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男はつらいよ~寅次郎星降るエクスプレスの旅

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寅さん+星降るエクスプレスの旅で小説家を書いてみました。
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記事一覧

寅次郎能登七尾線の旅 男はつらいよ番外編

寅次郎能登七尾線の旅 男はつらいよ番外編

 

 わたくし京都の宿屋で雪女に騙され、半ば幽霊となって宇宙をさ迷っておりました。
 しかしいつまでもこうして宇宙をぶらぶらしている訳にもいかず、つい望郷の念に駆られて地球へ戻る回送列車に飛び乗ったのでございます。
 わたくしの故郷と申しますのは東京葛飾柴又江戸川のほとりでございます。
 今頃故郷に残したたった一人の肉親のさくら、その夫の博はわたくしのことを心配してるに違いありません。
 甥っ子

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Cafeヴィレ&居酒屋銀河亭グランドオープン男はつらいよ番外編

Cafeヴィレ&居酒屋銀河亭グランドオープン男はつらいよ番外編

 
 とらやのさくらと博の元へ再び宇宙郵便で手紙が届く。

 拝啓 諏訪さくら博さま

 この度ひょんなことから北十字駅にある居酒屋で葛城ミサトさん加持リョウジさんと知り合いになり、この2人のたっての願いでわたくしが仲人となりめでたく結婚する運びとなりました。

手紙の中にはどこで撮ったのか和式の花嫁衣裳のお嫁さんと紋付袴を着た新郎さんの結婚写真が挟まってた。

 このご両人今流行りの新婚さんで夫

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居酒屋銀河亭 寅さんとミサト 男はつらいよ番外編

居酒屋銀河亭 寅さんとミサト 男はつらいよ番外編

 北十字駅で一生懸命海砂糖の売(バイ)を行うもまったく売れない寅さんは今夜もふらふら居酒屋銀河亭の暖簾をくぐる。
「へい、らっしゃい」
眼鏡にバンダナ、髭を生やした長身の店主が迎える。すっかりお馴染みだ。
「おやじ酒をくれ」
「へい、旦那どうです景気の方は?」
「今日も全然だめ。ここに来る客はみんな貧乏人かい?こりゃ三途の川の渡し賃稼ぐまで何年かかるのかねえ。酒はゆる燗でな」
「あいよ!つまみは?

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男はつらいよ3~星降るエクスプレス 寅さんからの手紙

男はつらいよ3~星降るエクスプレス 寅さんからの手紙


 拝啓 諏訪さくら 博様

 わたくし車寅次郎は京都の宿屋にて雪女に騙され生死の境をさ迷った挙げ句、半ば幽霊となって銀河の駅で売(バイ)をしておりました。
最近はあの世も物価高騰の煽りを受け、六文銭で渡れた三途の川の渡し賃も、今じゃ666万円に膨れ上がったみたいで。
こりゃ渡るまで何年かかるかと途方に暮れておりましたところ、心優しきさくら様の御計らいにより、銀河鉄道に乗って来たリリーと再会するこ

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#曲からストーリー 男はつらいよ2~星降るエクスプレス寅次郎最後の夢

#曲からストーリー 男はつらいよ2~星降るエクスプレス寅次郎最後の夢

 

 夕方のとらや

 アルバイトを返し店を早々に閉めるとさくらは椅子に腰掛け物思いに耽っていた。
そこへ商工会の寄合から博が帰ってくる。
「いやー急な雨で参ったよ。濡れちまった」
「…お帰りなさい」
「ん?どうしたさくら。浮かない顔して」
「今日ね、昼間変な電話が掛かってきたのよ」
「イタズラ電話か?」
「それが変なのよ。どうもお兄ちゃんの声でさ」
「お義兄さん?夢でも見たんじゃないのか。お義

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#曲からストーリー 男はつらいよ1~寅次郎星降るエクスプレスの旅

#曲からストーリー 男はつらいよ1~寅次郎星降るエクスプレスの旅

 わたくし生まれも育ちも東京葛飾柴又です。
帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。

 随分長いこと旅をしてきたが久しぶりに故郷へ帰ろうか。
ふと宿屋の天井見ながらそう思ってね。
いてもたっても居られず宿を出て駅へ行って丁度来た汽車に飛び乗ったのよ。
だけど妙だよ。俺はたしかに新幹線には乗ったけど汽車なんて八作目以降久しく乗ってなかったんだから。
懐かしいなあなん

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