#病院
短編小説【ウラとオモテシリーズ】「夢の続きは…・ウラ編」
※「夢の続きは…・オモテ編」を読んでいない方は上記のページに飛んでいただければと存じます。
ー現実世界に生まれたら、あなたは私のことを好きになってくれるかな
ーあなたから生まれた存在だけど、私はあなたの理想であって、理想ではないわ
ーいつしか、あなたが思い描いた私の像は、感情を持つように。
ーこれが、笑うことなんだ。これが、腹を立てることなんだ。これが、寂しいことなんだ。これが…好きになる
短編小説【ウラとオモテシリーズ】「夢の続きは…・オモテ編」
「610号室は…この廊下か」
病院は走ってだめと頭で分かっていても、どうも身体は言うことを聞いてくれない。
君のもとに、すぐ駆けつけたい想いは目的の病室に近づく毎に昂ぶってくる。だが、今は感情を抑えるんだ。
頭がもやもやしている中、早足で歩いていると、”610号室”と書かれた壁に突き出たプレートが見えた。
「ここか…」
病室前の扉の横には”織部冬子”と表札が掲げてあるのを確認する。
僕は、息を整え