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  • 禍話リライトまとめ

    猟奇ユニット・FEAR飯のツイキャス放送「禍話」にて語られた怪談に、筆者独自の編集や聞き取りからの解釈に基づいた補完表現、及び構成を加えて文章化したものです 朗読動画などの制作を希望する方はこちらを参照して下さい https://note.com/ct_note/n/n785790e39e1d

  • 音楽系単発記事

    思い付きで書いたレビューや企画系記事など。

  • 「高橋知秋のおもしろCD教室」よりぬきリマスター+新録版

    discordサーバーで連載している主に特価品棚から発掘したCDレビュー連載記事「おもしろコンパクトディスク教室」の選り抜き改訂版+note用の新規記事をまとめたマガジン

  • 『フェイクドキュメンタリーQ』全作レビュー

    読んで字の如くです

  • Pavement - Distort Ghosts

    Pavementの作品のレビュー集(デラックス盤や他の作品など入手次第、適宜加筆予定)

最近の記事

『ボーはおそれている』 - (僕/俺/私)の話

 昨晩、公開時にはタイミングが合わず劇場で見そびれた『ボーはおそれている』を友達数人と一緒に見た。  この映画の場合、友達と一緒に描写に突っ込みながらゲラゲラ笑って見るという選択肢は大いにアリだ。  露骨なベッドシーン(今作のベッドシーンはアリ・アスター監督がふざけまくっていて最高でマジで笑えるし、直後の展開とのギャップを誘発する緩和としても機能している)やアホみたいな下ネタが多数あるので異性の友達と見るのには向いていないかもしれないが、それでも何人かの友達と一緒に見ること

    • 禍話リライト「マイガイカン」

       あのー…おいしい貝とかじゃないよ。沖縄で穫れるおいしい貝とかじゃないよ。 * 「あの、なんていうんですかね…意味不明な話なんで、全然笑ってもらっていいんですけど」  そう言い添えて、Dさんが語った話である。 ・・・  Dさんの両親と父方の祖父母は、端的に言えば仲が悪かった。  そうは言っても「孫は特別な存在」だったのだろう。そんな環境でもDさんは祖父母に普通に可愛がってもらっており、父方の実家にも頻繁に遊びに行っていたという。  田舎にある祖父母の家に遊びに行けば、

      • 禍話リライト「小物の落ちる窓」

         これは全然怖くない話ですよ。 *  かぁなっきさんの職場の後輩、Aさんの話。  Aさん一家が暮らしている家のトイレに設えられた、小さな窓。  お母さんが気を利かせて、その窓際に様々な小物を飾っている。  しかし。  それらの置物がいつの間にか床に落ちている、という状況が何回も発生した。  勿論、家族の誰かが故意に落としたわけではない。風に吹かれて落ちているわけでもなさそうだ、という。  Aさん一家はそのうち奇妙なことに気付く。  窓際に飾った物の中には、床に落ちる

        • 禍話リライト「お手玉の子」

           (この話)全然、怖くもなんともねえから。 *  かぁなっき氏が、「俺(かぁなっき氏)と同い年ぐらい」で長崎県在住のRさんから聞いた、彼が子供の頃に体験した出来事である。  非常に短いながらも前提状況が少々特殊な話なので、昭和と平成の合間、今より非常に緩い時代に起きた出来事である、ということを前以て記しておく。 ・・・  Rさんが住んでいた家の庭は近辺の住宅のそれよりも若干広く、そのせいで近所の子供が勝手に入ってきて遊んでいることが多々あった。  しかしRさん一家は

        『ボーはおそれている』 - (僕/俺/私)の話

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        記事

          禍話リライト「窓の骨」

           あ、そうそう、これ、ずっと話そうと思って、この三か月ぐらい忘れてたんですけど。 *  Sさんの職場の近所にある雑居ビル。  その一階にあるテナントには、骨があった。  当然といえば当然だが、それは本物の人骨ではなく骨格模型である。  ただ、それは学校の理科室に置かれているような本格的な全身骨格模型であり、サイズも大人の背丈ほどあるものだ。  Sさんが骨格模型の存在に気付いたのは、ある日の退勤時だった。  そのテナントは防犯上の関係か、店を閉めた後も店内の一部の照明を

