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男はつらいよ~寅次郎星降るエクスプレスの旅

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寅さん+星降るエクスプレスの旅で小説家を書いてみました。
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#フーテンの寅さん

ありがとう寅さん ネコミミ村まつり後夜祭 男はつらいよ番外編

ありがとう寅さん ネコミミ村まつり後夜祭 男はつらいよ番外編

 ネコミミ村まつりの夜、能戸村警察署の牢屋の中で煙のように消え去った車寅次郎。村人たちは総出で村内をくまなく探したが見つからなかった。二日たっても見つからず満男と村人たちは話し合い、村の不思議現象に詳しいにゃんくしーさんが呼ばれた。そのにゃんくしーさんの推理によれば、この村に来たのは寅次郎の亡霊であり、サクの優しい歌声を聴いて成仏してしまったということである。
 この話を聞いた村役場の泉総務課長は

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寅次郎とネコミミ村まつり 男はつらいよ番外編

寅次郎とネコミミ村まつり 男はつらいよ番外編

 葛飾柴又のとらや。夕方夕飯の支度をしていると、突如電話鳴り響く。慌てて受話器を取るさくら。
「はい、とらやですが。え?もしもし、満男?うん……村祭りに叔父さんが来て……うん、それから?……まあ……分かったわ。それじゃ満男、悪いけど叔父さんのこと、よろしく頼むわよ。それじゃあね」
 ガチャンと黒電話を置いて茫然とするさくら。
 心配そうに見つめる博。
「どうしたんだ?辛気臭い顔して。満男からなんだ

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寅次郎とリリーの旅  男はつらいよ番外編

寅次郎とリリーの旅 男はつらいよ番外編

 
 寅次郎の回想

 大宇宙、銀河鉄道の北十字駅とプリオシン海岸の中間に月ほどの大きさの岩石惑星Xがあった。
 銀河鉄道の旅人に、あの星にはダイヤがわんさかあると聞いたリリーは、目の色を変えて源公と一緒にダイヤの採掘へと向かった。
 一方、寅次郎は北十字駅にある居酒屋「銀河亭」で知り合い、自身が結婚の仲人を務めた男女がカフェをオープンすると聞いたので、お祝いに北十字駅へと引き返した。

 岩石惑

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満男の手紙~男はつらいよ番外編

満男の手紙~男はつらいよ番外編

 拝啓 車寅次郎様

 叔父さん元気でリリーさんと旅を続けてますか?
 この前、叔父さんが能戸村に来たときは本当に驚いてしまって、ろくに話もできずに申し訳なく思っています。
 遥々与那国島まで行って僕を探してくれたそうですね。
 もっと色々話したかったのに、叔父さん翌朝には村を出て行ってしまいましたね。そのためこうして手紙を書くことにしました。
 村役場の泉総務課長をはじめ、地域振興課長のあかうま

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寅次郎能戸村への旅~男はつらいよ番外編 【春弦サビ小説】

寅次郎能戸村への旅~男はつらいよ番外編 【春弦サビ小説】

 ここ海に囲まれた静かな漁村、能戸村は数年間で急速に過疎化が進み深刻な医師不足で村の医療が逼迫していた。
 そのため新しく村役場の総務課長に就任した泉課長は新たに村に来てくれる医師を探した結果、沖縄の与那国島で開業医をしている諏訪満男医師、通称Dr.コトー先生に白羽の矢を立てた。
 当初彼は島の医療で手一杯と断っていたものの、泉課長の熱心な勧誘に根負けしついに能戸村へ赴任することにした。

 今日

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寅次郎能登七尾線の旅~男はつらいよ番外編 【春弦サビ小説】

寅次郎能登七尾線の旅~男はつらいよ番外編 【春弦サビ小説】

 

