無花果の花
夏がやってくると、
たちまちいちじくが恋しくなります。
店頭に並んでいたら、けして素通りできない果実の一つなのです。
夏果と秋果があり、
暑いのはイヤだけれど、
西瓜より桃よりなによりも、いちじくを秋まで味わい愉しめる季節が来たのが嬉しくてなりません。
こんなに大好きないちじく、
実は子供の頃、なんだか苦手でした。
りんごやみかんとは明らかに違う
どこか神秘的な佇まいや、
切ったら突如現れる鮮やかな赤褐色、
蠢いたらどうしよう、とも思える数えきれない小さな何かの集合体に、なんとも言い難い微かな畏れを感じ、
勧められてもなかなか頂くことができなかったことを思い出します。
いちじくは、漢字では「無花果」。
でも実際に花が咲かないわけではなく、実の中に無数の白い花を付けるそう。
外から見えず、花が咲かないように見えることから、「無花果」という字が当てられたようです。
花が無いのではなくて、花が“見え”無い果実。
子供の頃に怖く感じた白い粒々は、花なのでした。
つまり、私たちはイチジクの「実」ではなく「花」を食べていることになります。
いちじくが禁断の果実とも言われるのは、
アダムとイヴがその葉で身体を隠したと言われていますが、
果実を食べているつもりが、知らないうちに花を食べていたことにも、ひょっとしたら由来するのかもしれません。
晴れれば決まって暑くなって
おまちかねの旬。
価格も身近になり始めたので、
朝に晩に、いちじくを使って色々楽しんでみました。
まずは、朝のジュースに。
WHOLE FOODを心掛け、
皮も葉も種も取り除かずに粉砕。
いちじく(そのまま)1個
巨峰(そのまま) 6粒
ミニ人参(皮ごと、葉は3本) 1本
セロリ 1/2 本
パプリカ赤 1/4個
シークワーサー果汁 2個分
プレーンヨーグルト 1/2カップ
氷 2かけ
水 適量
野菜は生でいけるものなら、なんでも。
そして夜。
いちじくで、おかずをひとつ。甘味をひとつ。
いちじくの胡麻和えは、
京料理のお店などで、蓋ものや繊細な切子のグラスなどに、品良く盛り、供されていますね。
胡麻といちじくとの相性はそのままに、
ふだんのカンタンおかずにアレンジしてみました。
*鶏の酒蒸しといちじく 胡麻と生姜風味 レシピ
材料
鶏もも肉1枚、酒1/3カップ、塩少々、いちじく1個
ごまだれ(煮きり酒 50cc、煮きりみりん50cc、ガーリックパウダー少々、 おろし生姜 1片分、 マヨネーズ 50g 、すりごま 60g、 ごま油 小さじ2、 米酢大さじ1)白炒りごま
作り方
1、鶏肉は観音開きにし、塩を振って5分ほどおく。
2、フライパンに入れて、酒を注いで蓋をし、蒸す。レンジでも。それを冷やしてプルン!とさせる。
3、いちじくを気持ち厚めにスライスする。鶏といちじくを重ね、ごまだれの材料を良く混ぜて、とろりとかける。炒りごまを振る。
いちじくは、酵素重視で生で頂きました。
軽く蒸してもおいしいです。
面倒なときは、しゃぶしゃぶなどのごまだれでも大丈夫ですよ。
また食後には
定番ですが、いちじくの赤ワイン煮を。
赤ワインと水を各1カップ、ブラウンシュガー大さじ5、バニラビーンズ少々を煮立て、
半割りにしたいちじく2個を入れて、ふたたび煮立ったら火を弱めて5分ほど煮て、冷めたらそのまま冷やして。
煮たいちじくは崩し加減でソースにし、
そこに生のいちじくを合わせて。
いつものワイン煮よりも、フルーティーになりました。
このデザートを食べたのに、
もうひとつ、寝る前につい。
これは、からだに良いとはお世辞にも言えませんが、
娘の夜食のバナナクレープを、
私仕様に…
うっかり、作ってしまいました。
娘ははまりだすと、しばらくは毎日食べたがるので、
誘惑との戦いが、何日か続きそうです。
*いちじくのクレープ レシピ
1、卵1個、牛乳1カップ、植物油大さじ1を混ぜ、薄力粉50gをふるいながら加えてよく混ぜ、出来れば冷蔵庫で1時間ほど寝かせる。時間がなければ、こすと良い。
2、1、の生地を、バターをうすくひいたフライパンに流して焼く。焼きたてに好みのチーズ少々、いちじくのワイン煮、生のいちじく、炒ったくるみをのせておりたたむ。
いちじくは、煮たものでなく、キャラメリゼも美味しいのです。
バター少々をひいたフライパンでソテーし、ブラウンシュガー小さじ1をふってうっすら焦げるまで両面焼いたものでも合います。そのときは、炒ったくるみを添え、ビターなチョコレートを削るとアクセントに。
実は、これは昨夜の分…。
…昨日も今日も、
やっぱり食べてしまいました。
いちじく好き過ぎて、
思いついたらどうにも我慢できません。
夏から秋はいちじくや巨峰、桃で
エイジングにゆるやかに抗うとか、心に栄養をもらえるとか言い訳しながら食べ過ぎ、
そしていちじくと栗、秋の味覚で、やっぱり羽目をはずす…
今年もそうなる私が、目に浮かびます。
明日の朝もいちじく入りジュースを飲み、
たくさん歩き、動き回ろう。と思います。
バターもチョコレートも
そして夜食も、
今日から、なるべく…慎む!ようにしてみます。
スイカや桃、ぶどうの横で
ちょっと地味な存在のいちじく。
フレッシュでも、煮ても焼いても、干しても、それぞれの美味がある、魅力たっぷりのフルーツです。
もし気が向かれたら、ぜひお試しください。
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