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第3回『THE NEW COOL NOTER賞』文芸部門作品発表

今回もたくさんの作品に触れさせて頂き作品の中にある在るがままの本質を紡ぎとり、愛ある言葉で講評に当たらせていただきました。

自らの主張を押し付けるのではなく、作品をあげつらうのでもなく、人それぞれが持つ異なる美質を明瞭化して言語化する。

これに徹して授賞、及び最終の激励のひとことを、受賞者の方、そして参加者全員の方にお届けしたいと思います。

THE NEW COOL NOTER賞
審査委員長 洋介(行政書士・民事法)

【詩部門】

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詩部門に27もの作品を
エントリー頂き有難うございます。
印象的な素敵な作品が多く
候補作は他に数作品ありました。

惜しまれるのは、
詩の審査基準として公にした
詩は比喩を創り上げ
言葉の力で創造することと
いった見方をご存知ない場合や、
行間を開けたエッセイや
短い小説仕立てだったりと、
その作品が魅力的な作品であるほど
非常に残念に思いました。

又、詩人の谷川俊太郎さんの
自分の言いたいことを
勝手に言うのではなく、
情熱のはけ口でもなく
詩は個人的なものであっては
ならないという
詩を書く上での基本も
熟慮しながら検討致しました。

■詩部門特別賞
 cofumi殿 「手毬」

■【洋介委員長より講評】

混沌の世界から手毬を
掬い上げて比喩をつくり、
掬い上げた手毬の世界を
言葉の力で読み手に想像を
抱かせ情景を創造させる。
擬声語をリズミカルに使い
言葉で表現する哀切な世界。
哀しみと美しさが秀逸でした。

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■詩部門賞
 壱貫亨治殿 「パレード」

■【洋介委員長より講評】

時代に不要になったものたちに
比喩をつくらせ現代の風景を
テンポよく切り取ります。
災厄を思わせる心象風景が
言葉により創造されコミカル
且つシニカルな表現が秀逸です。

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■詩部門賞
 セキグチ ヒサシ殿 「残像」

■【洋介委員長より講評】

まさに残像の残る
センスの良い衝撃のある作品です。
ただ語調が変わる箇所があり
後半の流れが気になりました。
とても素敵な作品であることには
変わらず、ご参加に感謝します。

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■THE NEW COOL NOTER賞特別奨励賞
 千葉貴史殿 【壺】

■【事務局長一奥より授賞】
苦悩と韻律、救いと迷い。
確立される自己と、表現することでしか謳い得ぬ己の有様を赤裸々に、しかし絞り出すように吐き出す姿が、とても印象に残りました。
理解されようとして平易な言葉を使おうとすることと、しかし、その言葉とリズムでしか表現できない、神の宿る細部の如き平仄の狭間で揺れる。
詩作とは、血反吐をはきつつ、前を向いて歩きつつけるように、前のめりに活動し続ける中でこそ、生み出され育まれるものであると気づきます。

創作における苦しみと、そして喜びを、感じさせられました。
千葉さん、このたびはご参加、まことにありがとうございました。

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【短歌・俳句部門】

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■短歌・俳句部門授賞
 Ginga Otake殿 「自由俳句 夏座敷」

■【ゼロの紙さんより講評】

自然を仰ぎ、愛でながらそこに描写されている景色は、生き生きとした躍動感に満ちていました。
日常のふとした風景なのに視線の確かさに裏付けされた10句は、10のそれぞれの時間の流れまでをも感じさせてくれました。Ginga Otakeさん受賞おめでとうございます。

つるさんも茉叶さんも自然をじぶんのうちに引き寄せて詠うという、今の気持ちを存分に表現されていました。
すてきな作品お寄せいただきありがとうございました。

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【小説部門】

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■エンタメ小説部門賞
 横山小寿々殿 「ママ」

■純文学小説部門賞
 対象作品なし

■【赤星香一郎先生より講評】

最後は見事に騙されました。
しかもラストは悲劇ですけど、読後感は非常にいいと思います。気持ちよく騙されたのも読後感のよさになっているのでしょう。
実際にありそうな話なのが、さらにこの物語の現実味を増していますね。
私も一番いい作品だと思いました。おめでとうございます!

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■純文学小説部門みこちゃん特別奨励賞
 ふくりと殿 「代理人」

■【みこちゃんより講評】

この珠玉の物語の続きが読みたい。切にそう思わせる作品でした。これはもちろん最上級の褒め言葉です。

「永遠の命……」

もしかすると、人は自分のやりたいことをやるために、生きているのではなくて、安心して次の世代に何かを託せる心境に至るために人は生きているのかな、などと思いました。

奇想天外なシチュエーションと作品世界なれど、生きるとはなにかという素朴でリアリティのある問いかけを、押し付けがましくなく、無常の余韻を持って訴えかける、質素で存在感のある、素敵な小説をありがとうございます。

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■純文学小説部門みこちゃん特別奨励賞
 ハゲのタイタン殿 「Perchという名の喫茶店 〜七月七日〜」

■【赤星香一郎先生より講評】

読後感がよく、非常にいい話です。
途中では意外性もあって、よかったです。とかく飽きがちな中盤で、読者を見事に物語に引き込んでいます。
ラストシーンで、すべてを忘れていた相手が「駅まで送って行こうか」を覚えていた。これも心に響きます。
楽しい物語をありがとうございました。

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『THE NEW COOL NOTER』賞 主催者みこちゃんより

 この度は多数のご応募いただきありがとうございました。

 賞と名のつく以上、金銀銅メダルのような記念になる参加の思い出をお渡ししたい。
 決して、選別ではなく、おしくも受賞を逃した方も、最終講評を読んでいただいて「ああ、なるほどねぇ」と思っていただき「よし!次も頑張るぞ」と、こんな勇気を受賞作品から読み取っていただけたらと思います。

 参加した方全員、そして参加はしなかったけど興味を持って作品を追いかけていただいた皆様の今後の創作活動に、この『THE NEW COOL NOTER賞』の取り組みがなにか資するところがございましたら、それこそが、審査委員一同の幸せでございます。

 みなさま、ありがとうございました。

第3回

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