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#和歌
ことのはいけはな 立夏 第19候『蛙始鳴』
いま何処かはずの声は原宿の野原は消えて爆ぜてしまった(白余)
黒黒と音符のように消えてったお玉杓子よ脚出る前に(白余)
手水鉢蛙の声は聴けずとも母ゐる庭の池の音する(立夏2021/白余)
ことのはいけはな 小満 第22候『蚕起食桑』
てふてふの生まれたばかりあやめ花咲くといふのは飛ぶといふこと(白余)
暗がりを飛び出してまた舞い戻り生まれ変わりしひとみひかるる(白余)
ひかりあび黄泉へと戻りにんげんはおどりつづけて花になるなり(白余)
ことのはいけはな 立夏 第21候『竹笋生』
http://sainotsuno.org/event/第六感劇場・太郎山編%E3%80%80躑躅忌(つつじき)/
網膜に躑躅の花が咲きにけり霧切り裂いて顕われにけり(白余)
眼裏につつじの花は咲きつづけ白目を染めて涙をそめて(白余)
斑猫を追う青空に朱の躑躅欠けたもの皆空にあり(白余)
大躑躅 おお大躑躅 虚空より 空を充して今此処に満つ(白余)
ことのはいけはな;穀雨 第17候「霜止出苗」
花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。
若草の湯とは明るき伊豆石の春のみどりの湯屋染めてをり
陰影の豊かなること心根に大きな波の寄せては返す
幾重もの影また陰を潜り抜け明るきほどに胸締め付けらるる
その影は日の御子なりし我が影も椹の影も障子格子も
背後戸の翁のいろはさやけくて明くてみえず仄暗きにて
心根に
ことのはいけはな 小満 第23候『紅花栄』
「詩える白の手毬あぢさゐ
銀葉の雨情の羽の抱くやう
弟切草は螺旋に巻かれた金杯を
明朝木陰で溢れさす」
純白の大頭のあぢさゐ
をいけた日は、紅花栄うという日であった。
白と赤は、源平より前から
男と女
精液と経血
そういうならわし
夕焼けに染まった紅花畑を今でも覚えている
こんな大潮の夜 夜陰に乗じて白い雲が川霧となって
丘を包みこむ
(うた)
宵闇に
ことのはいけはな;晴明 第15候「虹始見」
花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。
会津東山温泉『向瀧』。
予約のとき伺うと、うちの桜はまだちょっと早いとのことだった。
ついてみるとまだ二分から三分咲き。
夕暮れになってみると 驚いたことに、蕾は次々開き、その白さはまるで昼の光を蓄えてちりちりと燃えているよう。夜の青が混じっていつまでもぼんやり明るい。