ヨーロッパとアジアの間の料理
以前ドイツに住んでいた時には、日本ではなかなか食べられない国の料理を食べることができた。特に、ヨーロッパとアジアの間にある国々の料理を
それはなぜか?
ドイツは、日本と違って移民・難民の受け入れ大国。何十年も前から、トルコや中東などから移民や難民としてドイツへ入ってきた人たちがたくさん住んでいる。そのため、そういった中東などの国の料理が食べられるレストランがいろいろとある。
ただ、必ずしも移民・難民自身が自国の料理を食べるため、という目的ではないだろう。それ以上に、彼ら/彼女らが移住先の国で仕事をする場合には、自分たちの国の料理を出すレストランを開店することが職業として有力な候補になるのだと思う。
こういった「アジアとヨーロッパの間の国々の料理」は、日本ではなかなか食べる機会がないけど、実はとてもおいしい。
我が家もドイツで外食するときは、こういう国の料理をよく食べに行っていたので、家族で好きだった料理をいくつか書いてみる。
なお、言わずもがなだけど、以下は個人の感想です。この地域の食事はよくハーブが使われていたり、中には辛い料理もあるので、食べてみないことには、口に合うのか合わないのかが予測しにくいと思う。
で、こういった馴染みのない料理のレストランへ行ったときは、とにかく「お店の人のおすすめ」を聞いてみよう!それをそのまま注文して、ハズレたことは今までに無い。
なお、自分たち家族としては、特に(1)~(3)が気に入った。
(1) グルジア料理
以前投稿した、友人のウクライナ人とも一緒に食べに行ったことのある、思い出深いグルジア料理。グルジア料理やグルジアワインは、ウクライナをはじめ旧ソ連圏の国ではかなりメジャー。グルジアを旅行した時に食べた料理もおいしかったなー。
ところで、日本に帰ってから、グルジア料理店を見つけて食べに行った。日本のレストランだとだいたい「ロシア料理」と表記されていて、よく見ると「プラス、グルジア料理も提供します」と付記されているところが多い。
そんな「ロシア料理+グルジア料理」を食べに行ったら、日本なのに本格的な味のグルジア料理が食べられて、とてもよかった。特にデザートのリンゴケーキが素晴らしい。
そのお店の店員さんは、殆どがロシアまたは旧ソ連圏の人たち。そのうち一人に声をかけて「このお店では、なんでロシア料理だけじゃなくて、グルジア料理も提供してるんです?」って聞いてみた。そしたら、店長さんと思しき人が出てきて、答えてくれた。この人だけは日本人。
レストランの日本人
「理由の一つ目は、そもそも私が料理を勉強したのがグルジアだったからです。
二つ目の理由はですね。ロシアの料理って、味がかなりプレーンで刺激に乏しいんですよ。それと比べるとグルジア料理は味にちょっとパンチが効いているから、ロシア人が刺激のあるものを食べたいときには、グルジア料理を食べるんです。ほら、ちょうど日本人がスパイシーなカレーを食べたくなる時もあるように。それに、グルジア料理は使われる野菜も豊富なんですよ。
だからモスクワの繁華街に行くと、グルジア料理店がたくさんあります。旧ソ連圏の国でもメジャーですよね。
あと、グルジアはワインもおいしいですね。当たりはずれがありますけども。
とにかくグルジア料理は実力がありますから。これから日本でもどんどん広がっていくと思いますよ」
はい、同感です。
↓ 何年か前にグルジアを旅行した時に撮った写真。
(2) アフガニスタン料理
これはペルシャ料理の一つに分類されるのかな。相当いろんな種類のスパイスやハーブが混ざった複雑な味。他にもヨーグルト・レモン・ミント(これもハーブだけど)などの味が入っている。
興味深いのが、お店の人おすすめのミックス定食みたいなのを注文したところ、「インド風のカレーみたいなもの+中東のラムの串焼き+ウズベキスタンの炒めごはん(プロフ)」が出てきた。つまり、アフガニスタン周辺地域一帯の料理文化が、全部ミックスされているみたい。
エキゾチック感が強くて、味も美味しくて、うちの家内は中東料理の中では一番好みみたい。
(3) ウイグル料理
これは中国の西の端にあるウイグル自治区あたりの料理。中国料理と中東料理が混ざっている。家からそう遠くないところにウイグル料理店があって、安くて手軽に食べられるお店だったから、これまで数えきれないほど食べに行った。アジアの料理に近いので、日本人の口に合いやすいと思う。うちの家族もみんな大好き。
↓ もう20年くらい前になるだろうか、ウイグル自治区を旅行した時の写真。この時にはじめてシシカバブ(羊の串焼き)やラグマンという麺料理を食べた。
(4) レバノン料理
ドイツで働いていた時の会社の同僚の奥さんは、レバノン難民としてドイツに来た人。その同僚が以前、会社にレバノン料理をケータリングして、みんなに振舞ってくれたら、かなりおいしかった。
その同僚のおすすめのレバノン料理店へ行ってみても、やっぱりおいしくて、特に前菜の小皿料理が出色だった。
(5) イスラエル料理
イスラエル料理については、ドイツで食べたことは一回くらいしかない。けれど、家族でイスラエルを旅行した時に食べた現地の料理がなかなかおいしかった。
イスラエル料理は、ペースト状のものをパンにつけて食べることが多い。息子は、イスラエルのパンが今までで一番おいしかったと。
↓ エルサレム旧市街の岩のドームと繁華街。
お店の人のおすすめを聞いてみよう
いかがだったでしょうか、ヨーロッパとアジアの間の地域の料理。日本でも大都市で探せば、どこかで食べることができる。
繰り返しになるけれど、あまり馴染みのない料理を食べに行ったら、ぜひ「お店の人のおすすめ」を聞いてみよう。予想していなかった新しい料理との出会いがあるはず。
また、そうやって出てきたものについて、選んでくれた人に質問したりしたら、いろいろと説明してくれて面白い話が聞ける・・・なんてことがあるかも。もちろん、運不運によって良い経験ができるかどうか違ってくるけど。
食べることを「自分の物語」に
こういった、知らない料理を食べることや、お店の人たちとのやり取りも含めて、「食事」というものを、単に味わうという枠を超えて、「自分の物語」にできないだろうか。
もちろん、味がおいしいか、そうでないかは大事な要素。素晴らしい味によって、感動することもあるだろう。
けれども、食事をとおして心を震わせる要素は、他にもあるはず。例えば、自分の旅行した国の料理を日本で食べに行って、旅行の思い出を改めてかみしめるとか。もしくは、知らない国のことを調べて、日本でその国の料理を食べにいく。さらに、そんな料理を出してくれるお店の人から、自分の知らない話を聞く。
そうやって、食事を「経験」として総合的に楽しむことができたなら。言い方を替えれば、食事を自分の「物語(ナラティブ)」として思い出に残すことができたなら。そうすれば、食事を単なるおいしい経験というだけではなく、自分の人生を豊かに彩る色彩を増やすことになるのではないだろうか。
僕にとっては、グルジア料理も、アフガニスタン料理も、ウイグル料理も、レバノン料理も、イスラエル料理も、どれも自分と家族にとって思い出深い人生の大事な一部になっている。
みなさんはどんな切り口で、食事を「人生の大事な思い出や経験」として楽しめるでしょうか。
by 世界の人にきいてみた
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