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2023年12月の記事一覧

冷たい手

宵闇に浮かぶ
冷たい手に誘われ
私は人を殺す
自分の意志を忘れて
漁火が点いては消え
消えては点く街を
縫い付けながら
私は歩んで逝く
自らの意志など無く

彷徨う

無数の本で埋め尽くされた
暗すぎる部屋の中で
私は今日も彷徨う
異邦人の気分で
夜の街を歩いてみても
癒えない乾きに苦しんで
暗すぎる部屋へと帰る
ブラッドオレンジを齧りながら

あの娘は居ない

母から受け継いだ
金の腕を鳴らして踊る
あの娘はもう居ない
ジプシーの血が流れる
あの娘は何処にも居ない
シンバルを一緒に鳴らした
素敵な夜へ還れずに
僕は虚空を彷徨う
小さなエレファントに跨って

死の天使

全ての者に
平等な死を与える
死の天使
老人も幼子も
金持ちも貧しき者も
選りすぐらずに
静かな死を齎す
自らに死が
訪れるその刹那まで

秩序の無いピストル

タイムラインで
流れるニュースに
飽き飽きしながら
日々を過ごす引き籠り
揺籃の中から
今日も抜け出せずに
秩序の無いピストルで
偉い人達を撃ち殺す
社会は何も変わらないと
心で痛感しながら
口だけが回る人達を
秩序の無いピストルで
ただひたすらに殺し続ける
揺籃の外へ出られないと
知ってしまっても

エンジンが揺れるから

CB1100Rの
エンジンが揺れるから
貴方にくちづけを
ガソリンの素敵な香りが
僕を惑わせるから
貴方にさよならを
キャブレーターが狂った風を
吸い込んで加速するから
貴方とお別れを
素晴らしい筈の日々に
手を振って消えて逝こう

ヒステリック・ワールドエンド

無敵と呼ばれたあの頃は
薬のやり過ぎで加減が利かず
やり過ぎちまっただけさ
単車で巧く走れない俺にはもう
何の価値もありはしないよ
世界の終わりと呼ばれた
不良が語った言葉は余りにも
虚しくて叫んでいる様にも聞こえた
幾つもの悲しみを抱えて
彼らは何処へ向かうのか
僕にはきっと分からない
幾つもの闇を抱えて
見えない明日へ向かうだろう
確かに輝いていた日々を殺しながら

空白

貴方が居てくれたなら
私は太陽だって盗める
貴方が見てくれるなら
私は月だって隠せる
貴方が居てくれたなら
カラスとカナリアにだって為れる
如何かその手やその心と
美しい體に触れさせて
独りは虚し過ぎて
気が狂ってしまうから
私だけを眺めてそして選んで
間違いでも構わないから
空白に耐えられる程
私は強い生き物では無いの