見出し画像

ダイエットで教えるKPI

「先輩、さっき部長が言っていたKPIって何ですか?」

仕事をしていると隣に座っている後輩から質問が飛んでくる。顔を向けると、後輩はこちらを真っ直ぐに見つめていた。

「なんてストレートで純粋な質問なのだろうか。。。」

僕はふと子ども科学電話相談を思い出した。


そして、改めてKPIについて答えようとした時、僕はすぐにわかりやすい説明をすることができなかった。その場では何とかそれっぽいことを言って場を凌いだものの、いまいち自分の中で納得のいく説明ではなかったように思う。

「これは復習しておかないと、またあの目で見つめられてしまう。」と危機感を抱いた僕は、このnoteを通じてKPIについて学び直したいと思った。

ということで、今回はこの本を利用してナレッジを纏めたいと思う。

この本はちょうど去年の今頃くらいに読んだ本。説明がわかりやすく、例えも良かったことを思い出した僕は、早速本棚の奥からこの本を引っ張り出した。

---ここから---

KPIって何ですか?

KPIとは、「事業成功」の「鍵」を「数値目標」で表したもの。簡単ですね。そして、この単純で簡単な一文にKPIのすべてが詰まっているのです。

最大のポイントは、事業をただ「数字」で見るだけではなく、「事業成功」の「鍵」を「数値目標」として見ることです。「事業成功」「鍵」「数値目標」と3カ所を「」にしているのはそういう意味です。

大事な部分を強調しているのです。つまり、KPIマネジメントをしているということは、「事業成功 」が何なのかと分かっていないとKPIマネジメントは始まらないのです。また、重要な鍵は1つなので、たくさんの「数値目標」を見ているのもKPIマネジメントではありません。この「1つ」というのは、とても重要なキーワードです。

まずは覚えておきたい3つの登場人物

主要登場人物は次の3つ。

①KGI(Key Goal Indicator)=最終的な目標数値

②CSF(Critical Success Factor)=最重要プロセス

③KPI(Key Performance Indicator)=最重要プロセスの目標数値

KGIはKey Goal Indicatorの略で、最終的に期末に到達したい最も重要な数値目標のことです。一般的には、企業全体であれば利益などの数値目標がそれにあたります。

営業組織であれば売上目標数値などが、あるいは事業開発であればユーザ数などの目標数値などがKGIにあたります。KGIは期末終了時に到達したいゴールの数値のことです。わざわざゴールの話から始めているのは、しばしば関係者間でこのゴールの認識がずれていることがあるからです。

CSFは「最重要プロセス」

ゴールが何か、その数値目標はいくらなのか、確認して合意が得られると、次は主要登場人物の2つめのCSFです。CSFはCritical Success Factorの略です。直訳すると「重要成功要因」。事業成功のポイントを表しています。

KGIを達成するためには、やらなければならないプロセスがたくさんあります。プロセスですので、結果であるゴールではなく事前に実施する内容のことです。つまりCSFをきちんと実行していれば、結果としてゴールにたどり着けるプロセスがCSFです。

例えば、営業組織であれば、売上というゴールの前に、その売上を上げるために行う顧客訪問や提案活動などのプロセスを指します。また、プロセスなので、現場がコントロールできるものである必要があります。現場の努力で変化するプロセスであることは必須です。そのプロセスの中で、最も重要なプロセスを1つ選択します。それがCSFです。

KPIはCSFを数値で表したもの

そして3つめが真打登場。KP1です。Key Performance Indicatorです。KPIは、2つめの登場人物であるCSFを数値で表現したものです。つまり、最も重要なプロセスであるCSFをどの程度実施すれば、期末にKGIが達成できるのかを表す数値がKPIです。逆に表現すると、期末時点でKPIを達成していれば、結果としてKG1は達成できているといえます。

KPIについてまとめます。KPIは、KGIの先行指標で、(現場がコントロールできる)プロセス指標で、CSF(事業成功の鍵)の数値目標です。

KPIマネジメントのステップ

STEP1:KGIの確認(利益◯◯億円など)

STEP2:ギャップの確認(「現在」と「KGI」のギャップは◯◯)

STEP3:プロセスの確認(モデル化)

STEP4:絞り込み(CSFの設定)

STEP5:目標設定(KPIの目標設定は◯◯)

STEP6:運用性の確認(生合成・安定性・単純性があるかどうか)

STEP7:対策の事前検討(KIP悪化時の対策と有効性の事前検討)

STEP8:コンセンサス(関係者との合意)

STEP9:運用

STEP10:継続的に改善


ダイエットを例にしたKPIマネジメント

対象:自分
目的:ダイエット
期間:1年間(2019年4月〜2020年3月)

最終決裁者:自分
承認者:妻
事務局:妻・ジムトレーナ

STEP1:KGIの確認
体重66kg

STEP2:ギャップの確認
▲4kg 70kg→66kg

STEP3:プロセスの確認
体重減であれば、「摂取カロリー」ー「消費カロリー」をマイナスにすればよいのです。1㎏の体重を減らすには、脂肪1グラムは7キロカロリーなので、摂取よりも7000キロカロリー消費を多くすればよいわけです。

