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我々は「未来」をどう捉えるべきか?

今回は新人に教えたこと、第5弾。

先日「自分が考えた企画に自信が持てません。」という相談がきました。

ふむふむ。これは誰もが悩むことですね。

自分が起こした行動で、最終的にどうなっているのか?という、なんとも人間らしい疑問です。

そんなときは「未来」の捉え方が、その疑問を解決するヒントになります。

「未来」というのは、不可解で、魅力的で、恐怖の対象にもなりうる興味深いものだと私は思います。

自分の企画に自信を持つために、未来という切り口からどんなアドバイスをしたかをお伝えしたいと思います。

未来は予測できるのか

結論から先に言ってしまうと、未来は予測できません。

これは、理論的に証明されています。

少し残念ですが、感覚的にはしっくりくる気がします。

今、我々は、AmazonPrimeで家で映画を見て、UberEatsでごはんが勝手に届き、LINEで友達と連絡をする。みたいな生活をしています。

でも、この生活を100年前の人が予想できたでしょうか。

できませんよね。もし預言者が「当てた!」とか言ったとしても、それはたまたま勘があたっただけです。

人が完全に未来を予測することは「絶対に」できないのです。

なぜ人は未来を予測できないのか

この事実は「カオス理論」と呼ばれる理論で証明されています。

ここでは、すごーく簡単に、なぜ未来は予測できないかをお伝えします。
※詳しく知りたい方は、カオス理論の本を読んでください。結構難しいです。

昔の頭のいい達人は、こう考えました。

物理とか、化学とか、「こうすれば、こうなる」という法則を人間はたくさん見つけているよね。じゃあさ、めちゃくちゃ頑張れば、どんな未来も法則によって、予測できるんじゃね?

ふむふむ確かに。

原因と結果という関係が「法則」によって結びつくなら、その法則を頑張って解き明かそうという考え方です。

しかしながら、ある日、とある天才がこんなコト言い始めます。

物事が複雑になると、人間は未来を予測できません。その理由は以下の2つです。

①物事が複雑になると、初期値(原因)が少しずれるだけで、結果が大きく変わるから
②人間は初期値を完全に測定することができないから

ちょっとむずかしいので、それぞれ分けて説明しますね。

①物事が複雑になると、初期値(原因)が少しずれるだけで、結果が大きく変わる

これは、ゴルフが難しいのと一緒です。ゴルフ何が難しいって、クラブが球に当たる角度が少しズレるだけで、球が落ちる場所が大きく変わるからなんですね。

つまり、初期値(玉にクラブが当たる角度)が少しでもズレるだけで、結果(球が落ちる場所)が大きく変わるということです。これを「初期値鋭敏性」言います。

クラブが球に当たる角度が1度ズレただけでも、ものすごい変な方向にいってしまうからゴルフってのは難しいのですね。

そして、この物事は複雑になればなるほど、初期値のズレが結果に大きく影響するのです。

ゴルフですら、初期値によって大きく結果が変わるのですから、社会現象を予想しようなんか考えたら初期値を本当に正確に定めないと、トンチンカンな予測になってしまうのはもうお分かりでしょう。

②人間は初期値を完全に測定することができない

初期値が重要なのはわかった。

だったら初期値を完全に設定してしまえば、法則によって結果が予測できるじゃん。と思いますよね?

ただし、ここに大きな落とし穴があるのです。

人間は初期値を完全に測定できないのです。

感覚的には「は?」という感じになる人もいると思いますが、コレは真理です。

人間は、完璧には「1m」というものすら測れないのです。

実際に、1mを測ってみましょう。

ものさしを持ってきます。でも、その1mのメモリには幅がありますよね?

じゃあ、完璧な1mから微妙にズレているじゃないですか。
1.003mかもしれないですね。

どんなに緻密なものさしを持ってきても、そのメモリには幅があります。
1.00000000000000000001mになってしまう。

つまり、1mとは、1.000000000・・・(無限に続く)mなので、人間には正確な長さを測ることはできません。というカラクリです。
※もし、無限に正確なものさしを持ってきたらメモリがなくなってしまうので、人間は認識できません。

①と②が掛け合わさるので、未来は予測できない

社会の仕組みというのは極めて複雑です。

つまり、初期値鋭敏性がかなり強く効きます。

さらに、人間は初期値を正しく測定できないため、どうしても初期値がズレてしまう。

この掛け合わせによって、初期値が微妙にずれ、初期値鋭敏性が発動し、予測結果が実際とは大きくかけ離れたものになる。という理屈です。

未来をどう捉えればいいか

さてここまで長々と「未来は予測できない」ということをお伝えしてきました。

これはある意味、恐怖が掻き立てられる事実かもしれないですね。

でも、ちょっと考えてみてください。

結果がわかっている人生って楽しいですか?本当に幸せですか?

未来が予測できるとしたら、結末を知っている映画を見ているのと一緒です。どうなるかわからないから人間は興味を持って、物事に取り組める。

これから起きうるコトが予想がつかないからワクワクする。

だから、人生は楽しい。
だから、頑張れる。

未来は予測できないと割り切りましょう。そして、だからこそ楽しいと捉え直しましょう。

そうすれば、未来を恐れる必要はなくなります。

さて、新人からの相談に戻りましょう。

「自分の企画に自信が持てない」

そりゃそうです。未来は予測できないのですから。

やってみなきゃわからないのです。
でもこのスタンスが極めて重要なのです。

未来が予測できないなら、やってみなきゃわからないじゃないですか。
そこで、「やらないという選択肢」を取ることが一番もったいない。

先輩や上司に「筋が悪い。」と言われても気にすることなんて無いんですね。なぜなら、誰にも未来はわからないのですから。

「未来が予測できないから頑張らない」は間違い

未来がわからないことを真に受けると、完全ランダムなら頑張る必要無いじゃん。と思う人もいるかも知れません。

でも、それは間違いです。

なぜなら、未来は「完全には」予測できないとだけで、その予測精度を上げる方法はいくらでもあります。

その最たる手法が下記記事でもご紹介した「統計」という手法。

統計という理論を徹底的に使うことや、勉強や練習で初期値の設定の精度を上げることができるわけです。

私がオススメする考え方は「未来はわからない。でも、努力次第で、自分が思い描く未来に近づけることはできる」ということです。

未来を恐れず、努力を惜しまずチャレンジし続ける人がたくさんいる社会になることを祈って終わりたいと思います。

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