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【クリエイターエコノミーニュース】画像生成AIにまつわる一連のトピック、文化庁が海賊版の相談窓口開設など|8/29〜9/4

こんにちは、クリエイターのためのお金やキャリア、テクノロジーの事例を紹介する媒体「クリエイターエコノミーラボ」です。

この度、クリエイターやそれにまつわる業界の人たちに向けて、有益なニュースを1週間分まとめてお届けする、題して「クリエイターエコノミーニュース」を始めます。

これを読んでおけば、クリエイティブに関わる人が知っておいたほうがいいトピックを一通り追える」というものを目指して更新していきます。

画像生成AIにまつわるトピック

国内では8月22日より、画像生成AI「Stable Diffusion」がリリースされた影響で、画像生成AIについてのトピックが一気に盛り上がっています。

同日には、note CXOである深津貴之さんの記事が、「世界変革」というキーワードでTwitterトレンド入りを果たしました。

それ以前から、「Midjourney」をはじめとして、画像生成AIについての話題は徐々に注目を浴びていましたけれど。

この一週間は、主にStable Diffusionを利用したサービスがものすごい勢いで複数リリースされ、連日、Twitterで関連トピックがトレンド入りしていました。

Twitterトレンドを席巻した「mimic(ミミック)」の登場

特に注目を集めたのが、8月29日にリリースされた、イラスト生成するAIサービス「mimic(ミミック)」です。

本サービスは、自分のイラストをAIに学習させることで、同じ絵柄の新しいイラストを生み出すことができるというものでした。

リリース後すぐに注目され、自分のイラストを学習させようとする人たちが多く集まり、一時は3,000人以上が利用を待っている状態でした。

ITmediaにも素早く取り上げられました。

肯定派と否定派で意見が分かれる

本サービスについて、好奇心から自分のイラストを学習させてみようというイラストレーターの方は多く見られました。

その一方で、「悪用された場合の対策が十分になされていない」という観点から、サービスの存在を不安視する声も目立ったように思います。

AIにイラストを学習させることを止められるのか?

mimicのリリース当日、「自分のイラストを無断でAI学習させるのは禁止」とTwitterで主張するイラストレーターの方をよく見かけました。

(反対に、自分のイラストは好きに学習させてもいいという主張をする方も、数は少ないですが見かけました)

しかし現行法では、AI学習を禁止することはできないのでは?という指摘も多く、Twitterではさまざまな立場からの意見が溢れかえり、「AI学習禁止」がトレンド入りしました。

mimic、一夜にして全機能停止

そんな中、ネット上での意見を受け、mimicはリリース翌日にベータ版の全機能停止を発表。

合わせて「不正利用に関わる課題を解決できた場合は、mimic正式版をリリースする予定」とも記載されています。

他にもさまざまなサービスが誕生

mimicだけでなく、複数の画像生成AIサービスが次々と登場しています。

背景として、Stable Diffusionはオープンソース(ソフトウェアを構成するプログラムであるソースコードを無償で一般公開すること)化されているため、これを利用することで、比較的コストをかけず、こういったサービスを制作・公開できることが挙げられます。

イラストレーターの仕事は無くなるのか?

すでに世界では、画像生成AIが描いた絵が美術品評会で1位に入賞してしまうなど、驚くような出来事が起こっているようです。

下記の記事では、「技術革新は避けられない」とする一方、「新しい技術をより活用していこう」というポジティブな観点からの意見が主張されていました。

有名イラストレーター・YouTuberである、さいとうなおきさんも動画を公開。

さまざまなWebサービスを使いこなす、さいとうさんならではの動画に仕上がっており、実際に画像生成AIサービスを利用しながら、解説されています。

また、こういったAIの影響でイラストレーターの仕事がなくなるのかどうか、フリー素材サイト「いらすとや」の事例から見解を述べています。

法律事務所が「画像生成AIと著作権」についての記事を公開

Twitterではさまざまな立場からの意見が溢れかえっておりましたが、注視すべきは専門家の見解です。

専門家による発信が待たれるなか、mimicがベータ版の全機能を停止した翌日の8月31日、ITやベンチャービジネス、AIに詳しいSTORIA法律事務所から、画像生成AIと著作権についての解説記事を公開。

上述したnote CXOの深津さんも、「みんな読むの大事」とツイートされています。

こちらの記事は一気に注目が集まったため、公開された当時はサーバーが落ちてしまい、読み逃していたという方もいらっしゃるのではないでしょうか(筆者もその一人です)。

Stable Diffusionの影響で、おそらく今後も、画像生成AIに関するトピックは連日ネット上を賑わすと予想できます。

このトピックに関心のある方は、法律関係について包括的に解説されているこの記事をご一読されることをおすすめします。記事はこちら

文化庁が海賊版対策の相談窓口を開設

「著作物の不正利用」についてだと、こちらのトピックも要チェックです。

8月30日、文化庁によって、海賊版対策の弁護士による相談窓口が開設されました。

「表現の自由」を標榜する山田太郎氏も「非常に大きな前進」だと紹介しています。

支援サービスにまつわるトピック

続いて、クリエイターエコノミーラボでこれまでも取り上げてきた、ファンから直接課金を受けられる、いわゆる支援サービスについてのトピックです。

中国発の支援サービス「AFDIAN」を活用した事例

アニメ調の3Dで動くVTuber・りんりんねさんが、支援サービスの一つである「pixivFANBOX」の自身のアカウントで、収入事情について公開されていた記事が目に付いたので紹介します。

