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ちょっと無い反戦の物語「歩き娘:シリア・2013年」

<文学(135歩目)>
ノーガードで読んだら、涙で詰まりました。とても美しい文体です。

歩き娘:シリア・2013年
サマル・ヤズベク (著), 柳谷 あゆみ (翻訳)
白水社

「135歩目」は、サマル・ヤズベクさんのシリア内戦を描いた力作です。

ちょっと今までの戦争を扱う書籍と異なり、どう表現していいのか?わからない突き付けるものがありました。

アサド政権下の内戦についてですが、化学兵器を使ったアサド政権を糾弾するのに、これだけピュアで美しい文体が必要だったのか?と思うくらい、文学として完成されている。

足が勝手に歩きだしてしまう。言葉が出せない。色々な障がいを持つ少女の目から見た内戦の現実。

制約有る主人公の目から見た内戦ですが、感情移入も難しいくらいの不条理の中を生きる少女が紡ぐ寓話的だが、とても現実的な文体が心に迫ります。

紛争地域が、ウクライナ・ガザと止まらない、今だからこそ10年以上前に起きた包囲戦をもう一度理解するために読んでよかったと思いました。
少女の言葉「みんな、いなくなってしまったんです。」が何度も繰り返される。

「いなくなってしまった」とは、内戦から逃れるために出国した人、政権に逮捕されていなくなってしまった人、爆撃により瞬時にいなくなってしまった人、色々な運命が一言「みんな、いなくなってしまったんです。」で表現される。

ここに暴力に支配された人々のメッセージが含まれていると思う。

今日で269日目、私の朝のルーティンです。

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