正社員になろう『2023.11.21』
今日は大学に行った。
お世話になった先生に会いに行くためだ。
大学に行ったのは半年ぶり。
卒業して仕事を始めてからは、唯一の休みを大学に使うほどの余裕を持つことが出来なかった。
最後に行ったのは今年の三月二十八日だ。
カフェテーブルのアクリル板が無くなっていた。
マスクをしていない学生が半分くらいいた。
椅子の量が通常に戻っていた。
私が見ていた大学生活が、新しいものに塗り替えられていて、私はそれを知らなかった。四年も通ったのに、簡単に塗り替えられてしまった記憶に少し落胆した。と同時に「楽しいキャンパスライフを送れている人達で溢れていて良かった」とも思った。
先生は担当学生との面談を終えて、私との待ち合わせ場所に来てくれた。
先生は、私の楽観的な性格の原点であり、頂点だ。この人以上にポジティブな人は見たことがない。
「それは大変だったな」
先生に仕事を辞めた理由と、今何をしているかを伝えた。
先生は、経験値や安定、そして私が一番時間を割きたい創作の事を考えると「正社員」として働いた方が良いと思うけどなー、と話した。
私は学生の時から、この人の言葉は信じようと思ってしまう。理由は、嘘がないからだ。
私が優先したいことを分かってくれている。
私の性格やこれまで歩んできた道を分かっている。
だからこそ、こうした方が自分らしくいられるぞと教えてくれる。
うんうんその気持ち分かるよ大変だったねとただ宥める訳でもなく、だからこうしろと言っただろ!と怒る訳でもない。
先生は、私情で考えない。百パーセント私達学生の事しか考えていない。それが伝わるのだ。
「何もしていない、迷っている期間って、良いよな」
何言ってんだこの人は、と思うほどポジティブなのが先生の良さなのだ。
大学時代、もう一人お世話になった方がいる。就職支援課の職員さんだ。
私が就活と卒論とサークル活動に追われていた時、関係ないのに全ての相談を聞いてくれた。
じゃあこの期間は就活より卒論を優先しよう、この時間に面接練習をしよう。
職員さんにとって私はただの相談しに来た一学生に過ぎないのに、とても丁寧で優しく寄り添ってくれた。
会いに行った。
「元気そうで良かったよ」と言ってくれた。
職員さんにも同じように辞めた経緯や何をしているかを話して、先生と話した内容も伝えた。
私の拙い言葉を優しく包んでくれるその姿は、アクリル板が外れようと、私が卒業しようと仕事を辞めようと、変わらないでいてくれた。それだけで心が救われる。
それからハローワークの見方を教えて貰ったり、一緒に求人を確認したり、履歴書の書き方を聞いたりした。
どれもハローワークで聞けよ。
職員さんはそんなことは言わない。全てを教えてくれた。それは「優しさ」なんて軽い言葉では表せないほど素敵な、その人自身の「温もり」なんだろう。私は卒業してもなお、その温もりが恋しいのだ。
「明日ハローワークに行ってきます」
次の仕事は、生きるためにする。やりがいなんて特にいらなくて、割り切って出来るような仕事を探す。
これからも創作をやり続けて、それが実っていけるように、私が影で私を支える。
私の中の光が、輝けるように。
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