3回生の秋、僕はやっと大学生になれた
中高時代、僕の大学への憧れはサックス、CD、スパゲティでできていた。
🎷サックス中1のころ、5つ上の兄が京都の大学に合格した。
下宿探し、家財の調達、引越と忙しい兄に、僕はよく同行した。
大きなキャンパスから、図太い音が響いてくる。
最初は遠慮がちに、すぐ大胆に。
サックスだ。
おそらく軽音サークルの練習だろう。
いつ行ってもキャンパスには何本ものサックスの音が混じり合っていた。
そのたび足を止め目を閉じて、しばらくその音に身を預けた。
いつしかサックスの音こそが大学