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コロナ、フリーランスの収入への影響【アメリカ編】

アメリカで失業保険を申請した件数が5/22時点で3800万件におよび、労働人口から計算すると5人に1人が失業しているという状況になっているそう。

もちろん企業に勤める人だけではなく、フリーランスで働く人にも多くの影響を与えています。

フリーランスの収入の現状

米DIGIDAYの記事からの引用です。

フリーランスのライターであるジュリア・パインズ氏は、彼女が抱える主要クライアントから3月の仕事がひとつなくなったことを2月24日に伝えられた。2000ドル(約21万円)の報酬に値する仕事だった。

やはりというべきか、実施される予定だった仕事がコロナにより企業の業績が先行き不透明になることにより、「とりあえず社内にお金を確保していこう」「外に出るお金を最小限にしよう」という動きは私の周りでも起こっています。

上の記事の続きで、米DIGIDAYがインタビューした10人のうちほぼ全員が、「フリーランス予算の凍結や削減」といった理由で今年抱えていた仕事の25%から90%がなくなったと回答しているとのこと。

一方別の記事では、仕事発注側へのインタビューをしていて、

コロナ以降、32%が「フリーランスの需要が減少した」と回答した一方で、40%が「ビジネス需要は安定している、または成長を続けている」と回答している。一旦、外に出るお金をコントロールして、状況を冷静に分析した上で、必要な投資を再度行っていく、という慎重なスタンスなのかもしれません。(これは業界にもよるし、母数がどれくらいかによりますね)

ちなみに、北米・欧州はアジア・豪州よりも需要が減少(アフリカのデータは入手不可)、フリーランサーの4分の3は、コロナにもかかわらず賃金率は安定していると答えています。

確かに2〜4月の新規受注はパタッとなくなりましたが、継続案件は続きましたし、5月に再び新規の相談が舞い込む、という流れはありました。

フリーランスの場合、そこまで多くクライアントを抱えているわけではないので(おそらくそれなりに大きい仕事の場合2〜3クライアントが平均くらいでは)、そのクライアントが影響を受ける業界でなければ、フリーランスへの影響も少ないのかもしれません。

政府のフリーランス支援の現状

アメリカにおいて、フリーランサーが申請することができる支援策は

●報酬保護プログラム(Paycheck Protection Program)
●パンデミック失業支援(Pandemic Unemployment Assistance)
●経済損傷災害ローン(Economic Injury Disaster Loan)
●そして州からの失業手当
※日本語名は適当訳なので違うかも

ここらへん。

EIDLは農業ビジネス限定のものとして仕切られ、PPPは資金源が限られていたため、フリーランサーたちは中小規模の会社とこれらの支援策を巡って競争をしている。PPPやPUAは応募多数により、受付中止中との話も聞きます。

フリーランサーズユニオンが2,755人の組合員を対象に行った調査によると、政府の失業給付を申請した85%の人がまだ給付金を受け取っておらず、大多数の人が返事を待っている状態とのこと。日本も10万円が全然申請処理回っていないというニュースありましたが、どこの国も同じような状態かもしれませんね。

エスピナル組合(?)の調査によると、コロナウイルスの大流行により82%が1つ以上の政府救済プログラムを申請(ほとんどが失業給付)。フリーランサーの場合、その36%が給与保護プログラムの中小企業向け融資を申請し、さらに39%が経済傷害災害融資を申請した。

まだ救済を受けていない調査回答者のうち、80%が返事を待っており、22%が資金調達を拒否されている、という。
受け取れたのは、失業保険を申請したフリーランサーのわずか12%が、PPPローン申請者の5%、EIDLローンを申請した人の9%、だそう。

これだけ支援が遅れている理由の一つとしては、多くの州が「フリーランサー」や「独立した請負業者」を支援するためにゼロから新しいプログラムを構築しなければならなかったこと。

ワシントン州、マサチューセッツ州、ジョージア州、アラバマ州は既にPUAの申請を受け付けているけれど、オハイオ州やアリゾナ州は5月中旬までプログラムの準備ができないと発表しています。

ピンチのフリーランスはどう対応している?

以下、冒頭のDIGIDAY記事の続き。

ヘルスとサイエンス分野のフリーランスレポーターであるマグダレナ・プニースカ氏の場合、彼女のクライアントは完全にフリーランス予算をなくしてしまうか、報酬額を削減するという形だった。1200単語の記事に対してクライアントのひとつは400ドル(約4万2000円)の報酬を提案してきた。これは通常の報酬と比べて少なくとも30%少ない

発注主は、外に出る予算を削減。すぐに別の仕事を見つけることができないフリーランスは、それでも受ける。背に腹は変えられない。という状態のようです。

長期的に見れば追い風も?

企業の経営層へのインタビュー。定性意見ではあるものの、

●近い将来の世界的な成長については悲観論が多い
●53%のCEOは、世界的な成長が今後1年間で減少すると予想

一方で、

●「米国のCEO」は「世界のCEO」よりは成長に対して自信を持っている
●2020年の収益成長に自信を持っており、「世界のCEO:27%」に対して、「米国のCEO:36%」となっている

現在、米国のCEOの83%が「コスト削減」「コスト効率」を重要な目標としており、成長を促進するための新製品やサービスの立ち上げに頼ることを減らしていくと解答。自社の収益成長を信じているCEOはいるものの、やはり今は守りを固める姿勢が強いですね。

下記はCFOへの調査。

●16%がレイオフによる人員削減を期待
●44%がスタッフコスト削減のために様々な措置を取ることを想定
●50%が将来のビジネスニーズに対応するための適切なスキルミックスが不足していると回答
●さらに、60%のCFOは将来的に安定した長期的な雇用の可能性が低いと考えている

今は人員削減をして費用を抑えたいけれども、同時にビジネスを推進するための人材・スキルは不足していて、とはいえ長期雇用はしたくない。

つまり、「優秀な人材を限定的に雇用したい」ニーズは高まっています

このことから多くの企業が、コスト効率と重要なスキルセットを補完するためにフリーランサーにアクセスする可能性が高い

これらのチャンスが多いと想定できる業界は、「人工知能」「ロボット工学」「IoT」「自律走行車」「3Dプリント」「ナノテクノロジー」「バイオテクノロジー」「材料科学(?)」「エネルギー」「量子コンピューティング」などの分野とのこと。かなり専門的な領域が多いですが、やはりエンジニアが不況にも強いことがわかります。

世界にアンテナを巡らせることの重要性

前々から「自分のスキルを高く買ってくれる国と仕事すること」の重要性ってあるなあ、と感じています。マーケティングに仕事やエンジニアの仕事、国によって報酬は違います。需要が高い国ほど、高いお金を払ってくれる。

今回も、まだ落ち着ききっていないとはいえ、中国や韓国は先行して経済再開に踏み出しています。日本だけで仕事していたら、日本の影響がおちつくまで待つしかありません。アメリカも同様です。

今は守りの姿勢が強い企業も、いずれは攻めに打って出なければなりません。そんな時に「企業がそうなるのを待つか」「すでに前向きになっている国に仕事を取りに行くか」の行動の違いは大きな差が出ると思っています。

私もまだまだ自分のテリトリーの拡大ができていないので、世界の景気の流れを見ながら、柔軟に動けるフリーランスになっていきたいものです。

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