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短編『朝、雨に濡れた後で』
土曜日の朝、目が覚めると隣で眠っていた彼女がいなかった。
時計の秒針は午前7時を指している。
僕はゆっくりとベッドから出てベランダに向かった。
レースカーテンを少しめくると強く雨が降っている。
きのうの天気予報では今朝は晴れると言っていたのに4月の空は変わりやすい。
そう思いつつ、雨が降る朝から彼女はどこに行ったのだろうと考えていた。
その時、玄関のドアが開く音と同時に彼女の声が聞こえた。
「きのう朝食の食パンを買い忘れてさ、今コンビニに行ったら急に雨が降ってきて焦ったよー!家を出る時は少し晴れてたのに」
髪から服まで濡れた彼女がスニーカーを脱いでいた。
「大丈夫!?ごめん!!そうだったね!僕も忘れてた。わざわざ買いに行ってくれたんだね。風邪を引くからそのまま温かいシャワーを浴びておいで」
僕はきのう帰宅する前に朝食用のパンを買っておいた方がいいかなと頭の中で一瞬思い出していた。
しかし結局同じく買い忘れたので彼女に心の底から謝った。
「そうね、じゃあこれをテーブルの上に置いといて」
彼女から雨のしずくがついたビニールの買い物袋を渡された。
そしてキッチンペーパーで中のパンの袋についた水滴を拭いてから封を開けた。
2枚取り出してトースターで焼きながら僕はコーヒーを淹れ始めた。
少しすると彼女がシャワーを浴びて部屋着に着替えて戻ってきた。
「おっ、良い香りだねー」
「わざわざ買いに行ってくれたお礼だよ。大変だったのに本当にありがとう」
「今日は私もパンの気分だったから気にしなくていいよ」
さっきの出来事を忘れたかのように彼女はテーブルの椅子に座り、先に焼き立てのパンにバターを塗って食べながらコーヒーを飲み始めた。
僕も座り二人で食べていた。
食べ終わって食器を片付け終わると、寝室から目覚まし時計の大きな音が聞こえた。
土曜日なので僕はゆっくり眠ろうと午前8時に鳴るように設定していたことを思い出した。
寝室に小走りで行って音をとめた。
すると後ろから僕の背中を押されて姿勢を崩してベッドに倒れてしまった。
振り向くと椅子に座っていた彼女が僕の後ろにいた。
「ちょっと早く起きたから眠くなってきちゃった・・・あと30分くらい眠ろうかな」
しかしベッドに入ると僕の胸元にやってきた。
「眠るんじゃないの?」
僕は少し笑ってそう言いながら彼女の唇にそっとキスをした。
5秒ほど軽く重ねて彼女は言った。
「コーヒーを飲んだら眠くなくなっちゃった」
「じゃあ僕のせいだね」
二人でまた笑って、今度は僕から彼女を抱き寄せて唇をもう一度重ねていると、舌が自分の口に入ってくる感触がした。
そのまま絡め合いながら彼女の髪を優しく撫でた。
一度お互いの口を離した。
すると彼女は「いつもより感じちゃう日みたい・・・」と言った。
僕は彼女を見つめながら髪を触っていた。
そして短くだが心をこめて言った。
「大好きだよ」
彼女も同じ言葉で返事をしてくれた。
そのまま、もう一度唇を重ねながらお互いが着ていたものを脱がせ合った。
そして耳たぶをゆっくり舐め、耳の裏、そしてうなじを愛撫していた。
すると深く甘い吐息が少し漏れるのが聞こえた。
僕はそのまま耳元で「愛してるよ」と言った。
そのままピンっと立っている乳首をちゅっと吸うと女性特有の甘い刺激を感じた声が彼女の口から漏れた。
僕はその敏感な部分を愛しながら左手で背中を抱き、右手で彼女のふとももをそっと撫でていた。
そして「もっと・・・」と声が聞こえた。
僕は少し意地悪に「んー『もっと』ってどういう意味?」と返事をした。
彼女が口ごもった瞬間。
乳首を吸いながらふとももの手を内側へ滑り込ませて愛液で濡れた女性器にそっと触れた。
同時に腰がびくっと反応して、声を出した彼女を見ながら僕は続けた。
僕は彼女の顔に戻り見ると火照った表情がとても愛おしくなった。
「いつも愛してるよ」
「私も・・・とっても愛してるよ」
彼女のほっぺたにキスをしながら右手の指先でそっとクリトリスに触れた。
瞬間的に女性の深い部分から出る大きな声が部屋に響いた。
僕は彼女の耳元で「いれていいかな」と聞いた。
「うん・・・」そう小さな返事をしてくれた。
そして僕の硬くなった部分を彼女の性器に触れさせて、とてもゆっくりと彼女の中にいれ始めた。
彼女の中は温かく奥までいれてもまだ動かさなかった。
そしてゆっくりだが強く、彼女を抱きしめながら僕は言った。
「とっても愛してる」
そのままお互いを愛し合う時間は続いた。
おわり
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