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徒然 芸人がノーベル文学賞を目指す世界線が好きだ

昨日書いたAマッソの記事を読んでくださった方が、私の記事を引用してこんな記事を書いていた。

ファンとしては、あの村上愛と村上春樹が同列で文章に書かれているという時点で面白くて仕方ない。

訓読みが何かもわかってないあの村上さんと日本の文学のトップとも言える村上さん。

両者とも村上であること以外で並べられることは無いだろう、遠い存在だ。

そして、村上愛がノーベル文学賞をとる、と考えた時ふふって笑ってしまう。
あの人の文章力は、ある意味レベルが違う。

こんな文章書けないよ……。

芸人であるAマッソ。
そして、ノーベル文学賞。

私の中でこのふたつが繋がるコンビがいた。

それは、Dr.ハインリッヒである。
ご存知だろうか。

若手からはハインリッヒ姉さんの呼ばれている、女性同士のコンビだ。
そして、2人は双子である。

彼女たちは、以前あるライブでこんなことを言っていた。

「ノーベル文学賞を漫才で取りたい」

私はこの言葉を聞いて、惚れた。
それは面白そうじゃないか。

そして、Dr.ハインリッヒなら有り得るなんて思ってしまうのだ。

これは、『みょうが』というネタだ。
漫才である。

彼女たちは、あくまで漫才師であり、文学をやっている訳では無い。

ただ、その会話のテーマが妙なのである。
このネタはまず「みょうがみたいな犬を散歩させてる人がいた」から始まる。

そして、それはみょうがなのだ。
みょうが。
野菜の。いや、草?
薬味の、みょうが。

みょうがを散歩させている人がいたんだ。

イカれている。
そう、切り捨ててもいい。
しかし、そこから始まる会話は限りなく文学的なのである。

そのみょうがは、「何も失っていないのに何かを取り戻そうとしている」らしい。

いや、本当に意味がわからない。

漫才でしかないのだが、漫才ではないその世界観は、無視できない何かがある。

私はまだ新参者で、何も知らないにわかでしかないのだけれど、
この人達のネタがノーベル文学賞をとる時代が来そうな気がする。

変なことが好きだった。
変化させる予感が好きなんだ。

彼女達の存在は、きっと、漫才界だけでなく、世界を少しだけ変えるだろう。誰も気づかない程度の変化が、いつか大きな波を作る。

そう思うのだ。

もちろん、冗談で言ったのだと思う。
Dr.ハインリッヒは去年でM-1グランプリの出場権が無くなった。15年目だったのだ。
そして、若手に「この後は何を目標にするんですか?」と聞かれたときの答えだった。

漫才の台本は文学じゃないのかもしれない。

でも、その発言が私の中の何かを変えた。
漫才は日本では当たり前にあるし、漫才師の凄さ辛さを感じている人が多くいると思う。
近年のM-1の盛り上がりからも分かることだ。

だけど、世界では伝わっていない。
それは日本語だからだ。日本語だからこそ面白いことをしているから。
日本で楽しむものだと私も思っていた。

世界に知って欲しいとは思わない。
この面白さを作り上げた日本の漫才界は、ここでしか味わえないと思う。
私が日本人として日本語を母国語にしていたから分かる魅力だと思えていた。
それでももちろん、外国人も好きだという人がいると思うし、それは嬉しくて、全く無関係な私も何故か誇らしい気持ちになる。

だけど、やっぱり、小さい領域だ。
そう思っていた。

なのに、漫才師が、ノーベル文学賞を取りたいなんて発想をするなんて!

私が勝手に感じていた諦めを彼女たちは目指しているのだ。

文学をやっていても、ノーベル文学賞なんて眼中に無い。小説家の中でも、ノーベル文学賞をとることを目標にしている人は少ないだろう。
取れることなんてないから。

だけど、Dr.ハインリッヒのその言葉には、漫才にはその可能性がある気がするし、それが叶ったらめっちゃ面白くない?って気持ちが含まれている。

全く別のジャンル、ではない、ちょっとだけ近いものでとれたら面白いよね。

私もそう思っちゃったんだ。

漫才はきっと文学の世界に繋がっている。
日本語が面白く、世界観が面白い。
コントとはまた少し違う。
ただ、喋っているだけ。

そして、その中でもDr.ハインリッヒのネタは日本語じゃなくても面白くなるだろうほどの世界観の異様さ。いや、でも、そこは日本語だからこそだと言っていきたい。

とにかく、『ノーベル文学賞』という言葉がパッと出るということは、Dr.ハインリッヒの視野の中にノーベル文学賞が存在しているということだ。
人間、自分の中に存在してないものは言葉に出てこない。

私は、漫才師の中にノーベル文学賞が存在していたということが嬉しくて仕方なかったんだ。

自分の視野を広げてくれた。
まだ、選択肢は沢山あるはずだ。

だから、Dr.ハインリッヒがノーベル文学賞をとる日を私は楽しみにしている。

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