(こちらの記事は8月21日公開で、先週のものではないのですが、素敵な事例を見つけてしまったのでぜひ紹介させてください)

とても高クオリティな動画を投稿し、3年ほど活動されているりんりんねさんですが、投稿頻度を上げづらいためにYouTubeからの収入がほとんど増えず、赤字続きだったのだそうです。

そこで、今年1月から利用されているpixivFANBOXに加え、中国発の支援サービスである「AFDIAN」のアカウントを開設したところ、今年8月に初めて黒字化を達成できる見込みなのだとか。

クリエイターエコノミーラボでは以前、ドット絵作家の豊井さんが、アメリカ発の支援サービス「Patreon」を活用し、海外のファンから支援を受けて活動できている事例を取り上げました。

こういった国外のサービスを活用することで、海外ファンからの支援が集まり、活動を維持できるという事例は、もちろん手がけているコンテンツの性質にもよるでしょうが、多くのクリエイターにとって参考になる事例ではないかと思います。

りんりんねさんの動画、とても可愛らしいのでおすすめです。

 noteクリエイターサポートプログラムが開始

クリエイターエコノミーラボも活動拠点としているnoteでは、創作活動をするすべてのクリエイターを対象に、その活動を支援するプログラムを開始しました。

支援総額は1,000万円であり、9月1日より、第1期の支援対象クリエイターを募集中。募集期間は9月末までです。

ご興味のあるクリエイターさんはぜひご一読ください。

Twitterが各種機能をテスト

多くのクリエイターが発信の拠点としているTwitterですが、さまざまな機能をテスト中のようです。

ツイート編集機能

待望のツイート編集機能ですが、今後数週間以内にリリース予定のサブスクリプションサービス「Twitter Blue」のユーザーが試用できるようになると報道されています。

「スペース」からPodcastを再生するテスト

こちらも、8月26日のニュースですが目についたため取り上げます。

Twitter社は、「スペース」タブにPodcastを表示するテストを開始したと、ITmediaなどで報じられています。

音声コンテンツを発信しているクリエイターの方々にとっては、大きな変化を及ぼす可能性のあるニュースと言えそうです。

YouTubeで"ゆっくりボイス"を利用したチャンネルが次々と収益化停止

見出しの通りですが、いわゆる"ゆっくりボイス"と呼ばれる、合成音声を利用しているYouTubeチャンネルが複数、収益化を剥奪されています。

チャンネル登録者数70万人を超える有名チャンネル「ゆっくり不動産」も収益化を停止され、動画投稿者の間で話題になっておりました。

YouTubeユーザーとYouTubeのカスタマーサポートとのやり取りを見る限り、合成音声を利用していることから、「コンテンツの複製」が疑われているようです。

その後、ゆっくり不動産は収益化の権利を取り戻したようですが、他のYouTubeチャンネルはカスタマーサポートに複数回問い合わせても、収益化を認められない事例が多いようです。

当のゆっくり不動産で顛末をまとめられている動画が参考になります。

出版大手4社の決算が出揃う

講談社、集英社、小学館、KADOKAWAの2021年度決算が出揃い、マンガSaaSのコミチ代表ことマンディさんが表にまとめています。

出版業界に関わっている人は、参考になるかもしれません。本ツイートの合わせてツリーもご覧ください。

NFT関連

NFTをはじめとしたいわゆる「Web3」のトピックもまとめていきます。

新星ギャルバースのVtuber化

世界最大のNFTマーケットである「OpenSea」で、世界ランキングの1位を獲得した国内最大手のNFTコレクションである「新星ギャルバース」。

同コレクションは、音楽ユニット「Satellite Young」としても活動してきた、起業家の草野絵美さんが手がけています。

そんな新星ギャルバースは、8,888個のNFTをリリースしていますが、そのすべての保持者がVTuberになれるようなアップデートを提供しているようです。

NFTホルダーがより楽しめるような、広がりを感じられる取り組みに心が躍ります。

より詳細な内容は、上記の草野さんのツイートのツリーをご覧ください。

Web3やメタバースについて、「少年ジャンプ+」編集長らが議論

8月24日に開催された、少年ジャンプ+編集部が主催するオンライントークイベント『ジャンプのミライ~少年ジャンプの10年後の姿を語り合う~』のレポート記事が9月2日に公開されました。

少年ジャンプ+編集長である細野修平さん、スマホでゲーム配信できるサービス「Mirrativ(ミラティブ)」代表の赤川隼一さん、Z Venture Capital代表であるベンチャーキャピタリストの堀新一郎さんらが登壇。

また、クリエイターエコノミーラボの運営企業であるアル社の代表・けんすうこと古川健介も参加しております。

エンタメに関わる業界で事業を作ってきた人たちによる最先端の議論は、来るこれからの時代のヒントになるはずです。

ガジェット

ガジェットについても紹介していきます。とは言っても、1点だけなのですが。

叫んでも声が漏れないBluetoothマイク「mutalk」が発表され、そのビジュアルのインパクトが影響したのかTwitterトレンド入り。

動画も流れてきたのですが、本当に声が漏れなくてすごいです。使い心地は気になるところですが、配信者の方にとっては気になるアイテムではないでしょうか。

というわけで、8月29日から9月4日までの1週間分のトピックをまとめてみました。思いの外、結構なボリュームになりました。

これから毎週月曜日に投稿していく予定ですので、よろしければクリエイターエコノミーラボのnoteとTwitterをフォローの上、更新をお待ちください。

note
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Twitter
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▼クリエイターエコノミーラボで先週公開した記事


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