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究極の「アート思考」を"体感"する          新しいリベラルアーツ研修"自円(ZIEN)"が誕生するまで・・・

究極の「アート思考」を体感するリベラルアーツ研修

私はアートを使った企業研修を提供している小さな会社を経営しています。
コンテンツは1日1客のために精魂込めて最大限のサービスを提供する、
超一流レストランのような作り方をしています。
大量生産はできないけれど、質のためには決して手を抜かない。

アートが本来持っている力をビジネスにも活用しましょう!と
"アートxビジネス"を約10年前からビジネス業界に提唱し、企業研修として
プログラムを提供してきましたが、ここ最近デザイン思考の次にくる思考法として「アート思考」というワードを目にするようになり、正直最初はプロとしてやっている身でも、なんじゃそりゃ?!という感じでした。
多分アート業界にいるほとんどの人が同じ感想を持ったと思います。
ただ安易に否定するのはちょっと勿体無い。
アートという言葉そのものがビジネス界に身近になったのは喜ばしいこと
ながら、その使われ方に少し疑問を感じ、私なりに「アート思考」について深く掘り下げてみることにしました。そして見えてきたこと、理解したことを踏まえて改めてお伝えしたいのは「アートは"思考のツール”ではない」、そこは間違えないでいただきたい、ということです。

アートそのものが思考する訳ではないので、アートを生み出すアーテイストの思考法を「アート思考」と一般的に言っているようですが、正直どれだけ
アーティストの思考方法を知ったところで、創造力も想像力も身につくわけではありませんし、ビジネスに役立つとは到底思えません。あぁ、アーティストはそういう風に思考するんだ、という知識が増えるだけ。

むしろ重要なのは、アーティストの捉えた視点、思考を「体感」すること。
身体で感じ取ることことが実は最も大切で、ですからアート思考は「体感」
しなければ意味がないのです。

アーティストの思考法は、過去の一流のアート作品を深く細かく観察し、
洞察し、そこから対話と内省を繰り返し新しい創造を生み出していきます。
確かにこれは一連の流れではありますが、それをすぐ自分に当てはめて
できるかどうか、というとこれがなかなか難しいのです。
なぜならアーティストはそれを「体感」しているから。
なので繰り返しになりますが、本当にアーティストの思考法を身に付けたいのであれば、それを追体験してみることこそ本質です。
そしてその追体験を含めて「アート思考」というならばそれは意味がある、と考えるに至りました。

そこで究極のアート思考を体験してほしい、という思いをベースに、人事のプロの2名とチームを組み、2年の時を経て誕生したのが「自円(ZIEN )」という研修プログラムです。
アートを通して対話と内省を深める、このアート思考体感を重ねることで
●感性・価値の涵養
●視野・視座の拡大
●自身の"スタイル=軸"の再認識・再構築
という3点を養うことが目的です。

上記3点はアートがビジネスパーソンに役立つ”肝”です。
スタイル=軸は、自分らしい判断基準を持ち自己表現することであり、
そしてそのスタイル=軸作りにアートは非常に力を発揮するのです。

 
 

「自円(ZIEN)」は造語ですが、プログラムを通し、自分自身の円を描き、
体感し、対話をし、そして自分を再認識する、という意味を込めています。
ではこのプログラムの概要をご説明しましょう。

 

自円(ZIEN)プログラム概要

円相(えんそう)を描く

このプログラムで私たちが選んだアートの1つが、日本美術の「円相」です。
円相(えんそう)、ご存じでしょうか? 墨でグルッと丸だけ描いたもので、
禅宗における禅画のひとつです。

 

仙厓 「一円相画賛」 (出光美術館 所蔵)

始点終点がない円は、すべてが始まりでもあり、終わりでもある。
つまり無限。それは「宇宙」を表現しているとも言われます。
禅の世界でも悟りの形象・心性の完全円満を表す「○」。

そして円って実は色々日常生活の周りにあるものです。
考えるときぐるぐる歩き回ったり、頭を巡らせると言ったり、
人生も一周回って迎えるのは還暦。
回・巡・還・・・さまざまな漢字がありますが、
内省・内観は直線的なものではなく、すべて円形の「◯」。

また、禅僧が描く究極の禅画がこの円相とも言われています。
なぜか? それは自分の心が表現されるからです。

そこで研修のアウトプットとして実際に「円相」を描いてみます。

手先の不器用な人や絵の下手な人にとって、アート作品を造る、絵を描く、というのはそれだけで高いハードル。
でも墨で円を描くだけなら、誰もができるアートです。

 

一流専門家の講義で追体験

もうひとつ、アーティストの体感を追体験していただくのに必要なのは
作品の観察と洞察。
とはいえアーティストのような観察スキルや美術史の知識を持たないと、
なかなかじっくりと作品を深く味わうことは難しいです。
そこで借りるのが専門家の知識。
彼らの長年の研究や経験をダイジェストし、ポイントを絞ったわかりやすい解説は、感動や驚きを与え、理解を助けてくれます。
とはいえ専門家の先生方はいわばナビゲーター。
観察と洞察をするのはあくまで受講者本人、あなたです。

今回その専門家のお話として選んだのは「日本美術」と「宗教仏教」。
講師を務めていただくのは以下のお2人です。

  
 

いずれも専門家としては超一流のお二方です。
デザイン思考が「課題解決」に対し、アート思考の説明によく言われるのが「問い」の大切さですが、彼らは研究者として「問い」の設定の熟練者で
あり、まさに洞察の起点であることを実践されています。
日本美術や宗教仏教の分野において完璧なナビゲートで、
たとえ今まで馴染みや興味がなかった人に対しても、
「面白い!」と感じる領域まで連れて行ってくださるお二人です。

 

内省・内観を深める哲学対話

もうひとつ大切なステップが、対話と内省です。
専門家ナビゲートで学んだことを踏まえて観察や洞察をすることで、
より深くそのアートと対峙し、さらに一方踏み込んで自分がどう感じたか、何が心にひっかかったのか、どうしてもそう思うのか、などの
内省・内観を深めていくために今回行うのが哲学対話です。
人の話や意見を聴くのは意外に新たな発見があるもの。

そして最後にグループディスカッション、全体シェアをしながら
相互の対話を通じてそれぞれの体感を深めていきます。

 
 プログラムイメージ
※内容は状況によって変更する場合もあり

いかがでしょう?
アートワークと講義、そして哲学対話、この3つの組合せで生まれた
オリジナルセッションである「自円(ZIEN)プログラム」。

日常触れる機会の少ない日本美術の一枚の絵、それを描いた画家の戦略や
生き様、あるいは仏教の"空"の理論や唯識の概念をナビゲートしてもらい、
ライブでリベラルアーツを学びながら観察や洞察を深め、同時に自身への
リフレクションをアートワークと哲学対話でアウトプットしていく、という新しい「アート思考」体感型のリベラルアーツ研修です。

最後に描いてもらう円、自分がどんな円を描くのか?
同じ円は二度とありませんからまさに自分にとっても一期一会です。

次回はトライアルとして開催した初回体験会をご紹介します。

 


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