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神保町のドトールで居合わせた客に力説したいことがあったら本にした方がいい

街にたたずむ1軒の店。
その店は、常連客同士がざっくばらんに雑談をし合えるような、和やかな場所。

そこで種々ざまざまなことが話題に上るのですが、自分の考えを力説する人がいます。

私は職業柄、そんな人の話に耳を傾けるのが苦ではなく、むしろ興味を持って聞いているのですが、そんな風に思う人はごくわずかで、大抵の人は「また言ってるわ…」と呆れています。

話は変わりますが、10年ほど前、神保町のT堂書店の隣にあるドトールの2階席で、ある人が大きな声で独り言を話しているところに、たまたま居合わせました。

なんでもその方はある団体に騙されたようで、その被害がどんなものだったのかを克明にひとりで誰かに聞こえるように話していたのです。神保町という場所柄、ここでそういうことを話すことで、雑誌の記事にでもなるかな、という目論見があったのかもしれません。

そんな中、その人が発する言葉に耳を傾け、なるほどそんなことがあったのか。大変だったんだな。とひとり耳を傾けていたのですが(さすがに話しかける勇気はなかった)、大抵の場合、「変な人がいる」と判断してその場を立ち去るか、無視するかでしょう。

しかし、さすが神保町!
その2階にいる人たちがほぼ立ち去ることなく、みな淡々とコーヒーを飲んでいます。みな編集者だったのかな?! 耳を傾けているんですね!

これが違う町だったら即スルーされます。

でもこんなに強く「言いたいこと」を持っているならば、考えていることを客観的な視点で文章にしてまとめて、どこかの出版社に持ち込むか、本にして世に問うた方がいいと思います。

多くの人は、誰でもないような人の話に耳を傾けるほど、余裕もないし、時間もないし、興味もありません。

そんな時に本なのです。

本にすれば、「ああ、この人はこんなことを考えているのか。こんなに言いたかったことがあるのか。タイトルは?ふむふむ、へ〜。すごいですねー本書いたんですか」と思ってもらえる確率が高いです。

本は考えが可視化され、持ち運びしやすい形になっているのです。

それを読んでほしい人にポンと渡せば、自分の考えに共感する人を見つけるきっかけになります。あるいは書店で見つけて買ってくれるかもしれません。

うまくいけば、あなたの考えを読んだ人が発展させ、いい助言をくれたり、あるいはそれまで自分だけでは考えられなかった境地に連れていってくれるかもしれません。

本はそんな時に活躍する素晴らしいものなんです。


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