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「 コスモテック、 『 デザインのひきだし 』 表紙加工 全10回成す 」

コスモテックの青木です。

2024年2月発売の 『 デザインのひきだし51 』( グラフィック社編集部 )では、コスモテックは通算10回目の表紙製作・加工のお手伝いをさせていただきました。 書籍の顔である表紙へ10回も押させていただいたという出来事は私にとって特別な思いがあります。

51号( 2024年現在 )中、その 約1/5 の10回の
表紙加工に携わらせていただいたことは感慨深い

◉ 6回目を超えた時の意識

コスモテックがはじめて 『 デザインのひきだし 』 の表紙加工に携わらせていただいたのは、今から遡ること13年前。2011年 『 デザインのひきだし13 』 で青焼きの表紙に箔押し加工をさせていただいたのが最初です。この時、『 デザインのひきだし 』 編集長の津田淳子さんからお声がけいただき、はじめて表紙加工でお手伝いさせていただいた感動は今でも忘れることができません。

『 デザインのひきだし13 』 青焼きの表紙への箔押し加工
箔の定着具合を調整中の時


そこから、2017年までの間、さらに5回にわたって表紙加工をお手伝いさせていただきました。この時期までの5回は箔押しの匠 佐藤が加工を支え、時には自ら腕を振るって表紙加工を成し遂げました。

そして、2019年の11月に佐藤は天国へ旅立ちました。


その後、2020年 『 デザインのひきだし39 』 にて、表紙がティッシュ素材という難易度が非常に高い箔押し加工を、箔押しの匠 佐藤がいない中、コスモテックの現場を引き継いだ現場リーダーの前田瑠璃が中心となって行いました。

コスモテックが表紙の加工に携わらせていただいた6回目の時です。


「 絶対に成し遂げてみせる。 匠の技を受け継ぐんだ。 」

という決心とは裏腹に、果たして本当にこの難しい加工を終えることができるのだろうか… という不安な気持ちに飲み込まれそうにもなりました。無事に加工を終え、『 デザインのひきだし 』 編集長の津田淳子さんや読者のみなさんにとても喜んでいただけたことが私たちの救いとなり、「 頑張って本当に良かった… 」 と肩を撫で下ろし、ちょっぴり涙が出ました。

そして、「 ああ、本当に匠は逝ってしまったのか。 」 「 加工の現場にもういないんだ。 」 という事実を本当に受け入れられた瞬間がこの時だったように思います。

2011年から2017年まで5回にわたって、コスモテックの箔押しの匠 佐藤が携わらせていただいた 『 デザインのひきだし 』 の表紙加工。 6回目のティッシュへの箔押し加工を終えた時、私の頭の中には、この時はまだぼんやりですが、「 いつの日か10回目を迎える日が来るといいな 」 そんな思いがふっとわいて出てきたのでした。

◉ 10回目のコダワリ

箔押しの匠 佐藤がいた頃のコスモテックを例えると 「 職人の時代 」。
「 職人の時代 」 にお手伝いさせていただいたのが5回。

これからの一つの目標、一つの指針として、「 若いメンバーとともに次の時代に技術や思いを繋いでいければいいな! 」 という思いと、難易度の高い仕事をやり遂げることで自信になる、技術力が磨かれることから、ティッシュへの箔押し( 6回目 )以降、「 あと4回で計10回なんだ! 」 と、コスモテックで 『 デザインのひきだし 』 表紙をぜひ10回は加工のお手伝いをさせていただきたいと強く願い、コスモテックの一つの目標のようなものになりました。

そこから幸運にも、前田( コスモテック )が開発したテープスタンピング加工を採用していただいた 『 デザインのひきだし41 』 表紙( 2020年 )、紙と箔押しを組み合わせて1000パターンの表紙を製作した前代未聞の 『 デザインのひきだし46 』 表紙( 2022年 )など、着実に一つ一つ経験と技術を積み上げていきました。

ものづくりと共に技術力を磨き、『 よりお客様の求める形に寄り添うこと 』 を特に意識しながら、通算9回の表紙加工。


あと1回で10回!
私は 『 デザインのひきだし 』 編集長 津田淳子さんに 「 次回でコスモテックがお手伝いさせていただく 『 デザインのひきだし 』 表紙への加工がなんと10回になります。 仕様でハマることがあれば、ぜひとも挑戦させてください! 」 と、事ある毎に熱意を伝え続けておりました。

