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難民・移民の生活に寄り添う日本語学習支援|日本語教師の想い

多文化・多世代共生のための大人の居場所「コミュニティカフェ@大久保」では、2023年にオープンして間もなく、難民のための日本語学習支援から取り組みを開始しました。


日本語学習支援のきっかけは、外国人相談会での出会いから

きっかけはちょうど今から1年前、日本福音ルーテル東京教会でを外国人相談会を実施した時。日本語学習に意欲的だけど、ほぼ独学・自己流日本語の「何とか生活はできる」学習者と「日本語全然ダメ・英語少し分かります」の難民申請者が相談会に現れたことでした。

最近では優れた多言語対応アプリが日進月歩で開発されています。しかしながら、日本人との交流から日本社会に溶け込み、社会から孤立させない、また、予期しない有事に自分の身を守るためにも日本語能力は必要不可欠なコミュニケーションツールです。

そこで、さまざまな事情を抱えた彼らの個別の生活状況や理解レベルに合わせた指導の必要性を感じ、仲間の日本語教師たちに協力を呼びかけ、コミュニティカフェで対面のプライベートレッスンを提供することから始めました。

「それなら、こちらから出向きましょう!」

さらにまた、大久保という多国籍地域で商売する外国人オーナー店舗では日本語を理解する従業員が少ないこと、その一方で日本語学校に行くお金がない、勉強する時間がない、営業中は店を離れられない、という事情を知りました。「それなら、こちらから出向きましょう」と、まずはわたしたちの協力店舗の店先出張レッスンも始めることになりました。

そこで今回は、その学習指導にあたっている2人の日本語教師支援者に寄稿いただきました✒


コミュニティカフェ@大久保で出会った学習者たち

コミュニティカフェ@大久保で日本語指導を担当している鶴田恵子👩🏽です。 わたしがこのプロジェクトに関わるようになったのは、旧友の牧さんに誘われたことがきっかけです。

約20年日本語指導に携わってきましたが、難民申請者の方々に日本語を教えるのは初めてで、どのように接していいかというところから始まり、教え方や学習者のニーズなど今までの経験だけでは補えない場面に遭遇し、戸惑うこともありました。 

ネパールレストランでの出張レッスン©CWS Japan

しかし、彼らと接し、話を重ねて行く中で、日本語を勉強したいという意欲と、今まできちんと勉強できる環境も持てなかった事実を知り、微力ながら、彼らが日本語を習得することで少しでも日本での暮らしが豊かになればと願い、指導しています。

支援の一環として行なっているコミュニティ・カフェ@大久保のイベントで、日本語支援をしているイラン人の方とイラン料理教室🍴を開催しました。彼はたくさんの日本人と日本語でコミュニケーションを取ることができ、イラン料理の作り方も紹介することができました。

わたしたち日本人は、イラン料理を堪能でき、さらにイランの家庭では男の人でも自分で掃除やベッドメーキングもするという話を聞き、わたしたちが思っていたイランの家庭とは違う事を知り、イランという国についての新たな発見をすることができました。

イラン料理教室の時の様子 ©CWS Japan

このように、日本語学習により、学習者が日本人と対話ができ、お互い知らなかったことを知ることができます。お互いを知ることで敵意や差別が減り、より良い関係を築けると思います。 これからも、学習者が地域に溶け込み、日本での生活がより良くなるよう今後も支援していきたいと思います。

(文:日本語教師 鶴田恵子)


日本語というコミュニケーションツール

言葉というのは最大のコミュニケーションツールです。もちろん言葉が通じなくてもスポーツ🎾や音楽🎹または共に時間を過ごすことで友情が芽生えたり、関係が深まったりすることはありますが、やはりお互いをより良く知り、理解しようとするには共通の言葉が不可欠だろうと思います。

コミュニティ・カフェ@大久保の日本語学習支援で学んでいる学習者の多くは、さまざまな事情で来日し、日本語を学びたいと思いつつも機会がなかった人や、日本語が分からないために孤立し、困窮しやすい状況にある人たちです。

しかし、ここでの「日本語学習支援」の目的は彼らの学びを支援するだけではありません。もちろん、日本語の習得によって彼らが日本社会でより安心して暮らせるようになることが第一ですが、同時に、すぐ近くで生活しながらも、彼らを遠巻きに眺めているだけだったり、特に関心を持たなかった日本人が新たな隣人に出会っていく機会を作り出していくことも重要だと考えています。

私自身も、今まで教えてきた日本語学校にいる留学生とは全く異なる背景を持つ学習者たちと、ここで出会い、彼らが直面している課題を知り、またそれぞれの出身国の文化や社会的状況に関心を持つようになりました。

コミュニティカフェの日本語レッスン©CWS Japan

また、コミュニティカフェで行われる料理教室🍽などのイベントに一緒に参加して、日本人参加者や他の学習者さんたちと交流する機会があり、それが楽しい時間となっています。チュニジア出身の学習者さんは、コミュニティカフェも出店した地域の商店街のお祭で「ブリック」という「チュニジアの春巻き」を作り、珍しい料理に多くの方たちが足を止めてくださいました。「おいしい!」「さっき食べておいしかったので、もう一つください」「中に何が入っているんですか」などの声に、とても嬉しそうにしていました。

コミュニティ・カフェ@大久保で生まれる出会いやつながりは、まだ小さなものですが、これから日本語学習支援を始め、コミュニティカフェの活動に関わる人たちの輪が広がっていくように願っています。

(文:日本語教師 千葉あかね)


CWS Japanでは、このような難民・移民のための生活を支える日本語学習支援を継続していくためにも緊急募金を呼びかけています。読者の皆さまにもぜひ、この支援の輪に加わっていただきたいと思います。

また、コミュニティ・カフェ@大久保は誰にでも開かれた場となっています。月2回(第1・第3水曜日)に開催していますので、ぜひ皆さんも気軽に遊びに来ていただければと思います☕

ご支援に関する詳細は下記URLよりご確認いただけます。

(文:ディレクター 牧由希子)

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