【エッセイ】息を飲むこと滑ること、その覚書
だくだくと本を読む。言葉を咀嚼し、粒になってもなお咀嚼し、完全にペースト状になるまで噛み潰し、改行も空白も句読点もエクスクラメーションマークもルビも飲み干し、ざらりと舌に残る感触を確かめ、一本だけメンソールが入ったニコチンとタールの重い煙草を吸うと、また新しい本に手を伸ばす。上から下に、右上から左下に、視線を素早く動かし、また言葉を噛み砕いて飲んでいく。ラピッド・アイ。まるで自分にはそれしか残されていないかのように、周りの声も半分ほど残ったドトールコーヒーショップのアイスカフ