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埋もれがちな名曲を紹介 その5

僕がまだ中学生くらいだった頃、なぜかTVやラジオを通して耳にする楽曲には、トランペットの演奏曲が今よりは多かったように思う。

理由はよくわからないが、たぶん、当時のバンド構成が、小さなオーケストラ的なものを指向していて、バンドだったら管楽器があって当たり前だよね、的なイメージがあったからかも知れない。

その中でも特にトランペットは、ボーカルがいないバンドでも、主旋律を目立つ形で聴かせる便利な楽器だったからかも知れない。

でも一番大きな要因は、もしかしたらニニ・ロッソという不出世の天才トランぺッターの存在だったのかも知れないんじゃないかと思っている。

ニニ・ロッソは、いわゆるイージーリスニング系の楽曲をトランペットで演奏するスタイルが一世を風靡したイタリアのトランぺッターで、「夕焼けのトランペット」や「夜空のトランペット」という曲が世界的にヒットしたことで知られる。

上記がヒットしたのは60年代で、さすがにリアルタイムで聴いていたわけではないが、70年代に入っても、例えば水曜ロードショーのテーマ曲に彼の「水曜日の夜」という曲が使われていたり、イージーリスニング系の曲が引き続き流行っていた時期なので、ラジオでその系統のトランペット曲を聴く機会は結構多かったのだ。

正直、ニニ・ロッソに限らず、イージーリスニング系の曲だと、どんなにその演奏が良くても、曲自体の魅力にはまって聴き惚れるということも少なかったのだが、あるとき、ラジオでエアチェックしていた曲の中に、その評価を一変させるものが混じっていた。

それは「アルビノーニのアダージョ」というクラシック曲で、普段、彼が演奏するポップスとか歌謡曲系の楽曲ではなかった。

曲自体がメランコリックで素晴らしいのはもちろん、その演奏たるや、どう表現したらいいのだろう、最後はトランペットの響きが、実は人のボーカルの延長で、魂がトランペットを通じて叫いるんじゃないかと錯覚してしまうほどなのである。

ということで、まあ、ものは試し、騙されたと思って聴いてみて下さい。youtubeで見つけた下の音源だと2:39から始まります(前半は別曲)。

ちなみに「アルビノーニのアダージョ」は、実際にはアルビノーニが作曲したのではなく、レモ・ジャゾットという音楽学者が自分で作曲した曲をアルビノーニのものだとして発表したものだそうです。


写真撮ったり、文章書いたりしてる人です。

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