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覚えている感覚(105
「いいか霊巫女。ここからは
この者たちについていくのだ。
わたしは一度、マナヒへ戻る。」
「婆様は?爺様は?イヨ達は無事なのでしょうか!!」
霊巫女はオオミヤマの腕を
力強く掴んでうったえるように伝えた。
オオミヤマは霊巫女のその手をつかみ
はなし、霊巫女を抱き寄せた。
「霊巫女。必ず必ずそなたを
わたしは守る。
今度こそ、そなたの命は
私がお守りする。
みな、そなたの命を
行く道を共に(100
とにかく走り続けた霊巫女だった。
あたりは薄暗くなり周りの風景も
見えにくくなっていた。
追いかけてくるもの達は
木々の道に苦戦してか
中々霊巫女については来れなかった。
けれど霊巫女は必死に走り続けた。
すると、その先の方から
白い煙のようなものが立ち込めていた。
驚いていたら、それは
なんとマナヒからだった。
霊巫女はびっくりして向かうと
火の粉がそこから飛んでいて
“ここ”に刻む(98
「霊巫女。そなたは姿が変われば
自分が変わると思っている。
それは本当の姿ではない。
本当の姿というのは
目に見えるものではない。
見えないけれどあるものなのだ。
私達龍神はその道を司る。
もし、今の姿ではない身で
ヒカホに会ったとしても
そなた達に刻まれたものは
その道が繋げてくれる。
それが私達の役割の一つでもある。
そうして繋がれた時に
姿形が違えども
お互いはっ
歩む道を信じぬく(95
船が去るのを見守り
涙を流す霊巫女の肩に
婆様は優しく触れた。
「婆様。。。」
「霊巫女様。ヒカホの心も霊巫女様の心も
繋がっております。
マナヒマナハレマナヒカヤ
マナハレヒカヤマナハレヒ
そなたはわたし
わたしはそなた
そなたの歩む道を
必ず私が守る
この言葉には
言い伝えがございます。
先人達は共に生き
共に思いを交わし
共に過ごしておられた
共にあることの強さを
共にあ
心から流れる涙(93
「ヒカホ。」
「はい。」
「そなたには、つらい事かもしれぬが
このままミトへと戻って欲しい。」
「え…。霊巫女様にまだお会いしておりませぬ。」
「あぁ。すまぬ。
しかし、事が思った以上に早く進んでいる。
そなたはサハクと劔と共にカムイへ
向かって欲しい。」
ヒカホは言葉を出せなかった。
霊巫女に会いたい気持ち。
一番近しい人に、やっと会えると
思っていた。誰よりも会いたいと