夢は乾いて、街はまだ濡れている
昨日いちにち吹き荒れた雨は止んでいた。明るい曇天
に鳥がのびやかな声を鳴きとよもす。昨日のなごりのし
めった風が、雨に洗われた樹木の梢をゆらしている。窓
と玄関とをあけて風のとおり道をつくった。しめやかな
ふんわりとした空気が流れていく。しんみりとして気持
ちのよいそよ風だ。
朝方に夢を見た。目が覚めたときにあとで日記に書い
ておこうと思いながら、雑用にまぎれて忘れていた。午
後に一息ついて、先日買って読みはじめている小説をひ
らいたら、主人公が夢を見たいう記述が出てき