自分の意思で、自由に死ねるスイッチ

中学高校の頃、真島ヒロ先生の「レイヴ」というマンガにハマった。
同級生の一部は「ストーリー設定がガバガバ」と言っていたが、自分の中ではそれをも上回る真島ヒロ先生の“想い”が伝わってきて、好きだった。

このレイヴの作中で、竜人(ドラゴンレイス)のレットというキャラクターが出てくる。
彼は王族の末裔で、作中では2回、自分の中に宿る“スイッチ”を押す。
1回目は竜人が成人(人型)になるため「解竜の儀」を行うスイッチ、2回目は人型から竜になるスイッチである。
中身の詳細は省略するが、どちらも自分の意思で変身・変態することができるのである。

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昨日、自分は発熱で体調を崩し、別室の布団で1人静かに休んでいた。
家事や育児は完全に嫁に任せきり。
布団に入りながら、子供の声と言うことを聞かない子供に対する嫁の声を、静かに聴いていた。
体調がよければ当然ヘルプに行くのだが、このときは病人の身であったため、さすがに自重した。
子供と嫁に移してしまったら元も子もない。

と、同時に。
遠くから声が聞こえている状況に
「自分が死んだ後に、空から声を聞いているような感覚」
を覚えた。

凄いゴタゴタしているけど、自分は助けに行けない感覚。
でもそのゴタゴタにどこか安心しているような感覚。

肉体の感覚も感情の感覚もあるのに、どこか自分が死んでしまったような、別の感覚を持っていた。


その時、ふとこんなことを考えた。

もし人間に、自分の意思で、
自由に死ねるスイッチがあったとしたら

今なら安心して押せるかもしれない

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もし人間が皆、“自分の意思で自由に死ねるスイッチ”を持っていたら、世界はどうなるだろう。


人身事故がなくなるかもしれない。

安楽死の議論が必要ないかもしれない。

“死んだ人”を片付ける仕事ができるかもしれない。

そもそも自殺の定義が変わるかもしれない。

希死念慮を持った人が気軽に「押して」しまうかもしれない。


少なくとも、現代の日本では「自分の意思で死ぬこと」は、社会通念上許されていない。
だけどもし、こういうスイッチが人間に備わっていたら…?
“レイヴ”のレットのように、自分の意思で押すことができたら…?
一体どんな社会になるのだろうか。

今の自分に希死念慮はないが、ふとこの“スイッチ”で物語を作ったら面白いなと思った、そんな年末。

皆様、良いお年を。

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