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星の王子さまに見る豊かさ

サン=テグジュペリの星の王子さまを読み返した。
とはいえ、内容はほとんど覚えていなかったので、もしかしたら読んだ気になっていただけかもしれない。
でもだからこそ新鮮な感覚で、大人になった今だからこそ感じることも多かった。

前回の初めての記事で書いた通り「豊かさ」という観点でも振り返りたい。

感想

なんとなく「できた」王子さまが周りにありがたい教えをギブするお話だと思ってたけど全然違った。
そうじゃなくて、王子さま自身も学んで成長していく。友達を作って、愛を知る。無邪気で優しいけれど、少しわがままで子供らしい一面もとても魅力的。
物語を通して、生き急いで多くのものを見失っている人びとに警鐘を鳴らす。
余白がある文章だからこそ想像を搔き立て、その時々の自分に必要な示唆を得ることができる。

美しい言葉たち


文章がとくにかく美しいのもこの本を名著たらしめている要因だろう。詩のような言葉は、心を揺さぶられるのでいくつか載せておこうと思う。
小麦を食べないので小麦には関心がないキツネが、王子さまの髪の色を思い出すから、、という1つ目の文章が情景がありありと思い浮かんで、特に好き。

金色に輝く小麦を見ただけで、ぼくは君を思い出すようになる。麦畑をわたっていく風の音まで、好きになる……

もしきみがぼくをなつかせてくれたら、ぼくの暮しは急に陽が差したようになる。ぼくは、ほかの誰ともちがうきみの足音が、わかるようになる。ほかの足音なら、ぼくは地面にもぐってかくれる。でもきみの足音は、音楽みたいに、ぼくを巣の外へいざなうんだ

もしも誰かが、何百万も何百万もある星のうち、たったひとつに咲いている花を愛していたら、その人は星空を見つめるだけで幸せになれる。〈ぼくの花が、あのどこかにある〉って思ってね。

夜になったら星を見てね。ぼくの星は小さすぎて、どこにあるのか教えられないけど。でもそのほうがいいんだ。ぼくの星は、夜空いっぱいの星のなかの、どれかひとつになるものね。そうしたらきみは、夜空ぜんぶの星を見るのが好きになるでしょ……ぜんぶの星が、きみの友だちになるでしょ。

豊かさとは

その時々、自分に必要な示唆を得ることができる、と書いたけれど、僕にとっては豊かさとは?が今の専らのテーマ。
この観点では、豊かさとは他者との絆によって生まれるのだと教えてもらった気がする。
王子さまとバラ、王子さまとパイロット、王子さまとキツネ・・・彼らには絆が生まれて、お互いが代替がきかない存在。
こういった絆が1つあれば、他に何もなくても生は満ち足りる。

僕にもそんな他者がいるといいなぁ。

でもきっと王子さまにこう言われる。
「きみの目に見えていないだけだよ」


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