見出し画像

中学受験生が読むべき本とは? 国語出題ランキング付き

2月も後半になると私立中学の入試は一通り結果が出て、受験生のいる家庭はほっとしているところでしょうか。あるいは2次募集に挑むため未だ緊張が解けないという家庭もあるかもしれません。

我が家の長男は昨年春に入試を経験し、現在中学1年生。妹は小学四年生で塾に通っています。再来年の2月にはもう一度あのハラハラする気分を味わうことになるはずです。

長男は、読書が大好きで、小学6年生になると、東野圭吾など大人向けの小説にまで手を出すほど。そのため国語で点を稼ぐタイプでした。読書はほどほどにして、算数や理科の勉強に時間を割いていれば、もっと……という思いもあります。

一方、娘は読書がそれほど好きではありません。最近のテストの成績を見ると、国語が足をひっぱている様子。漢字はそれなりにできているのですが、読解が苦手です。テストでは、かなりの長文を読む必要があり、苦戦しているようです。

読んだ本がそのまま入試に出題されれば……

これから受験する娘にどんな本を読ませればよいのか。日頃読んでいた本がそのまま入試問題に出てくれれば、これほど嬉しことはありません。そんな都合の良すぎる希望をいだきつつ、手元にあった過去問をめくってみると、複数校が同じ作品を出題しているケースがいくつかありました。中には、毎年のように出題される作家もいます。これは上手く選べば、理想の展開に持ち込めることも不可能ではなさそうです。

ということで、手元にある過去問から出題作品をひろって集計してみました。先に言っておくと、集計に使用したのは、『2020年度受験用 中学入学試験問題集 国語編 男子・共学校(みくに出版)』に掲載された2020年の入試問題(一部19、18年含む)。少し古いです。この問題集には、首都圏の私立・国立中学(男子、共学校)95校の問題が収録されているので、出題傾向を知る参考にはなるでしょう。最新版は、2022年度受験用が出ています。

中学入試国語で最も出題された作品 1位は?

さて出題作品ランキングの発表です(ドラムロール……)。

1位 水野瑠見『十四歳日和』〈講談社、2019/8/22〉 4校
※年月日は発行日付

慶應義塾湘南藤沢中等部、帝京大学中学校、桐蔭学園中等教育学校、暁星中学校の4校が出題しました。

クラブ活動や勉強、友人関係に悩む14歳の心情をオムニバス形式で描いた小説で、著者のデビュー作。第59回講談社児童文学新人賞受賞しています。受験生が合格後の学校生活を想像しながら読めるので、モチベーションアップにもなりそうです。読書感想文にも適しています。

次いで2位は、出題数が3校で2作品が並びました。
2位 宇根豊 『日本人にとって自然とはなにか』〈ちくまプリマー新書、2019/7/5〉 3校

『日本人にとって自然とはなにか』の著者は、福岡県の農業改良普及員を長く務めた農学博士。農業の専門家の立場から日本人独特の自然観を明らかにするという内容です。関東学院中学校、鎌倉学園中学校、明治大学付属中野中学校が出題。

2位 朝比奈あすか『君たちは今が世界』〈KADOKAWA、2019/6/28〉 3校

『君たちは今が世界』は、小学校6年生を主人公に、教室でのいじめや学級崩壊のほか、貧困家庭や育児放棄といった問題を描いた小説。海城中学校、開成中学校、サレジオ学院中学校が出題しました。この著者の作品では、『人間タワー』〈文藝春秋、2017/10/24〉を早稲田実業学校中等部が出題しています。

『君たちは今が世界』については別のブログに解説を書きました。ご参考まで。

著者別では宮下奈都も人気

著者別に集計したランキングでは、先に上げた3人のほか、宮下奈都が4校、佐川光晴、重松清、森絵都、藤岡陽子、茂木健一郎、日高敏隆が3校で並んびました。宮下奈都については、『つぼみ』を「御三家」のうち2校、麻布中学校、武蔵中学校が出題しました。

中学国語入試出題ランキング上位8作品


以下は、作品別の出題数ランキングです。

2020年度入試出題数ランキング(作品別)
※集計には『2021年度受験用中学入学試験問題集 国語編 男子・共学校編』みくに出版を使用

全体として、小学生、中学生が主人公にした小説、生物、自然環境について書かれた新書は、出題される傾向があります。大人向けの小説や哲学書なども出題されるので、少し背伸びした読書が求められるのでしょう。

この記事が参加している募集

#読書感想文

188,766件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?