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俺たちの相手をしてくれるのはキャバ嬢くらいしかいないんだよ

これは私が新卒で入社したCM制作会社で先輩が飲みの席で言ったセリフ。

いま改めて活字にしてみると、なんじゃこりゃ、って印象ですが、当時は「こんな働き方だったら確かにそうだよな」と妙に納得したものです。

今は「働き方改革するぞー!」という安倍さんのやる気の影響もあって業界的にだいぶ改善されているようですが、当時の働き方は一般的に見たらブラックそのものでした。

昔々あるところに、CM制作会社、勤務初日の話。

つい先日まで大学生で「女の子」と「大学をどうさぼるか」に全脳みそをフル回転させていた若造が、いきなり会社と言う組織に放り込まれるわけですから、その初日となればとてもとても緊張しているわけです。

内定式や研修中はスーツでしたが、勤務は私服でよいので可もなく不可もない服装で出社。きちんと定時の30分以上前に勤務先に到着するわけですが、この業界、定時にはほとんど誰も来ない。いきなり手持ち無沙汰。自分の席もわかんない。あれ、どうしよう?

定時ギリギリくらいにデスクと呼ばれる、制作メンバー(P=プロデューサーやPM=プロダクションマネージャー)の身の回りのサポートをしてくれる社員さん(女性)が出社。席に案内される。

その後は、ひたすら挨拶。ぱらぱらとマイペースで出社してくる社員一人一人に自己紹介。笑顔で聞いてくれる人もいれば、「そういうのめんどいから」と冷たくあしらう人も。それでもめげずに挨拶。

その後は、2〜3個上の先輩たちのお手伝い。資料のコピー、広告会社へのお届けもの(これがまた一日中とんでもない量の届け物がある)、資料の整理などの雑用。触ったことのないMacの使い方とかも教わりながら、資料探し・資料づくりを手伝ったり。

定時は10時〜19時のはずですが、没頭していたらいつのまにか21時半。まだまだみんな働いている。しかし「さすがに初日だし…」と気づいた1人の先輩が「もう帰っていいよ」と気を遣ってくれる。新人なのに先に帰るなんて、、とちょっと申し訳ない気持ちを抱えながら、「先に失礼します」とオフィスを出る。

オフィスから駅までは7分ほど。実家から通っていたわたしは通勤時間1時間。帰ったら23時近いなーと思いながら改札を通ろうとすると、見知らぬ番号から電話が。電話に出るとさっきの先輩。「あれ、どうしました?」

「いやあ、ごめん。上司に新人だからって甘やかすなって怒られちゃってさ、、悪いんだけど、戻ってきてくれない?」

帰ってよいと見せかけて、ツンデレかと。とりあえず戻り、その後終電まで働くことに。(※ちなみにその後、ずっと土日も出勤しつづけて、4月13日の初出勤後、初めて休みを取れたのが5月20日。約1ヶ月後のことでした。)

とまあ、こんな働き方が日常な業界。でも多くの業界人たちは映像や広告、この仕事が大好き+麻痺しちゃって、全然苦じゃないんですよね。(だからってこういう働き方をはそのままにしておくのはよくないですが)

夜遅くなると、その分「うまいもん食べにいくぞー!」とみんなでワイワイ美味しいお店に行ったり。けれどその引き換えに、冒頭の「キャバ嬢しか相手にしてくれない」発言。これは普通の会社員の彼女がいたその先輩が、あまりにも帰ってくるのが遅いから「そんなに終わらない仕事ってなに!?」「浮気しているでしょ」と疑われたあげく別れた話の後のセリフ。まあ、そうなりますよね。

こんな感じで、個人的に衝撃的だった社会人初日。これ以外にもたくさんのネタを仕込めた制作会社時代なので、ちょいちょいこちらでつぶやいていくことにします。


ちなみに全然関係ないですが、このnoteのトップ画像は、先輩のセリフに合う写真を入れたくて「キャバクラ フリー素材 写真」で検索したら出てきた「ぱたくそ」というサイトで見つけたもの。

このサイト、写真ひとつひとつに付いているキャプションがムダにおもしろいですね。時間が有り余って仕方ない人は、ぜひ見てみてください。

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