見出し画像

宇宙で、NASAで、トム・クルーズ

「トム・クルーズ、NASAとタッグ。宇宙で映画撮影へ」

近ごろ、こんなにワクワクしたことあったっけ。なにしろ、宇宙で、NASAで、トム・クルーズなのだ。見出しを見ただけでココロが踊って、なんだかいてもたってもいられなくなった。

ワッペンをベタベタと貼りつけたG-1(革ジャン)を着てカワサキ・ニンジャで疾走する戦闘機乗り「マーベリック」。バイクの免許を持ってなかった僕は、とにかく急いで革ジャンを買った。

マンガの広告ページで「NASAの宇宙飛行士も食べた!宇宙食アイス」を発見した僕は、親に内緒ですぐ購入。ひなまつりの「例のやつ」みたいなその食べ物は、歯が折れるほど固かった。

学研マンガ「宇宙のひみつ」は、僕のバイブルだ。アンドロメダ星雲から光子ロケットに乗ってやってきた宇宙人・ピコ。星一やジュリみたいに、ピコと一緒に宇宙旅行をしたかったし、「スーパーテレビ」に聞きたいことが山ほどある。

画像2

とにかく「宇宙にまつわるあれこれ」は、いろんな技術がこれだけ進化した今でも最高にロマンチックなモチーフだ。だって「誰も知らないこと」だらけだから。世界中の科学者や研究者が、どれだけ宇宙に関することをリサーチしたり分析したりしたって「ようやく宇宙の先っちょらへんに触れました」といった感じで、宇宙に関するほとんどのことはいまだに「憶測」の域を出ていないことばかりだ。

つい最近も米国防総省が突然UFOの存在を認めたけれど、1947年に「空飛ぶ円盤が落ちた」ことで話題になったテキサスのロズウェルでは、街じゅうの人々がその「憶測」を力一杯デフォルメして楽しんでたし、なるほど、知らないことがたくさんあるってことはとても幸せなことなんだね。

画像2

冒険とか探索とか(もちろん旅もそうだけど)、「新しいことを知りたい」と想う気持ちは、僕らをこんなにも高揚させてくれる。いつだって小さな好奇心さえあれば、人生は最高に素晴らしいものに見えてくる。明治維新の龍馬や西郷どんや、もっと遡れば大航海時代に活躍した海賊たちもきっと同じような気分だったに違いない。

「なあ、あしたもこの星空が見られると想うだけで、幸せじゃんか」

大先輩のカメラマンが、カリフォルニアのサンクレメンテの海岸で、旅の途中で女の子にフラれてしまった男の子にかけた言葉。風に揺れるパームツリーのシルエットと、静かに繰り返す波の音と相まって、信じられないくらい感動したっけ。そんな風に、どれだけ甘酸っぱいことを言っても受け入れてくれる懐の深さも、いまだに解明されない「宇宙のひみつ」のひとつかもしれない。

画像3

ところで、映画の内容はなんだっけ?

「宇宙で撮影される、初のアクションアドベンチャー映画」

ああ、やっぱり。すぐにストーリーの全貌を想像できちゃうところも、トム・クルーズの映画のいいところ。面白いに決まってる。なにしろ、宇宙で、トム・クルーズで、NASAなんだから。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?