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デザインプロトタイプで大事なのはフィードバックの分析 - みんなの本音を客観的に知る

こんにちは!FLAGS - ミレニアルズの生き方研究所 - です。

前回の投稿では、ミレニアルズの生きづらさを解決するためのアイデアのプロトタイピングを取り上げました。

今回はプロトタイピングの分析をするために社内アンケートを行ったお話です。アンケート調査からアイデアブラッシュアップのための種となる観点をみつけることが目的です。

プロトタイピングを経てどのアイデアをどのように改善するのかを分析するために、各アイデアの課題への解決度とそのサービスを使用したいかどうかを中心に調査を行いました。

プロトタイプをしたらフードバックを収集する

5つのアイデアについてプロトタイピングを行いました。既存のツールを使って、コアとなる機能を再現し、そのアイデアが本当に良いものなのかどうかを確かめることが目的でした。

プロトタイピングで重要なのは、実際に試した感想や意見などの「フィードバック」を得ることです。対象ユーザーに実際に使ってもらいフィードバックを得ることで、アイデアを客観的に俯瞰することができます。この客観的な俯瞰がアイデアのブラッシュアップに欠かせないのです。

なお今回はプロトタイピングを実際に体験してもらうことが難しいアイデアが多かったため(コロナ禍という情勢も踏まえ)、動画を使ったプレゼンテーションとアンケート調査で評価してもらう方法を採用しました。

フィードバックの収集: アンケート調査

それでは早速、私たちが実施したアンケートの結果を見ていきましょう。
調査概要は以下の通りです。

・目的: ユーザーインタビューなどを通して設定した仮説課題およびその解決策のアイデア(5件)についての客観的な意見の収集
・実施期間: 5日間
・実施方法: Google Formを活用したアンケート方式
・有効回答数: 42件

アンケートでは自由記述式の回答も収集しましたが、プライバシーなどを考慮し本記事での公開は控えさせていただきます。なお、分析のコメント等には上記コメントを踏まえた内容が記載されているものもあります。ご了承ください。

アンケート結果の分析: 回答者の分類

まずは回答者の分類します。
性別は男女均等、年代は対象となるミレニアル世代(26~30歳、31~35歳)で40%強の分布。また、ターゲット世代の一つ下のZ世代(20~25歳)の回答者は全体の17%。一方で46歳以上の回答者数が全体で2番目(31%)に多い結果となりました。ただし、41歳~45歳の回答者が0人だったため、結果の分析には注意が必要です。

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アンケート結果の分析: 課題仮説の検証

次に我々が設定した仮説と課題への共感について質問しました。なお、我々が設定した仮説と課題を以下に示します。

【仮説】
現代において、生きやすさを高めるためには、一つの軸を明確にすることが重要である。
生き方の方針が定まり、考える余裕が生まれ、アクションを起こしやすくなるためである。
その軸の抽象度の高さはあまり関係ない。価値観が多様化しているため、「こういう人になりたい」という具体的なキャリア像を据えてもよいし、「こういう状態になりたい」という人物像を据えてもよい。

また軸も時代や自身の変化に応じて変えていくべき部分と、変えない部分のふたつの側面を持っており、変えるべき部分は常に変化させることも生きやすさを確保するうえでは重要である。
客観的に現状と目標を照らし合わせて振り返ること(内省)で、軸を柔軟に変えたり、次のアクションを決める必要がある。
また、自分の軸を他者に共有することで、周囲から軸の実現に向けた支援を得ることができ、生きやすさが向上する。
【課題】
軸がぼんやりしてしまっている人もいる(あるんだろうけど気づいてない)。
軸を他者に共有しづらく、内省・外化が上手く行えない。
自身の軸を実現するためにより確実なアクションを実行したいが、それが分からない。

まず仮説についてですが、全体の60%以上(回答4、5の合算)が仮説について共感するという結果になりました。続いて課題への共感ですが、全体の45%が課題について共感する(回答4、5の合算)一方で、43%がどちらともいえない(回答3)に回答。主な理由として、間違っていないがそれだけではないと思うという趣旨が多く見られました。

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ここで世代別の回答傾向も確認してみましょう。
下のグラフは世代別の回答平均値をグラフ化したものです。
ターゲットユーザーであるミレニアル世代(26~30歳、30~36歳)の共感度は高いものの、世代があるごとに共感度が下がる傾向にあります。
また同じミレニアル世代においても前期(31~35歳)と後期(25~30歳)では、後期のほうが共感度が下がっています。回答者数に大きな差はあるものの、人生経験の違いなどが影響しているように思われます。

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アンケート結果の分析: アイデアの検証

ここからは5つのアイデアそれぞれについてのアンケート結果を見ていきましょう。
アンケートでは各アイデアについて、①アイデアの課題解決度、②このアイデア(サービス)を使用したいかどうかの2点について質問しています。

まず「FRIENDS TALK」を見てみましょう。

アイデアの課題解決度ですが、もっとも多い回答が「どちらともいえない(回答3)」の35.7%でした。分布も左右ほぼ均等です。
続いてサービスを使用したいかどうかですが、全体的に「使ってみたいとは思わない」という回答が多い結果になりました。主な理由としては、面白そうであるがわざわざ使うかといわれると難しいなど、ハードルの高さが挙げれていました。

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世代別の回答傾向も確認してみましょう。
下のグラフは世代別の回答平均値をグラフ化したものです。ターゲットユーザーであるミレニアル世代(26~30歳、30~36歳)の共感度は高いものの、世代ががあるごとに共感度が下がる傾向があります。特に36歳以上の世代では回答が低くなる傾向が強いです。

