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夜の秋

8月も今日を除けばあと2日。
残暑がまだ居座る日中はまだ35℃を超える日も
続きています。

それでも日の傾きが早くなり、
窓の外から聞こえる虫の声は様変わりしてきました。
日中はヒグラシからツクツクボウシが鳴いて
いますが、夜はコオロギがすだく声にまるで
秋の夜かと思うほどです。

今はまだ処暑は過ぎたとはいえ、
日差しは刺すように強く、熱せられた地面からの
照り返しが容赦ない残夏です。
残夏のなかにふと感じる秋が現れる、
そんな微妙な季節の移ろいを「夜の秋」といいます。

「秋の夜」ではなく「夜の秋」。
「秋の夜」は文字通り秋の日の夜のことですから
秋の季語になります。
でも「夜の秋」と表現すれば、これは夏の季語。
心情と情緒を重ね合わせた余韻が伝わります。

微妙な移ろいの季節を感じとり、言葉に表わした
古人(いにしえびと)の感性は素敵ですよね。
暑い、暑い、もう暑いのは勘弁してー!
と嘆いても涼しくはなりません。
夜の秋を感じる余裕を持っていたいものです。


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