握る手(102

オオアマはマナヒに走り向かった。

イヨはその頃すでに

社に向かっていた。

オオアマがマナヒに裏手から

ついた頃には

マナヒから煙が出ていた。

「なんだこのへんな匂いは」

このままでは
マナヒにはいけない。

イヨはどこにいる。。

ふとオオアマはイヨがマナヒに

いない事を感じた。

イヨはここにいない。

わたしは龍の玉を守る。

オオアマは龍山へと向かった。




「イヨ様!イヨ様!」

様子のおかしさを先に感じ

オオアマに伝えるべく

裏手から社に向かったイヨ。

どこかでオオアマとすれ違い

会う事はできなかった。

イヨを呼ぶのは

白髪の背の低めな男だった。

「そなたは?」

「社のものです。
オオスガ様にお守りする様に
伝えられました。」

「オオアマ様は?」

「マナヒに向かわれました。」

「マナヒの様子がおかしいの!」

「異国のものが攻めてきたのです!」

「異国のものが。。。」

「オオアマ様はすでに
こちらの道から向かわれてるはず。
オオアマ様の通る道は
わかります。
わたしについてこられよ。」

その白髪の男は軽々とその険しい
山道を走っていった。

「オオアマ様!!」

白髪の男が呼ぶと

オオアマの姿が見えた。

「オオアマ様!」

イヨも叫んだ。

「イヨ!!!」

二人は駆け寄り強く抱き合った。

白髪の男が

「はやく行きますぞ!」といった。

「でもマナヒが。。。」

そういい

後ろを振り向くと

ドドードドォーと

大地から鳴り響くような強い音が

すると思ったら

マナヒが爆発した。

煙も火の粉も舞い散った。

「イヨ!振り向くではない!

わたしについてくるのだ!!」

涙が溢れ出そうになるのを

恐怖を振り切るように

オオアマの方に目線を向けるその時

マナヒから

東に向かったあたりに

霊巫女が見えた。

男の人達が数人いて

わからなかったけど

オオミヤマ様がいるのがわかった。

イヨは叫びたかったけれど

何も言わずに

オオアマの後ろについて

険しい山を登り続けた。

「もう少しですぞ。」

白髪の男がそう言うと

オオアマのイヨを握る手の力が強くなった。

イヨは

その時が来てしまったんだ。

と思った。

そのオオアマの手から

どんな事があっても

決してはなさい。

その力を感じた。

イヨも強く握り返した。

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