 わたくし京都の宿屋で雪女に騙され、半ば幽霊となって宇宙をさ迷っておりました。
 しかしいつまでもこうして宇宙をぶらぶらしている訳にもいかず、つい望郷の念に駆られて地球へ戻る回送列車に飛び乗ったのでございます。
 わたくしの故郷と申しますのは東京葛飾柴又江戸川のほとりでございます。
 今頃故郷に残したたった一人の肉親のさくら、その夫の博はわたくしを心配してるに違いありません。
 甥っ子の満男

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Cafeヴィレ&居酒屋銀河亭グランドオープン男はつらいよ番外編

Cafeヴィレ&居酒屋銀河亭グランドオープン男はつらいよ番外編

 とらやのさくらと博の元へ再び宇宙郵便で手紙が届く。

 拝啓 諏訪さくら博さま

 この度ひょんなことから北十字駅にある居酒屋で葛城ミサトさん加持リョウジさんと知り合いになり、この2人のたっての願いでわたくしが仲人となりめでたく結婚する運びとなりました。

手紙の中にはどこで撮ったのか和式の花嫁衣裳のお嫁さんと紋付袴を着た新郎さんの結婚写真が挟まってた。

 このご両人今流行りの新婚さんで夫婦別

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居酒屋銀河亭 寅さんとミサト 男はつらいよ番外編

居酒屋銀河亭 寅さんとミサト 男はつらいよ番外編

 北十字駅で一生懸命海砂糖の売(バイ)を行うもまったく売れない寅さんは今夜もふらふら居酒屋銀河亭の暖簾をくぐる。
「へい、らっしゃい」
眼鏡にバンダナ、髭を生やした長身の店主が迎える。すっかりお馴染みだ。
「おやじ酒をくれ」
「へい、旦那どうです景気の方は?」
「今日も全然だめ。ここに来る客はみんな貧乏人かい?こりゃ三途の川の渡し賃稼ぐまで何年かかるのかねえ。酒はゆる燗でな」
「あいよ!つまみは?

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男はつらいよ3~星降るエクスプレス 寅さんからの手紙

男はつらいよ3~星降るエクスプレス 寅さんからの手紙

 拝啓 諏訪さくら 博様

 わたくし車寅次郎は京都の宿屋にて雪女に騙され生死の境をさ迷った挙げ句、半ば幽霊となって銀河の駅で売(バイ)をしておりました。
最近はあの世も物価高騰の煽りを受け、六文銭で渡れた三途の川の渡し賃も、今じゃ666万円に膨れ上がったみたいで。
こりゃ渡るまで何年かかるかと途方に暮れておりましたところ、心優しきさくら様の御計らいにより、銀河鉄道に乗って来たリリーと再会すること

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#曲からストーリー 男はつらいよ2~星降るエクスプレス寅次郎最後の夢

#曲からストーリー 男はつらいよ2~星降るエクスプレス寅次郎最後の夢

 

 夕方のとらや

 アルバイトを返し店を早々に閉めるとさくらは椅子に腰掛け物思いに耽っていた。
そこへ商工会の寄合から博が帰ってくる。
「いやー急な雨で参ったよ。濡れちまった」
「…お帰りなさい」
「ん?どうしたさくら。浮かない顔して」
「今日ね、昼間変な電話が掛かってきたのよ」
「イタズラ電話か?」
「それが変なのよ。どうもお兄ちゃんの声でさ」
「お義兄さん?夢でも見たんじゃないのか。お義

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#曲からストーリー 男はつらいよ1~寅次郎星降るエクスプレスの旅

#曲からストーリー 男はつらいよ1~寅次郎星降るエクスプレスの旅

 わたくし生まれも育ちも東京葛飾柴又です。
帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。

 随分長いこと旅をしてきたが久しぶりに故郷へ帰ろうか。
ふと宿屋の天井見ながらそう思ってね。
いてもたっても居られず宿を出て駅へ行って丁度来た汽車に飛び乗ったのよ。
だけど妙だよ。俺はたしかに新幹線には乗ったけど汽車なんて八作目以降久しく乗ってなかったんだから。
懐かしいなあなん

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