【部屋に飾りたい】好きなアルバムのアートワーク5選
当たり前だけど音楽の良し悪しについて語るのは難しい。
難易度の高い、複雑な音楽であれば良いというわけではないし、
名盤といわれているもの?を聞いてみたり、アルゴリズムがおすすめしてくれた作品を聞いてみてもよくわからなかったりする。
どうしても主観が入るなら、自分が好きな音楽は何かということはよくわかっているかというとそうでもない。
それほど好きでなかった曲が疲れて寝落ちしながら聞くと良かったり、
お店のBGMで流れていて気に入ったものを自分のプレイリストに入れて家で聞いてみるといまいちだと思ったりする。
Apple Musicのライブラリに追加したり、CDを買ってみてまた聞いてみようと思うのはどんな音楽だろうか。
自分はどれがどんな音楽だったとか覚えてておくことはあまり得意ではないが、アルバムのアートワークと曲の印象は強く結びついているように感じる。
CD(またはレコード、カセットテープ)を買ってみないとどんな音楽かわからなかったときは当然だったと思うけれど、ストリーミングで聴き放題だといってもアートワークの視覚的要素が印象に残らないものは改めてアルバム単位で聴こうとするにはハードルが高い。(そういう意味で自分は本当は音楽がそれほど好きではないのではないかと思ってしまう。)
タイトルに「部屋に飾りたい」とかなんか書いてしまったけれど、
もちろんすばらしい(とされている)アートワークすべて部屋に飾るのに向いているというわけでない。
あえて気持ち悪くなる/怖い絵や写真を使ってコンセプトを表現しているものもあるし、クラブミュージック系に多いのはそもそもDJプレイ用を前提としているので?レーベル名(とロゴ)、作品名、アーティスト名、BPMが文字情報として盤面に書かれているだけでアートワークらしいものはない。
「なんだ、結局音楽をインテリアグッズとしか思っていないニワカなのかー」と思われるだろうけど(実際その通りで)音楽も好きだと思わなかったら何行も割きたくない。
※順不同
1. Andy Stott Luxury Problems(2012、Modern Love)
Andy StottはUK、マンチェスターを拠点とするDJ、プロデューサーでModern Loveというレーベルからリリースしている。
Apple Musicの説明を引用すると、「反復するビートとシーケンスを用いた、テクノの枠を超えたサウンドに注目が集まり始めた2010年代に、その流れを決定づけたといえる一枚。」
個人的にはあまり人の写真がそこまで好きというわけではなかったが、選ばずにはいられなかった。
これ以上に印象的なアートワークを見つけるのは難しい。
飛込競技をする女性の一瞬をとらえた写真。
反復を多用した音楽に対して、ある0.01秒くらいの瞬間の中に閉じ込められた写真。
Andy Stottが2011年のPassed Me By以降これまでに出したアルバムはどれも白黒の写真だが、どれも良すぎる。
彼のInstagramを眺めていたら、なんと、東京カテドラル聖マリア大聖堂(丹下健三氏による設計)の写真を使ったLPがあるではないか!
サブスクには来ていない曲が入っているらしい。
2022年に数量限定で発売されたようなのですでに、入手困難なのだが、
みつけたら買わにゃならん。(値段上がってそう)
贅沢な問題だな。。。
。。。
音楽レビューが書いてある記事もリンク張っておこう。
音楽自体は"Faith in Strangers"(2014)が自分の好みだった。(今のところは。)
2. JB Dunckel Carbon(2022、Prototyp Recording)
ジャン=ブノワ・ダンケルはフランスのミュージシャンで、ニコラ・ゴダンとともに音楽デュオAIR(「エール」と読む)のメンバーとして知られる。
「炭素」というタイトルにふさわしいミニマルな3Dアートワークはパリのクリエイティブスタジオ、Akatreによるもの。
このアルバムがすごいのは、この3Dのオブジェクトが曲ごとにつくられており、YouTubeでモーショングラフィックスを見ることができる。
一応、CD・レコードを買ってみるとカバーの内側には収録曲をイメージしたオブジェの画像が印刷されているのだが、サブスクだけ聞いているとそんなことはわからないから、もっとYouTube再生されてほしいと思う。