◉ 「 佐藤さん(箔押しの匠)、見てますか? 」

写真 :  三宅英文さま


気づけば、はじめて表紙加工に携わらせていただいたあの日の感動から13年もの月日が経っていました。
紙や印刷加工の状況は13年前とは様変わりし、コスモテックの置かれている状況や求められているものもまた大きく変化していると感じています。

古( いにしえ )の顔料箔で箔押しした 『 デザインのひきだし51 』


今( 2024年 ) 『 デザインのひきだし51 』 の表紙加工を終え、通算10回にわたってコスモテックで加工に従事させていただいた今だからこそ感じること……

おそらくコスモテックの社内でも10回のすべての表紙加工を間近で体感したのは今や私だけでしょう。当時から今日に至るまでの製作過程の全てを肌で感じることができたのは本当に幸運な出来事です。佐藤( 箔押しの匠 )で5回、現場リーダーである前田含め今の現場メンバーで5回。これは私にとって格別に嬉しい体験です。

上段:左から 13号・20号・22号・26号・32号
下段:左から 39号・41号・44号・46号・51号
『 デザインひきだし 』 編集長の津田淳子さん と 前田瑠璃( 現場リーダー )


「 佐藤さん、あなたが作った箔押し印刷工房 コスモテックは、昔も今も変わらず真摯に箔を押し続けてますよ。 届いてますか? 見ていますか? 」

13年を通して表紙に押した回数はのべ10万回を超え、毎回難易度が非常に高く、さまざまな材質の表紙への加工という大きな挑戦と成長のチャンスを与えてくださった 『 デザインひきだし 』 編集長の津田淳子さんに心より感謝してます。 箔押しの匠がいた頃のコスモテックと今のコスモテックを 『 デザインのひきだし 』 を通して、津田さんと一緒に見ることができて本当に良かったです。

『 デザインひきだし 』 編集長の津田淳子さん と 佐藤( 箔押しの匠 )


今後も絶えず、次の時代や世代に技術や思いを繋いでいけるよう精進して参ります。まだまだ箔押しの匠 佐藤の領域までは程遠いとは思いますが、それでも一歩一歩前進、一枚一枚箔押ししていく作業は続いていくのです。

今後も 『 デザインのひきだし 』 をきらびやかに彩る一助となれるよう、一つ一つの経験を大切にコスモテックは歩んでいきます。

箔押しの現場で箔を長年押し続けた佐藤( 箔押しの匠 )の凄みや、『 デザインのひきだし 』 編集長のあたたかい心意気など、長い年数をかけて積みあがってきた、目には見えない力をより濃く、今だからこそ感じたり分かったりすることがあります。そして、これらの力がコスモテックの箔押しの現場の背中を押して、今そして明日、この先へとバトンを繋いでいってくれているものだと信じております。

皆さんからの信頼を受けて絶えず箔を押し続けることの難しさと、押し続けさせていただけることが如何に幸運なことであるかを、私は感じずにはいられないのです。

◉ 『 デザインのひきだし 』 表紙加工 全10回の記録

2011年 - 2024年 全10回 『 デザインのひきだし 』 表紙加工
①『 デザインのひきだし13 』(2011年) | 青焼きへの箔押し
②『 デザインのひきだし20 』(2013年) | 複写伝票への箔押し
③『 デザインのひきだし22 』(2014年) | 役目・役割を終えたお札が漉き込まれた紙への箔押し
④『 デザインのひきだし26 』(2015年) | パルプシートへの箔押し
⑤『 デザインのひきだし32 』(2017年) | 工業用包装用紙へのエンボス(浮き出し)
⑥『 デザインのひきだし39 』(2020年) | ティッシュへの箔押し
⑦『 デザインのひきだし41 』(2020年) | 表紙へテープスタンピング加工
⑧『 デザインのひきだし44 』(2021年) | アートボールへの加熱型押し
⑨『 デザインのひきだし46 』(2022年) | 紙×箔×箔 1000パターンの箔押し表紙
⑩『 デザインのひきだし51 』(2024年) | 2種類の顔料箔を使った表紙

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