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某Vtuberが同僚を勝手にADHD(HDMI)と呼んで炎上「していない」件について

(サムネ元ネタ:ピンクフロイド

こんにちは、烏丸百九です。

お陰様でYouTubeの「烏丸ラジオ」はご好評をいただき、第6回まで放送出来ました。皆様、コメントや高評価など本当にありがとうございます。

反面、noteの更新は相変わらずスローで申し訳なく思っているものの、配信と同じ話を書いてもしょうがないので、今回はYoutubeでは色んな意味で言えなさそうな話を書きたいと思います。

※本稿には障碍者の方に対する差別表現が含まれています。当事者の方を含め、差別表現にダメージを受ける方は閲覧に注意してください。


注意事項

読み飛ばされたら困るので最初に書きますが、著名タレントによる現在進行形の「炎上」事案を取り扱っていることから、本noteは以下の事項を前提としてお読みください。

○誹謗中傷が目的ではありません。色々な表現で「わかる人にはわかる」内容にしてありますが、本稿で批判している対象の所属事務所が、誹謗中傷対策に力を入れているのは素晴らしいことだと思っていますし、某氏の人格やタレントとしての能力を否定、非難することが私の目的ではありません。あくまでも本稿の目的は「差別に絶対的に反対する」ことのみです。

所謂「炎上系」のまとめサイトやYouTuberの人々を支持、支援することが目的ではありません。この記事は最後まで無料で読めますし、普段から差別的な記事を制作、拡散している連中に味方する気は毛ほどもありません。そういう系のサイトから来た人はどうぞお帰りになってください。

○被害者支援が目的ではありません。差別発言の被害者ご本人が加害者の同僚、友人であることもあり、本件については既に被害者側が(秘密裏に)「加害者を許している」あるいは「和解している」蓋然性が高く、何なら「蒸し返すことに反対している」可能性すら考えられますが、私は別に被害者のファンではないので、ご本人の気持ちを勝手に推測することは(どういう方向性でも)やりません。単純なパワー・ハラスメント事案とは異なり、本件で問題なのはあくまでも障碍者差別それ自体です。

簡単な「炎上」の経緯

知っている方にとっては既に「旧聞」感のある話ではあるのですが、事情を知らない方のために、簡単に時系列で解説します。

  • 2023年8月23日、大手Vtuber事務所所属のプロ配信者である某氏(以下と表記)が、同じ事務所の同僚である男性VtuberのX氏(今回の被害者)の性格についての話題となり、「ドジっ子というのは、言い方をものすごくやわらかくした言い方、あの、HDMIみたいな……(笑)」「いっぱいパスモを持っていることをね、アピールしてくるようになりました」などと(およそ1分程度の時間)発言。視聴者の一部から、「HDMI」が「ADHD(注意欠陥多動性障碍)」を揶揄したスラングではないかと推定され、非難を浴びる。

  • 数日中にまとめサイトなどでも取り上げられ、「炎上」状態に発展したことから、同じく一部の視聴者から▼氏の謝罪や釈明を求める声が出始めるが、本人および被害者は本件に関する言明をせず、また所属事務所からも(8月31日現在)経緯の説明などは行われていない

  • 8月26日、▼氏が所属する事務所内の4人組タレントユニット(註:X氏は所属していない)による定期的な配信が行われるが、▼氏が配信中に「これさぁ、(今後予定している音楽ライブの)告知早いの揉み消すためじゃないの? 今回の」と発言、周囲も「ダメダメダメ消されるぞ」と笑いながら応じるという一幕があり、文脈上は配信内の別の失敗談についてのものとも捉えられるものの、▼氏の態度が「全く反省していないのではないか?」と再び批判が起こる。なお、ユニット側からの説明等は(事務所同様)行われていない。

  • 8月28日、▼氏本人のYouTubeチャンネルで通常の配信(ゲーム実況)が行われるが、被害者X氏の個人名の他、「HDMI」「ADHD」「炎上」等をチャットのミュートワードに入れていたことで「悪いことが解っているのに開き直りでは?」と更に批判される。

なぜ▼氏の発言が「差別に該当する」のか

ざっと経緯を説明してみましたが、もしも「炎上」の原因が差別発言でなかったのなら、「よくあるYouTuberの失言による(しょうもない)炎上」のひとことで片付けられる事案であり、私もわざわざ取り上げることはしなかったと思います。

私が何故この一連の発言を「差別だ」と批判しているかと言えば、▼氏の発言は、単なるX氏への人格の揶揄に留まるものではなく、論理的に差別を構成しているからです。

以下、ツイートを補足。
一部で▼氏の発言を「X氏に対するアウティングだ!」と(恐らくは▼氏への批判的な意図で)言っている人がいるのですが、LGBTQ差別に詳しい方は御存知のように、「アウティング」とは性的指向や性自認について当人の意に沿わない明かされ方をする差別行為を指す言葉であり、(性的指向等に関係ない)障碍の公表は「アウティング」には当たりません。当然、差別行為である事には変わりありませんが。

また、最初のツイートで指摘したとおり、今回の場合X氏が「ADHD当事者ではない」場合の方が、▼氏の発言はより悪質で問題を孕んでいると考えられます。
彼はX氏について「注意力に著しく欠けている」「何度も同じ行為を繰り返す」などの行動を指し「HDMI(ADHD)である」ことを揶揄しているのであり、仮にスラングに悪意がなかったとしても、全体として障碍者への偏見や差別を助長する発言であることは明白でしょう。

これは「注意欠陥多動性障碍」の名称からも解るように、ADHD当事者の方に実際に「注意力に著しく欠けている」「何度も同じ行為を繰り返す」方が多いという”事実”とは関係がありません。
障碍の形態は多様であり、特に目に見えない障碍(知的障碍、精神障碍etc)の当事者のメンタリティは、プロ医師でもない第三者が「このような傾向がある」と勝手に決めつけられるものではありません。他人から見て「注意深い」「慎重」な性格に見えるADHDの方々は、決して少なくないからです。中には、周囲から社会的な非難や困難に晒されたために「訓練を積んで”普通のフリ”をしている」人もいることでしょう。

「差別が炎上しない」状況に見る障碍者への軽視

このように、別に「差別反対」を掲げていなくても、マトモなコンプライアンスの企業であれば「一発退場」になりかねない悪質発言をしてしまった▼氏ですが、現在のところ「謝罪」「処罰」「活動謹慎」はおろか、事務所からの事情説明すら行われておらず、当人の「炎上」そのものが視聴者の一部の規模に留まる中、X氏を名前ごとミュートするなど「開き直り」に近い態度を許されてしまっている▼氏に、(日本の)YouTuber界隈、ひいては社会全体の「差別に対する甘すぎる(軽すぎる)態度」を見ることは、決して穿った見方ではないと思います。

冒頭の「烏丸ラジオ」でも、処理水問題を切っ掛けに現在日本で広がっている在日中国人の方への差別を問題にしておりますが、ヘイトスピーチや差別発言が罰せられず、「笑って許される」状況を放置することは、単に被差別当事者の方々を精神的に傷つけるばかりでなく、「こいつらは揶揄しても良い」という被差別者への軽視や見下しを社会的に是認することに繋がりかねず、繰り返しますが現代のマトモなコンプライアンスの企業がやることではありません。

▼氏と所属事務所は、今からでも当該発言を謝罪・撤回するとともに、「差別発言は社会的に許されない」というステイトメントを発出すべきであると考えます。それが数百万人の視聴者を抱える人気タレント・企業の背負う当然の責任ですし、また傷ついた視聴者や被害者への敬意を示すことにも繋がるでしょう。

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