3. Ron Trent What Do the Stars Say to You(2022、Night Time Stories Ltd.)
ロン・トレントはシカゴ・ハウスの重要人物であるということだが、このアルバムはダンスミュージックではなく、自宅で(あるいはバーとか)くつろぎながら聞くのに適している。というのが言わなくてもアートワークから伝わる感じ。
アートワークはギリシャ在住のイタリア人建築家兼イラストレーターFederica Scaliseによるもの。
グラデーションの空、シカゴの夜景、フワッとなびくカーテン…
(よく見たらガラス窓と床に線があるのは建築家なのだなと思う)
レトロ感のあるベロアの1人掛けソファーとランプの足元にこのアルバムのジャケットとレコード2枚が落ちているのが好き。
ブラック・ヴァイナルが通常盤で、ホワイト・ヴァイナルが限定版だったらしいです。
これもYouTubeではアニメーションになっている。
4. Mandy, Indiana I’ve Seen a Way(2023、Fire Talk)
マンチェスター出身のエクスペリメンタルバンド、Mandy, Indianaのファーストアルバム。
このアートワークはニューヨークの3Dアーティスト、Jared Pikeによって作成されたCG画像だ。リミナルスペースという、ただ無人の空間の画像のミームが一時期流行ったが、その中でも人気が高いドリームプールで知られる。(プールのような水で満たされたタイルで覆われた部屋が延々と続く「プールルーム」は今も多くのクリエイターによって新作が作られているようだ。)
リミナルスペースのプールルームだと知らなければ何の画像なのかわからない人もいるかもしれない。LPのサイズだったら水面が見えるだろうけれど、スマートフォンの小さい画像ではなかなかわからない。
Jared Pikeのドリームプールは曲線的なものが多いのだが、この画像は珍しく直線的。色も白と青緑ではなく茶色っぽい。
強力な一点透視法により中心に視線が行くが、ハイライトが少し右側にずれている。左側の窓から差し込んだ陽が右側の壁に当たっているようだ。
左側の壁側は光が入ってくる一方、右側は暗そうだ。
プールで延々と迷った挙句、やっと見つけた出口なのか。
出口と思っていたらまた次の迷路の入口なのか。
シングル曲 Injury Detailのミュージックビデオではこのプールルームを使ったファウンドフッテージ風の動画が使われているが、不気味な割に怖くないのは曲のせいだ。不思議な音もするが、調子のいいビートにのってがんがん進んでいこう。
どうせ夢オチなんだとわかってるんだから。
5. Whatever The Weather Whatever The Weather(2022、Ghostly International)
Whatever the Weatherはロンドンのプロデューサー、Loraine Jamesが別名義で出したアンビエント系のアルバム。
アンビエントだからって寝落ちに聞いたらけっこうびっくりして目が覚めそうな曲もあるけど。
氷山の風景写真に白い余白。
こういう系のアートワークは割とある気がするけど、思い出せない(すみません。)
Loraine Jamesとしてリリースしている作品(2作目の「FOR YOU AND I」(2019)以降はHyperdub)は画像が全体を覆っているので、(大概はそうだと思うけど)、氷山の写真から想像するような壮大さよりも一歩引いたような、暖房の効いた暖かい室内から雪の降る屋外を眺めているような感じが伝わってくる。
曲名は0℃から36℃まで、全部温度になっているのだけど、ひんやりした「25℃」、ビートが弾けるような「4℃」など、全く予想のつかない展開。
ちなみに、ロンドンの平均気温を調べると、一番寒い1月で5.7℃、暑い7月でも19.0℃となっている。(ちなみに東京の平均気温は1月が5.4℃、8月が26.9℃だ。体感では夏はもっと暑い気がするけど、気温は日陰で測るものだからこんなものか。)
アートワークの写真の風景だと0℃どころか普通に氷点下-20℃とかくらいの気がするんだけど、アルバムの終盤にかけて「30℃」、「36℃」、「28℃」と夏日の気温。これはどういう意図なのか気になるな…
こういうアートワークはLPとか買って大きい画像で眺めたいけど、サブスクで聞きながら眺めるのも楽しい。(動画とか見れるのもあるし)
最近の音楽ばかりになってしまったけれど、過去の作品にも素晴らしいアートワークがあったはずなんだよな。なかなか見つけるのが難しいけれど…
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