          禍話リライト「窓の骨」

          禍話リライト「名傘」

           で、これあの…ちょっと、そこそこぞっとする話なんですけど。そこそこですよ。あくまで。 *  Hさんは現在、妻のOさんと別居している。  これは、二人が別居する少し前の話。  その日は朝から雨が降っており、Hさんは傘を差して出勤した。  Hさんが勤務先のスーパーから退勤する二十三時頃には、雨はすっかり上がっていた。 (さて帰るか~!…あー、そういや傘持って帰らないとな)  Hさんは従業員専用の傘立ての方へと向かう。 (えーっと…あったあった、よいしょ…)  自分の青い

          禍話リライト「名傘」

          禍話リライト「私のせい」

           無人駅と言えば、急に思い出したんですけど…。 *  ある時。  Mさんは全く土地勘のない地域の歴史資料館に赴く用事が出来た。  その帰りの出来事である。  資料館の最寄り駅は、異常に古びた無人駅だった。  張り出された時刻表に印刷されているのは、昼間は一時間に一本あればいい方、という典型的な「田舎のローカル鉄道」の運行ダイヤ。  誰もいない改札を抜けて駅のホームに登る。全く人の気配がない。  盛夏。  二本の線路を挟んだ向かいのホームに、ゆらゆらと陽炎が立ち上ってい

          禍話リライト「私のせい」

          大滝氏の『EACH TIME』関連記事を少し更新しました。 「魔法の瞳」の記述を追加。 https://note.com/ct_note/n/nef40dc385a5e 40thバージョンについての記述を追加。 https://note.com/ct_note/n/na42f8ed2e36e ロンバケ版も書きたいのですが、未所持アイテムが多く…

          大滝氏の『EACH TIME』関連記事を少し更新しました。 「魔法の瞳」の記述を追加。 https://note.com/ct_note/n/nef40dc385a5e 40thバージョンについての記述を追加。 https://note.com/ct_note/n/na42f8ed2e36e ロンバケ版も書きたいのですが、未所持アイテムが多く…

          山本美絵 "オナモミ" [2001]

           女性シンガーの1stフルアルバム。  1990年代の終わりに宇多田ヒカルと椎名林檎とCoccoが業界に与えた衝撃はあまりにも大きかった。宇多田ヒカルは後のR&Bブームの切欠を作ったが、後者二人はまた違う潮流を作り出した。それは「個性派女性シンガー」の潮流である(そしてこの潮流は後に鬼束ちひろのヒットという追撃を以て確定路線になる)。  先述三人の衝撃冷めやらぬ2000年にデビューした山本美絵も、この流れの恩恵を受けてデビューできた歌手のひとりだろう。帯の「究極のトラウマ系

          山本美絵 "オナモミ" [2001]

          『回路』: 結局、私たちは行けるところまで行くしかない

           youtubeで無料公開されていた黒沢清監督『回路』を見ました。  さっき人生で初めて『回路』を見終わったばかりです。いいでしょう。  これがエラい刺さってしまったので、その衝撃を忘れないうちにnoteに書き留めておこうという記事です。  右クリックでお気に入りに登録、ダメだったらプリントスクリーン。 21日までyoutubeで無料公開中ですよ! 無料公開終了後はamazonプライムとかで見れます  全体的には割と難解な話である。  前半ではインターネットを媒介にして

          『回路』: 結局、私たちは行けるところまで行くしかない

          高橋知秋が趣味で書いているweb小説(創作怪談)について

           noteを見ているだけだと辿り着きづらい私の小説作品(主に創作怪談)を紹介します。読みたいという人がいるのかどうか全く分かりませんが…。 『Seasons / シーズンズ』(連載、小説家になろう)https://ncode.syosetu.com/s0894h/ (なろうって埋め込みカードみたいなのないんだ)  小説家になろうで連載している「架空の聞き書き」をコンセプトとした創作怪談集です。  架空の聞き書き(文字起こし)というコンセプト故に、全体的に読みづらくなりそ