ですので、例えば4㎏を減らすには「7000×4㎏= 2万8000キロカロリー」の消費を増やせばよいことになります。ただし、これではピンときませんね。

期間を4カ月とすると、1カ月あたり7000キロカロリー。1日あたり7000÷30日=230キロカロリーとなります。

数字は小さくなりましたが、これでは何をしてよいのか分かりません。230キロカロリーとは、運動でいうと1時間30分くらいの早歩きで消費します。食べ物ではご飯茶碗1杯程度です。これでイメージがついてきます。

毎日早歩きするか、ご飯を1杯減らすか、あるいはそれらを組み合わせればよいのです。ただ、運動だと1時間30分必要ですので、これだけの時間を確保して減らすのは厳しいと思います。もちろん、筋肉量を増やして基礎代謝を増加させるのは必須です。

これは企業における、コスト削減のパートと同様です。これをしておくと、運動量や食事制限が軽くなります。

STEP4:絞り込み/STEP5:目標設定

1日90分の早歩きか、1日お茶碗1杯分のご飯削減です。ご飯は自宅で食べることが多いので、家族の協力のもと、晩御飯でお茶碗1杯減らすことにしました。そして、外食をした場合は、週末に90分の早歩きを行うことにしました。そして、それは貯金できるようにし、4カ月で16週、32日休みがあるので、25回を90分歩くことを設定しました。これがKPIです。

STEP6:運用性の確認

カレンダー週末部分に赤丸か何か印をつけて合計数値を「見える化」しておけば良いでしょう。これも単純ですし、整合性がありますし、安定的に実施できそうです。

STEP7:対策の事前検討

例えば、16週中、32日の土日中25日は90分早歩きであることを決めました。これは、週に1日程度外食をするため、そこでカロリー減できないのを補てんするためです。

ところが、想定以上に外食が増える、あるいは外食時のカロリー摂取が多かった場合、体重減に悪影響を及ぼします。そのような場合どうするか。

方法は2つです。夕食に加えて朝食からもカロリーを減らす、もしくは休日に加えて平日も早歩きで歩き始めるというものです。平日だと時間が限られているので、例えば3分の1の30分の早歩きの時間を設けるというものです。1カ月目の体重減少が1㎏に満たない場合、平日3日間30分間の早歩きを行うと決めておくわけです。

STEP8:コンセンサス/STEP9:運用

コンセンサスを得て運用していく次に、関係者との合意を得ておくステップと、実際に運用していくステップです。事前準備のステップで最終決裁者と承認者と関係者を明確にしています。これらの方々とKPIマネジメントの内容を確認し、コンセンサスを得ます。何のコンセンサスを得るのか。

1つは、KPIをこれにするということ、そして、この数値にするということです。もう1つはリスク対策の承認です。事前に、どの時点でどの程度数値が悪化したときに、何をするのかコンセンサスを得ておきます。

STEP10:継続的に改善

KPIとKG1の両方とも達成というのが最も素晴らしいストーリーです。しかし、そうではないケースも起こります。

①KPl達成→KGI達成
②KP1達成→KG1未達成
③KP1未達成→KGI達成
④KP1未達成→KGI未達成

これら4つの組み合わせが考えられます。KPIとKG1が両方とも達成、未達成というのは理解しやすいです。本来、このような相関があるべきです。正確に表現すると、両方が未達成の場合は、本当は期中に手を打って、こうならないようにしなければいけません。しかし、KPIとKGIの達成、未達成がちぐはぐになっているのは、まずい状態です。構造的に間違っているわけです。つまり両者の関係性が希薄なのか。それとも関係性はあるけど、その水準、つまり数値が高すぎる、あるいは低すぎるのか、振り返りをする必要があります。絶え間のない改善を行うことで、KPIマネジメントのレベルを向上させることができます。

---ここまで---

復習の良い機会

今回、抜き出してnoteに取りまとめた内容はほんの一部です。今回はダイエットの例を抜き出しましたが、この本にはビジネスシーンでの応用例もいくつか載っています。この本を一冊読むだけで、KPIマネジメントの基礎は身につくと思うので、興味のある方は是非手に取っていただければと思います。

子ども科学電話相談的な質問は、捉え方によっては自身の学び直しに繋がる良い機会だと思います。自分の知識がないことから目を逸らしてごまかすのではなく、学ぶ良い機会だと捉えていきたいと改めて思いました。

子どものように好奇心を失うことなく、歳をとり続けても、ずっと学び続けていける人が最強だよなー、とシミジミと思ったり。。

最後に今回noteにしたダイエットの話題に少し関連しそうな子どもからの質問を紹介して、今日のnoteを終わりにしたいと思います。



最後までお読みいただきありがとうございます〜!よろしければシェアしていただけると嬉しいです!