友人との本音トークをネットに公開すること、またそういう場で本音を話せるかどうかに対する価値観の違いが世代間で大きく出る結果となりました。

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続いて「A Cup of COFFEE」です。

アイデアの課題解決度は、最も多い回答が「解決すると思う(回答4)」の31%で、「とても解決すると思う(回答5)」と合わせると45%強が解決すると思うに回答しています。
またサービスを使用したいかどうかについては、「とてもそう思う」と「そう思う(回答4、5)」を合わせて50%ではあるものの、全体的に回答がばらつきました。主な理由としては問いかける質問の質に依存することなどが挙げられていました。

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世代別の回答傾向はミレニアル世代前期(26~30歳)の共感度は高く、課題解決度の回答よりもサービスを使用したいかどうかの回答が高く出ています。一方、ミレニアル世代前期(31~35歳)の共感度は低く、全世代のなかでも最低です。
その反面他アイデアに比べてミレニアル世代以上の世代の共感度が高く、特に46歳以上はミレニアル世代前期(25~30歳)の次に共感度が高く出ました。

人生のフェーズにおいて抱える問題の大きさと、散歩を通した内省から得られる期待値が世代によって大きく異なる可能性を示していると考えられます。

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続いて「年輪」。

アイデアの課題解決度は、最も多い回答が「解決すると思う(回答4)」の50%で、「とても解決すると思う(回答5)」と合わせるとおよそ67%が解決すると思うに回答になりました。全体的に共感度が高いです。
サービスを使用したいかどうかについては、「とてもそう思う」と「そう思う(回答4、5)」を合わせて66%と共感度は高く、そう思わない回答は著しく低いです。主な理由として、問いかけられた質問に答えるというシンプルなフローにも関わらず振り返るきっかけを与えてくれることなどが挙げられていました。

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世代別の回答傾向はミレニアル世代(26~30歳、31~35歳)の共感度が高い結果となりました。また、ミレニアル世代よりもその下の世代であるZ世代の方が共感度が高く出ました。またミレニアル世代後半(31~35歳)とその上の世代(36~45歳)においては課題の解決度よりもサービスを使用したい度合いが高いです。

ミレニアル世代後期から45歳にかけては自身を振り返るタイミングが増え、課題の解決の如何によらずサービスの需要が高まっていると推測されます。
また、ミレニアル世代の下の世代(Z世代)においては、「自分らしさを強く求める」という彼ら特徴と本サービスの機能がマッチしていると推測されます。

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「花束を君に」に行きましょう。

アイデアの課題解決度は、最も多い回答が「どちらともいえない(回答3)」の35%で、そのほかの回答は若干低めに寄っているがおおむね左右均等です。
使用したいかどうかについては、「使用してみたい(回答4、5)」の合算は38%とアイデアの解決度に比べ共感度が高いです。主な理由として、相手の軸を明確にすることに直結するかは微妙ですが、花を贈るという行為を活用するのは良いというのが挙げられます。

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世代別の回答傾向はミレニアル世代前半(26~30歳)の共感度が最も高い結果となりました。次に下のZ世代が高く、両者の特徴として課題解決度よりもサービスの使用したい度合いが高い点が挙げられます。
一方でミレニアル世代前期から共感度がガクッと下がります。特に46歳以上は共感度が低く出ています。

花を贈るという行為がもつ魅力・影響力は高く、相手のことを考えて選ぶという点が若年層に評価されていると推測されます。他世代に比べ、若年層は相対的に花を贈る機会が今までにあまり多くないため、他世代に比べサービスを使用したい度合いが高いのかもしれません。

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最後に"Ji" shukusaiです。

アイデアの課題解決度は、「解決しないと思う(回答3)」が最も多く約35%で、解決への共感度が低い結果となりました。
サービスを使用したいかどうかについては、最も多い回答が「どちらともいえない(回答3)]の35%で、アイデアの解決度に比べ分布が左右均等です。自由記述式のコメントを踏まえると、「花束を君に」と比べても、誰に向けて花束を贈るのかに対する印象が大きく影響しているように思われます。

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アイデアの課題解決度は、「解決しないと思う(回答3)」が最も多く約35%で、解決への共感度が低い結果となりました。
サービスを使用したいかどうかについては、最も多い回答が「どちらともいえない(回答3)]の35%で、アイデアの解決度に比べ分布が左右均等です。自由記述式のコメントを踏まえると、「花束を君に」と比べても、誰に向けて花束を贈るのかに対する印象が大きく影響しているように思われます。

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アンケート結果の考察まとめ

以上のアンケート調査の結果を踏まえて、次のように考察しました。

・ターゲットユーザーであるミレニアル世代に対する仮説と課題の設定は的確である
  ・ただしいくつかのコメントを踏まえブラッシュアップする必要がある
・ミレニアル世代が抱える生きづらさの仮説と課題に対する共感度合いは、世代によって大きく異なる
  ・ターゲティングをより明確にすることも重要である
・ミレニアル世代内においても、前期と後期で抱える悩みと内省への期待値が大きく異なる
  ・内省という自分を振り返る機会において、「自分らしさを追求する」か「自分を見つめなおして成長する」かの違いがあるように思われる

課題と仮説は的確であることが分かった一方、もう少し整理が必要なことが見えてきました。
また、本ブログには掲載していませんが、自由記述回答を踏まえ、それぞれのアイデアの良いところ悪いところを整理し対象ユーザーの問題点を改めて整理すべきという結論に至りました。

次回は問題点を整理した結果についてお話ししたいと思います!お楽しみに。

※掲載内容はFLAGSメンバーの見解であり、富士通グループを代表するものではありません。
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