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【詩】草いきれの中の沈黙


むんむんむんと
息が拒まれる程の湿度
一族の末裔としての
誇りを保ったまま
草いきれの中で恋をする

かたい雑草が感情の襞を縦に斬りつけ
また優しく覆い隠す
太陽の赤を知らないわたしたちは
何も恥じることなくお互いの
葉脈をなぞってそしてそれを飲み干した

この呼吸を誰に伝染させたらいい?
元より何も聞こえはしないけど
神聖な息遣いだけが茂りの奥まで響く
熱で喉が切れそうになるのを耐えて
わたしたちは恍惚さえ疑う

ウツボカズラの葉先から
透明の露がぽたりと落ちて
わたしたちをみてそっと笑った







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