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この世には物語が溢れすぎている

生まれた時から物語に囲まれていた。
絵本に漫画に小説、テレビや映画を通して
いろんな世界を覗き見してきた。

物語というのは、時に人の心を温めて
感傷的にしたり強くしたりする。
そんな不思議な力を持っている。

私もそんなものが書きたい。
誰かの心に、何か温かく燃えるものを宿せる
そんなものを書きたい。
そんな欲求を原動力に言葉を綴っている。

まあこんな具合で、意志は立派なのだが
やはり物書きというのはそう簡単なものではない。
素人ながらに、白紙の原稿用紙に黒い文字を並べ
読み手に伝わる文章を作る、
その生みの辛さ難しさに日々ぶつかっている。

小さな時からロマンチストで
いろんな物語に想いを馳せてきた。
ただ、24年やそこらの知識や人生観では、
新しいものを書いてるつもりが頭のどこかで
物語の王道的な定番的な展開を浮かべてしまい
完成した作品を読み返すと、
どこかで見たことあるような誰かが既に作ったような
ありきたりなありふれた文章に仕上がってしまう。

はぁ、作家というのは本当に天才だ…
どうしてあんな発想ができるんだ?
どうしてこんな面白いものが書けるんだ?

日常にふと現れる、形も色もぼんやりとした感情。
その感情を誰かに伝えたくて見て欲しくて
ぼんやりとしたそれを縁取るように、
自分の知り得る中で最も当てはまる単語を
探し当てはめ形を作り、文脈により色を付ける。
この作業の繰り返しでやっと、
一つの文章が出来上がる。

正直、まだまだ「これだ」といった
納得のいく文章は書き上げたことがないし
そんな一朝一夕で出来上がるようなものではない。
書くことが好きなのであれば、
とことん好きなまま、書き続けるしかない。

良い文章を書くためには何が必要か。
正しい日本語、文法のルールや
数多くの単語を知り使うこと、
たくさんの名作に触れて学ぶこと。

そしてなにより、善く生きること。

どれだけ机の上で勉強しようとも
やはりいろんな経験を積み長く生きた人には敵わない。
物語のインスピレーションになるような
感情や風景を、私の何倍も何十倍も
持ち合わせている人達なんだから。

週末に通うライティングスクールの生徒の中で
私はおそらく最年少の生徒だと思う。
上は70代の生徒さんもいらっしゃり、
仕事の話や孫の話、戦後の話など
まあ書くネタが尽きないだろうなと思うほど
本当にいろんな経験を積んでいらっしゃる。

そんな人たちの書く文章は、
技術的にすごいとか難しい言葉を知ってるだとか
そんな表面的なすごさではなく、
経験をもとにしたリアルな情景や感情が浮かぶ
とても面白い文章ばかりで、
いつも私は感動させられ少し悔しさも感じる。

私はまだ、自分自身の人生という物語が少なく
映画や小説を通して誰か別の人の感情に触れ
その衝動から物語を作っている。

もっともっと長く生きて、
楽しいことや嬉しいこと、時には辛いことも経験し
私だけの物語を増やしていく。
そうすればきっと、もっとはっきりくっきりと
一つの情緒を縁取れる物書きになれるのではないか。

そんな期待をしながら、机に向かう勉学を怠らず
同時に外の世界へ繰り出して
様々な価値観の人と触れ合い学んで行くことにする。

善く生きて、善く書いて、
私だけのオリジナルの物語をいつか完成させたい。

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