まず、付き合いだす前の段階。もうね、恋に落ちるってこういうことだよねっていうことが連発して、ぐさぐさきます。いきなり誰かを強烈に好きになるってことないじゃないですか。なんとなく、自分と感じることが一緒なのかなあって思ったり、この人は自分と価値観が合いそうだなあっと思ったり、そして自分が大切にしているものをこの人も大切にしているのかもしれないなあって思ったり。

いくつかのことが積み重なって、それが気づいたら決定打になっていくわけですよね。あ、俺、この子好きだ、みたいな。

それが「花束みたいな恋をした」ではすごく丁寧に描かれていて、いや、もう丁寧に描くしかないんだけど。

2人が強く響き合うのがカルチャーなんですが、好きな音楽や好きな本や好きな映画、好きな漫画が一緒ってだけでめっちゃ嬉しくなる。

でもそれは表層的なところで、この二人は物事に対してのスタンスがすごく似ている。それを端的に伝えるためのカルチャーだったのかなって思う一方で、自分の経験にも響いてくるわけです。

昔、自分がすごい好きになった女の子と付き合う前に交わした会話でめっちゃ印象に残っていることがあって、ある作家の話になって、その作家について話しているつもりが二人とも違う作家の作品について話していたんですよね。後日、本棚を見ているときに気づいて、それを言ったんです。そのときの空気が、「花束みたいな恋をした」には流れていた。

2人がダメになっていくのもわかって、でもちょっとここは強引かもって思ったけど、学生から社会人になりたてのころってこうだよなあと思う気持ちもあり、結局はぐさぐさきました。

最終的に思うんだけど、「恋」と「愛」は違うのか。「恋愛」と「結婚」は違うのか。いや「愛」と「結婚」を同列に語るのは危険だと思うけど・・・

この映画の主人公二人は、5年に及ぶ恋愛を「楽しかった」と振り返る。そしてちゃんと別れて、お互いちゃんと前に進んでいく。

でもきっともう「楽しかった」と心の底から思えるような恋愛ができないと知っているような気がする。それが映画館を出たときに感じたことだった。

この二人はきっとこの先人生にまみれながらもなんとか生きていき、そして結婚して、生活が始まり、生き続けていくのだと思う。でもきっとあんなにも「楽しい」と思えた関係は誰かと築けないんだと思う。そのパワーは、もうないし、もう使ってしまった。

これはきっと20代の初め、社会に出る前後でもみくちゃにされながら恋愛した誰もが共感することで、多分その楽しさだけで生きていけることなんだと思った。

過ぎたら、もう二度と出会うことができない感情。だからやっぱ恋愛っていいんだろうな。

この映画はこのあと何度も観返す気がしています。

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