          高橋知秋が趣味で書いているweb小説(創作怪談)について

          禍話リライト:忌魅恐「屋上に誰かいる話」

           これがねえ、予備校の話なんですね。 *  忌魅恐、についての詳しい前提はヴェナル軍曹氏による「序章」のリライトを参照していただくとして。  冊子の中の記述から考えると、恐らくは今から十数年以上前に起きた出来事であるという。  とあるオフィスビル。その最上階に予備校が入っていた。  まず最初に断わっておきたいのだが、この予備校には何の曰くもなかったそうだ。  成績の低下を苦にした生徒が教室で自ら命を絶った、であるとか、かつてここに勤めていた先生が事故で亡くなった、と

          禍話リライト:忌魅恐「屋上に誰かいる話」

          禍話リライト:こっくりさん三題「誰もいないが」「下校時間!」「この十円で」

           皆さんはこっくりさんをしたことがありますか? * 誰もいないが 年号がまだ平成だった頃、とある学校で起こった話である。  放課後の職員室。  先生たちは雑談に花を咲かせていた。 「今の子、本当に丸くなったよね」 「ほんと!今日も何も無かったしなあ。前と比べたら全然叱ること無くなったもん」 「最近の子たち、校則めちゃくちゃ守るもんね。スカート丈とか髪の毛も全然だよ。昔の子は本当に荒れてたんだけどなあ。何が違うんだろ」 「やっぱさあ、年号変わったからじゃない?昭和と違う

          禍話リライト:こっくりさん三題「誰もいないが」「下校時間!」「この十円で」

          禍話リライト「スマホじゃない」

           世の中にはいろんな恐怖が眠っちょる。 *  まず、歩きスマホは良くないのである。  これはオカルト的な意味の「良くない」ではない。ストレートに、本当に良くない。  SNSのやりとりや音楽アプリの操作など、歩きながらやりたくなる気持ちは分かる。筆者もついやってしまうことがある。しかし、ついやってしまう身として言えるのは、「あ、これいま注意が削がれているな」ということにあれほど自覚的になる瞬間もそうそうない、ということだ。  やはりスマートフォンはちゃんと立ち止まって操作し

          禍話リライト「スマホじゃない」

          『初恋ハラスメント ~私の恋がこんなに地獄なワケがない~』感想【かなりネタバレ注意】

           中京テレビが製作した単発(たぶん)ドラマ。  一部地域のみで放映されたが、2024年3月末現在はTVerなど配信サイトで視聴が可能。  作品としては「通常の恋愛ドラマ、と見せかけたホラー作品」。  放映前の広告展開などはいかにも近年ブームとなりつつあるモキュメンタリー系ホラーっぽい雰囲気を漂わせていた…のだが、実際にはモキュメンタリーの要素も入っているものの、メインのドラマパートに関してはジャンプスケアなども飛び出す割と直球のホラーに仕上がっているので(個人的な印象として

          『初恋ハラスメント ~私の恋がこんなに地獄なワケがない~』感想【かなりネタバレ注意】

          禍話リライト:忌魅恐NEO「お茶を出された話」

           これだ、もう忌魅恐NEOだ…。 *  かあなっきさんが自分と同じように実話怪談を収集している人と会話をしているときに、こんな話題が上ったという。 「もしも取材した体験者が、嘘をついていたらどうする?」  我々のような怪談を集める者は、結局のところ「取材者を信じる」しかない。  その上で、我々は世の中の怪談を網羅などしていないが(そもそもそんな人は恐らくこの世にいないが)、それでも話を聞いているうちに怪しい既視感を抱いたら、知っている中に類似した話がないか調べてみる。

          禍話リライト:忌魅恐NEO「お茶を出された話」